夢と雪と影色と
初めての短編です。
上手く出来てますかね?
目を覚ますと一面の雪景色。
ボクは雪の上で大の字で寝転んで、群青の空を泳ぐように飛んで行く雲を見ていた。
白い雪と白い雲、見ていると自分も雲の上で寝ているような錯覚が起こる。
ボクにはここがどこなのかなんて分からなかったけど、一つだけ分かることがある。
「……寒い」
来ている服は制服。しかし、生地の薄いズボンに半袖のシャツ――夏服だった。
通りで寒いわけだ。
落ち着ける場所を探さないとこのままでは凍えてしまう。しかし、辺りには何も建物らしきものはない。
と言っても動かずに死を待つなんてできない。それにボクには生きなくちゃならない理由がある。
そう思って歩きだした。
しかし、数歩も歩かないうちに額に衝撃が走った。
「ウガッ」
後ろ向きに倒れるボク。冷たい雪に覆われた地面に背中を打ち付ける――かと思いきや、突然身体が止まった。誰かに支えて貰ったようだ。
「大丈夫ですか?」
聞き覚えのない声だ。でも、どこか懐かしさを感じさせる。そんな声だった。
「あっ、ハイ大丈夫です」
額を押さえながら声に応える。
「とりあえず、ウチにお入りなさい」
と言って、ボクの視界に入ってきたのは茶色い何か……と思ったら髪の毛だった。その後すぐに全身が見えた。その人はとても綺麗で、大人びていて、素敵な女性だった。
「さあ、どうぞ」
と彼女は何もない空間から何かを握り手前に引いた。
次の瞬間。虚空に入り口が出現した。
と、ボクには見えたが、実際には何もない空間だと思っていたところには家が建っていて、その家の壁も屋根も何もかもが白く塗られていたので見分けることができなかったのではないかという。
ボクが不思議に思っていると、彼女がそう説明してくれた。
僕は言葉に甘えて家の中に入った。
まず目に入ったのは、よく雪国をモチーフにした映画で見るような暖炉だった。暖炉の他にも珍しい家具もあったが、見た感じ普通の寒い地方の家だ。ただ、何か違和感があるような気がする。
「申し遅れました。私、リンネ-フォレス-リバーと申します。リンネと呼んでください」
彼女はそう名乗った。
外国の人なのだろうか?
「こちらこそ。ボクは早見 雪人と申します」
とボクも名乗った。
「?」
一瞬、リンネさんが不思議そうな顔をしたと思った。が、すぐに普通の顔になってしまったので断定はできない。
「それで、雪人さんはどうやってこんなところにいらしたのですか?」
リンネさんは椅子をボクに勧めながら尋ねてきた。
でも、それはこちらが聞きたいくらいだ。
「実は、ボク自身もよく分からないんです」
「分からない?」
腰まである髪を揺らして首を傾げるリンネさん。
「はい、気がついたらこの格好で倒れていたんです」
「やはり、そうでしたか」 リンネさんは少し考えているようだった。
やがて、口を開く。
「あなたはたぶん、この世界の人間ではありません」
「?」
ボクは頭に?マークを浮かべるしかできなかった。
「理由は2つ。まず一つ目はあなたの名前です。」
「名前?」
「はい。この世界の人の名前は全て3つに分けられます」
「でも、ボクは2つですね」
「そういうことです」
リンネさんは頷いた。
「なるほど。じゃあ、もう一つは何ですか?」
とボクが聞くとリンネさんは突然目を閉じた。まるで、過去を懐かしんでいるように。
「どうかしたんですか?」
ボクがそう聞くと
「いえ、なんでもありません」
と微笑みながらリンネさんは応えた。
「それで、二つ目というのは?」
「はい、二つ目は髪の色です」
「髪の色?」
「はい、雪人さんのような黒髪はこの世界では存在しません」
「それってどういうことですか?」
「というより、それ以前に黒色という概念さえ無いのです」
「?」
やっぱりボクは頭に?マークを浮かべることしかできなかった。
「つまりですね、この世界の住人には黒という色を認識――簡単に言うならば、見ることができないのです」
ここでボクはある疑問が浮かんだ。
「でも、影はどうなるんですか?」 黒が認識できないのなら影を認識することはできないはずだ。
ボクは、さっきこの家に入った時の違和感を思い出した。そして部屋を見渡す。
「あれ?影が……無い」
そう、この部屋には影が無かったのだ。
暖炉の火が照らし出す机のシルエットはボクには見ることができず。日が差し込む窓の周りの死角の影もボクには見ることができなかった。
「でも、この世界の住人は影を認識できます」
「なんでですか?」
「影が黒ではないからです」
「つまり、この世界の住人は黒が認識できないけど、逆にボクはこの世界の影が認識できないということですか?」
「察しがよくて助かります。ついでに言いますと、私達はその色を影色と呼んでいます」
リンネさんは微笑んではいたが、何か今までとは違う感情がこもっていた気がした。
「なるほど、だから雪の中のこの家を見つけることができなかったんですね」
「そういうことになりますね」
リンネさんは頷いた。
目の前で起きている出来事が余りにも現実離れしていてすっかり忘れていたことがあった。
あれ? そういえば、ここが異世界ならボクはどうやって家に帰ればいいんだ?
急に焦ってきてしまった。その様子に気づいたのかリンネさんはボクにこう言った。
「心配しないでください。あなたは必ず元の世界に戻ることができますよ」 ボクを元気づけてくれているようだ。
「ありがとうございます。なんか、元気が出ました」
「ふふ、それは何よりです」
その時、壁に掛かっているモノが鳴り出した。
キーンコーンカーンコーン!!
どこかで聞いたことがある音だな……。
そんなことを考えていたら突然リンネさんが慌てだした。
「あら大変。もうこんな時間」
と言って、壁に掛かっているモノ(時計らしい)を見る。
自分の知っている時計との差に改めてここが異世界だと実感する。
「さて、そろそろあの人が帰ってくる頃ね。そして雪人さん。あなたも元の世界に帰る時間よ」
「? それってどういう――」
突然、強烈な睡魔に襲われた。
「大丈夫。またすぐに会えますから」
薄れて行く意識の中なぜかリンネさんの顔だけがハッキリと思い浮かべることができた。
そこでボクの意識は途切れた。
「は……み。…やみ…。……早見、起きろッ!!」
体が揺れている。というより、揺らされている。
暗闇から顔をあげるとため息が出るほど見慣れた教室が目に入った。
さっきまでの出来事は夢だったのだろうか。
そう思っていると
「どうしたんだそのおでこ?」
僕を起こしてくれた友達は僕の額を指さした。
「おでこ?」
触って確かめてみると僕の額には痣ができていた。
こんなのができた覚えは夢の中でしかない。
ということは、あれはやはり夢ではないのだろうか。
そんなとき担任の先生が教室に入ってきた。
「今日は皆にいい知らせがある」
クラス中が騒ぎ始めた。
僕は寝ていた(のか起きていたのかは分からないが)ので気がつかなかったが、先生の言ういい知らせというのはクラスのほとんどの人が知っていたようだ。
「今日は転校生が来るぞ!」
所々で歓声があがる。
「皆、仲良くするように。では、入りなさい」
「はい」
どこかで聞いたことがある声だと思った。というより、さっきまで聞いていたような気がする。
ドアを開けて入ってきたのは……リンネさんだった。
「私は森川 鈴音と申します。仲良くしてください」
リンネさんは僕を見つけるとニッコリと笑った。
「言ったでしょう?『またすぐに会えますから』って」
私の知ってる書き下ろしは、次に続きそうな話だけだったので中途半端になってしまいました。
よく考えたら、この話は起承転結がしっかり出来ていないのでは?と思った方……私もそう思います。
次はもっと上手く書けるように頑張りたいと思います。




