第二話「チェンジリング」
若干、シリアス?
食べることと寝ることしかすることのない赤ん坊の生活は俺にたくさん考える時間をくれた。
俺のせいでこの世から消えてしまった赤ん坊の魂について。
他人を傷つけたり殺したりするくらいなら自分が死んだ方がいい、だなんて言えるほど俺は聖人君子じゃない。
他者を傷つけ、場合によっては殺すこともためらわない。
そう覚悟して生きた前世だったし、実際その通りに行動した。
ただ、それはあくまでも必要に迫られての行動だった。
それらの行いを遊びでやったことなど一度もない。
それが今回はどうだ?
まさに神の悪戯としか言いようのないくだらないお遊びに巻き込まれて一人の子供の心が消えた。
どうしようもなかったが俺も加害者だ。
その心が入るはずだった器には俺が収まってしまっている。
まるで妖精の取り換え子だ。
消えた赤ん坊の魂はどこに行ったのだろう?
無事に天国にたどり着けただろうか?
今となっては天国に対する評価も前までのように安心はできないが、赤ん坊の魂に安らぎが与えられることを祈らずにはいられない。
赤ん坊へのつぐないとして命を絶とうかとも思ったが、それではあの不快男が言っていた報復が恐ろしい。
俺自身はどうなろうと構わないのだが、相手は心を読める連中だ。
的確に俺が最もダメージを受ける天罰を与えるに違いないことは安易に予想できた。
あの子供の魂にさらなる危害を加えてやろうなどというものだったら目も当てられない。
それにここで安易に死んでしまうのはその子供の犠牲を無駄にしてしまうことにもなりかねない。
俺は生きて罪を償うことに決めた。
赤ん坊として生活しながら罪を償う方法を考えていると、俺が罪を償う相手はその赤ん坊だけではないことに気が付いた。
その相手とは赤ん坊の両親、今世での俺の両親にあたる人たちである。
二人は公爵という身分にありながら俺を誰にも任せず、絶え間なく愛情を注ぎ込み育ててくれている。
俺はこの二人から最愛の息子を奪ってしまったばかりか、カッコウの子供のように大切に育てられている。
どうすればこの両親やその子供の魂に罪を償えるだろう……。
その答えはいまだにわからないが、俺は神に与えられた能力を含めた全身全霊でこの両親を幸せにすることを心に決めた。
それが罪のつぐないになる、とまでは言えないが、二度目の人生を与えてくれた両親や赤ん坊の魂にせめてもの恩返しをするために。
とりあえずは……我が公爵家に栄光を!
次回からがいよいよチート能力発揮!!
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