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探し物はなんですか?

あれから2週間がたった。


あの後、私はフィレーナさんに家に連れて帰ってもらい、ジョン。。クロードさんは黒の騎士団の皆さんに治療院へ連れて行かれた。


別れる前に私はクロードさんの鑑定(ステータス)をした。


クロード・アマレット

職業:黒騎士団団長

年齢:25歳

怪我: 全治1週間

探し物:????色のドレスの女性(???)と???家庭


やっぱりクロードさんには思い人がいたんだ。まだ記憶が完全ではないのか、?が多かったが。


黒騎士団の副団長さんのチャールズさんは、私も治療院へ一緒にと言ってくれたが、私の記憶がないクロードさんに私が会いに行っても困惑するだけだし、思い人がいるクロードさんの邪魔をしたくない。


もう2週間経ってるし、もし私を覚えていたらとっくにここに来ているだろう。


来ないというのはそういう事だ。


「アイラちゃん、ミルクを持って来たよ」

とディーノさんがやって来た。


図書館での出来事の後、黒騎士団の方がディーノさんの家をチェックしてくれて、ベットルームに縛られているディーノさんを発見した。

実はディーノさんには奥さんはもういなかった。ずっと昔に亡くなっていた。あの赤の魔術師が長い間ディーノさんに記憶改竄魔法をかけて、一緒に暮らしていたみたいだ。


眼鏡を探してあげた時に私の能力を見て、私がイリウス家の子孫と思っていたようだ。


クロードさん(ジョン)が探し物の依頼の為、私の家を探していて、お隣のディーノさんの家に聞きに行った時に、クロードさんは奥さんが赤の魔術師と気がついたが、忘却魔法をかけられて記憶を無くした。その後ディーノさんがフラフラしていたクロードさんを見つけて私の家に運んでくれたらしい。


今日は珍しく晴天が広がり暖かい。


久しぶりにクリーム色のドレスを着て、買い物カゴを持って外に出る。


市場を回って買い物をして、カイルさんのところで串焼き肉を買って帰ろうとしたら、黒い騎士服を着た人が屋台の前にいてどきっとしてしまった。


でも茶色の髪だし、あれは彼ではない。


「あ、アイラちゃん。今日はドレスなんだ」とカイルさんが私を見て言うと、その騎士さんが振り向いた。


副団長のチャールズさんだ。私を見てびっくりしている。


「あ、アイラさんですよね。一瞬わからなかったです。そのクリーム色のドレス素敵ですね」とチャールズさんがにこやかに言う。


「ありがとうございます。今日は天気がいいので久しぶりに着てみました」


「なるほど、寒い時は着られないですものね」と妙に納得してる。


「アイラさん、今日はお時間ありますか?午後に探し物の相談をしたいので、お家に伺ってもよろしいでしょうか?」


「え?はい。ここでも出来ますけど?」


「いえいえ、今それが手元にないので、午後に()()を持ってお伺いします」すると、カイルさんが大きな袋をチャールズさんに渡した。


「すごい量ですね」と私が笑うと。


「ええ、うちには異様に食べる騎士がいるので、偉く腹が減っているみたいで」とチャールズさんが言うと、ついジョンがシチューを鍋いっぱい食べてしまった時を思い出した。


ジョンに会いたいな。。あの毒舌ですら恋しくなる。


「あ、そうだ。アイラさん。お好きな果物はなんですか?」


「イチゴです」


「じゃあそれも持っていきますね」


「え?大丈夫ですよ。チャールズさんも赤い物は苦手ですよね?」


ディーノさんを発見した騎士さんから聞いた、黒騎士団のメンバーはイリウス家に関係する人達で家族や恋人を赤の魔術師に殺され、みんな赤を嫌うと。


「もう大丈夫です。クロード団長が仇を取ってくれましたから。俺達はアイラさんにもすごく感謝しているんです」


クロード団長の名前が出た時、ついビクッとしてしまった。そんな私を見て、

「団長はもう大丈夫ですよ。思ったより時間がかかりましたが。今度アイラさんも黒騎士団の事務所に遊びに来てくださいね。毛糸屋の近くの武器屋です。来た事ありますよね?」


「あ!チャールズさんってあの時の店主!」


「やっと気がつきました?ちなみにあの後、団長にケーキ屋さんを教えたのは、私の妻です」


私が呆気に取られていると、


「ではまた午後に」と言って大量の串焼き肉を持って去って行った。


私も串焼き肉を買って家に帰ったが、何か落ち着かない。


そうだ、クッキーを焼こう。チャールズさんの奥様は美味しいケーキ屋さんを知ってたし、きっと甘いものが好きよね。


15時ごろ、家のドアがノックされた。


ドアを開けるとそこに立っていたのは、チャールズさんではなく、金髪の男性だった。


「ジョン。。。いえ、クロードさん。チャールズさんの依頼だと思っていたのですが?」


「いいや、俺の依頼だ。チャールズにも探させていたが、どうしても探したい人がいるんでね。もっと早く来るはずだったんだが、何せ目覚めたのが今朝で」


「え?もう2週間ですよ?ステータスには1週間って書いてあったのに」


「一回目覚めたんだが、慌ててベットから落ちてね。傷口が開いたので、動かないように睡眠魔法をまたかけられていたんだ。。。ここで話すのもなんだから、中に入れてもらってもいいかな?」


「あ。。すみません、どうぞ」


クロードさんは家の中をキョロキョロしている。そうよね、ここに住んでいたのは覚えていないんだものね。


「お茶入れますね。クッキーもあるので」


「クッキーもいいけど、これをチャールズの奥さんに言われて持って来たんだ。君が好きだって聞いたから」


クロードさんが出した箱にはあのイチゴのケーキが入っていた。ジョンが買ってきてくれたのと同じだ。


私は涙が込み上げそうになって、つい下を向いてしまった。


「今日はね、俺が探している人が何処にいるか調べて欲しいんだ」


き。きた!


クロードさんはステータスに書いてあったドレスの女性を探しているんだ。


心臓が痛い。私はこんなにジョンの事が好きだったのか?


「。。。申し訳ないですが、クロードさん。私には出来ません」


「ん?どうして?」


「。。理由も言えません。ご足労頂いて申し訳ないのですが」


私は俯いたままだ。


クロードさんが立ち上がる音がする。


「まあいいよ、どうせもう見つけたし」


急にカジュアルな言葉遣いになった。クロードさんの靴が目線に入る。


「お前は泣くとブサイクになるから、やめろって言ったろ」と頭を撫でられる。


私がガバッと顔を上げると、ネックレスを外して黒髪になったクロードさん、いやジョンがいた。


「なんでお前、見舞いに来ないんだよ。お前が来てないって聞いて、慌てて会いに行こうとして、ベットから落ちたから1週間入院が伸びたんだからな」と私を立たせて、ソファに連れて行く。


「え?なんで?私の事忘れてないの?」


ソファに座ったジョンは私を膝の上に座らせる。


「ちょ!何してるのよ!!」


「会いに来なかった罰だよ。薄情者め」と言いながら、私の髪や頬にキスをする。


「言ったろ、俺は絶対に忘れないって」


「え?でも」


「それは私の加護のお陰でーす」とフィレーナさんの声がキッチンテーブルの方から聞こえた。


私達がばっと振り向くと、フィレーナさんがいちごのケーキをむしゃむしゃ食べている。


「フィレーナ、お前それはアイラのケーキだ!!!」


「私に加護のお陰でアイラちゃんの事忘れなかったんだから、これぐらいいいじゃない。それにあなた達忙しそうだから、ケーキ食べる暇なんかないわよ」


「こんなのがこの世界の女神でいいのか?すぐに滅亡しそうだ」とジョンがブスッとして言う。


「失礼ね。今回だって上手く行ったじゃない」


「お前、ほぼ何もしてないぞ。それより。。気を利かせろよ。2人きりにさせてくれ」


フィレーナはニヤッと笑うと、残りのケーキを持って消えた。


「あいつ、また食い物に釣られて、誰か転移させそうだな」


「同感。。。」


「さて、続きをしようか。アイラ」


「続きって何よ」


「俺のステータス見てみろよ、きっと変わってるぞ」


鑑定(ステータス)


クロード(ジョン)・アマレット

職業:黒騎士団団長

年齢:25歳

探し物:クリーム色のドレスの女性アイラと子沢山家族


「クリーム色のドレスを着た女性アイラと子沢山家族って何よ」


「お!本当に願望がそのまま出るんだな」


「俺はミラが迷子になった日、このドレスを着たお前に一目惚れしたんだよ。赤の魔術師に家族を殺されて、命からがら逃げた母さんも俺を産んですぐ亡くなった。俺は家族の仇を討つ為に鍛錬を続けた、騎士団長にまでなったが、いつも1人だった。仲間はいたけど、俺自身の家族が欲しかったんだ。子供がいっぱいで賑やかな家族を。そんな時にお前に街で出会ったんだよ。でもお前は名前すら言わずに去って行くし、チャールズに邪魔されるし」ジョンの目が座ってる。。チャールズさん怒られたんだろうな。


「だからお前に会いに行こうとここまでやって来たら、まさか赤の魔術師の家の隣に住んでるとかな」


すごい偶然よね。いや。フィレーナさんは何故この家を選んだ?


「記憶を失ってからも、何故か好きな人がいたことは覚えていたんだ。だから、お前に惹かれ始めた時に、わざと意地悪をして興味がないと思い込もうと思ってたけど、ダメだった。お前もこのドレスは俺の前では一度も着なかったしな。着てたら魔法が解けてたかもしれない。お前が毛糸屋でクリーム色の毛糸を持ってた時になんか思い出しそうになったんだ」


ジョンは私のドレスを見てる。


「俺は記憶を失っても、何度でもお前を好きになる自信がある」


「いや。。そんな簡単に私を忘れないでよ」


ジョンは私を抱えたまま立ち上がった。


「うわ!何処行くのよ」


「とりあえず、俺の子沢山願望を叶えるには早い方がいい。それと。。。。」


「それと。。?」


「パジャマを着てくれ」


「はい?」


「あのブカブカの男物のパジャマ。あれが俺のパジャマだったら、きっとドレスみたいになる。あれはよかった。。男のロマンだ」


「何言ってるのよ、変態!!」


「お前は自分のステータスは見られないのか?探し物の所にきっと黒髪のイケメンでやや変態騎士って書いてあるぞ」


「絶対違うと思う」と言っても、ジョンはそんな事を気にするわけでもなく、私を抱えてベットルームへ歩いて行く。


「ひとつだけポンコツ女神のフィレーナの予言が合ってたな」


「何よ」


「これからゆっくり教えてやるよ」


確かにフィレーナの予言?は合っていた。その日は私達は忙しいすぎて、ケーキやクッキーどころか、夕ご飯まで食べられなかった。



ポンコツ女神の話も他に書いているんですが、フィレーナさんを題材にまた違う話を書こうかな。

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