第五話「お披露目」
今回は少し説明が多いよ;
わかりにくいとか、矛盾とかあったらごめんね;
お気に入り30件以上 総合評価100pt、ホントびっくりしました、ありがとうございます!!
今年のサンタは少し早いけど私を殺す気か!?
俺は五歳になった。
この世界のことも少しづつではあるが掴めてきたように思う。
ただ、両親の溺愛っぷりが凄まじいため、あまり屋敷より外に出ることができず、思ったより情報収集に苦労している。
魔法の特訓の成果は……ふふふふふ、俺が魔法を披露する機会がくるのを楽しみにしておくといい。
けれど、魔法の上達と共に魔法でできることの限界もみえてきた。
この世界の魔法も万能というわけではなく、やはりルールというか、制約みたいなものもあるようだ。
ただこれに関しては少し複雑なことになっていて、この世界の常識的に不可能である魔法でも俺は使うことができる、というよりあのクソッタレたちのおかげでできてしまう。
つまりそれがどういうことかというと……俺は錬金術も使えます。
具体的に言うと、領内にある山を丸々一山、金塊に変えることですら、やろうと思えばできるみたい。
まぁ、少し考えただけでもリスクが高すぎるからやらないけどね。
まったく、厄介なまでに大きな力与えやがって……ここが俺のいた世界の中世時代なら余裕で異端審問からの火炙りコンボだろうが。
火炙りにならなくともこっちの世界でもこれはいろいろと問題ありな能力なので、もしこれを実行する時が来るとしたら、よっぽど俺が、というより我が公爵家が追い詰められた時だな。
我が家の繁栄のためなら、どんなチートな能力でさえも自重するつもりはないけど、さすがに全世界を敵に回したくない。
敵を増やしすぎないような努力も最大限やっていくつもりだ……まぁ、努力した結果、世界が敵に回って公爵家を、我が両親を害しようというなら世界を相手にしたって戦うけどね。
閑話休題、五歳になった俺だが、なんと今日、近隣の貴族たちを招いて、公爵家嫡男(俺)のお披露目があるらしい。
本格的な社交界デビューはまだ先なのだが、今回はなんと使役獣の儀なるものを行うらしい。
そもそも使役獣とはなんなのかというと、この世界のヒトは一生に一度だけ自分の手足となって働く獣を召喚するそうで、それを一般的に使役獣と呼ぶらしい。
召喚された獣は召喚された時より使役獣となり、召喚者に基本絶対服従。
使役獣となった獣は、主人の命令を理解するために飛躍的に知能が高まる。
寿命が短い生き物でも主人が死ぬまでは半不死状態、ただし、主人が死んだときは使役獣も死んでしまう。
これだけ聞くと、使役獣が哀れなような気がしないでもないが、使役獣にもメリットがないわけではないらしい。
らしい、というのがなんとも怪しいが、これはこの儀式を取り仕切っている教会が勝手に言っていることなので、本当にそうなのかはわからない。
教会の言い分はこうだ、召喚に応じて現れる獣は全て召喚者を主と認めるもののみが現れる。
また、使役獣としてその一生を終えた獣は死後、使役獣を務めたことの褒美として神によってどのような願いでも一つだけ聞き届けられる。
ゆえに使役獣は誠心誠意主人に仕えるのだが、使役獣は主人だけでなく、褒美のために神に仕えているとも考えられるため、召喚者は使役獣を粗雑に扱わず、より良い絆を築いていかなければならない。
とってつけたような都合のいい話だが、使役獣となった獣が召喚者を殺したなんて話をきいたことはないから、神うんぬんは置いといても使役獣側にもなんらかのメリットはあるのかもしれない。
教会が等しく大切にしろという使役獣にもやはりというかなんというか人気、不人気があるらしい……。
聞いたところによると貴族に人気なのは、第一が幻想種。
まぁ、この幻想種は貴族だけに限らず、王族から平民に至るまですべてに人気らしい。
具体的な使役獣の名をあげると、ドラゴン、カーバンクル、マンティコアといったファンタジーな生き物たちである、ちなみにその存在を知った俺はやっぱりいたかくらいの感覚だった。
魔法が実在するこの世界のことで驚いていたらきりがない。
幻想種を使役獣に出来た者はたとえ平民であっても重用される。
隣国ではマンティコアを使役獣にした平民が近衛騎士団長になったことがあり、話題になったらしい。
次に人気なのは大型の肉食獣種でライオン、トラのような獣である。
あとは、馬などの大型草食獣や犬や猫といった獣が続くがこのあたりになれば個人の好みによりけりといったところのようだ。
ちなみに、父上はグリフォン、母上はフェニックスを使役獣としている。
両親二人とも幻想種持ちとは、何気にハードル高い……まさかとは思うがハムスターとかが召喚に応じたら公爵家的にどうなんだろうか……
余談だが、我が家の家令の使役獣は羊であった、特に深い意味はない。
夜がその帳をおろし始めたごろから馬車に乗って多くの貴族が我が家を訪れ、大広間へと集まっている。
主要な来賓との挨拶をすませていた両親が、大広間の隣室で待機する俺のもとにやって来た。
ようやく俺の出番のようだ。
「さぁ、主役の出番だ。緊張せずに、これから新しい友達を迎えに行くんだという楽しい気持ちで行こう」
「ふふ、あなたならきっといいお友達と出会えるわ」
いつもと変わらぬ両親に手を引かれ、大広間へと足を踏み入れる。
魔法で輝きを増したシャンデリアに照らし出されるのは公爵家の嫡男を一目見ようとする貴族たちの好奇の目。
そのほとんどは初老から上の年代の者たちだったが、中には我が両親と同じくらいの若さの者やごく少数ではあるが同年代の子供も交じっていた。
父上の話では今回は王族の方もいらっしゃっているそうだ。
本来の使役獣の儀というのは、貴族であっても血縁の者たちや近しい領地の者だけで行うらしく、大規模なものにはならないらしいが、公爵家ともなると血縁や隣接する領地の貴族というだけでも大人数となり、さらにはさまざまな思惑も重なってかなり大規模なものとなる。
加えて、我が両親は二人とも幻想種持ち、召喚する使役獣の種類が遺伝するわけではないが、あの二人の子供ならという期待も高まり、俺の使役獣の儀は父上が行った使役獣の儀を遥かに上回る人が集まることになった。
普段ならばダンスでも行われるはずの大広間のシャンデリアの下に今日は不可思議な魔方陣が描かれている。
魔法陣の周りにはそれを用意したであろう教会の聖職者の姿があり、貴族たちはそれらを遠巻きに囲むように立っている。
モーセのエジプト脱出のように割れた人垣の間を抜け、両親に手を引かれた俺は魔法陣の中心にやって来た。
両親は励ますように交互に俺を軽く抱きしめ魔方陣の外へと戻った。
聖職者が手をあげると、それを合図にしてざわめきが静まる。
手順はしっかりと理解している。
といっても、覚えるほどのことではない。
ただ魔法陣の中心にあって、祈るだけだ。
我が友よ来たれ、我と生涯を共にするものよ来たれ、我が命に従うものよ来たれ、と。
床に描かれた魔方陣が最初は薄くだが光はじめ、だんだんその輝きを増していく。
やがて、俺と魔方陣を中心に大広間は光に包まれた。
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次回は31日、でもその日はたぶんパソコン触れないから、予約で投稿か、28日あたりに投稿して今年は終了ですな
皆様、良いクリスマスとお正月をお過ごしくださいorz