イリウス家の魔剣と魔盾
「えーーいつ買ったの?」
ジョンはそっぽを向きながら、
「図書館の後。カイルがお前になんか買ってやれって少し多めに賃金くれたから。そこらにいる人に人気のケーキ屋さんを聞いたんだ」
「すごく嬉しい、ありがとう!一緒に食べよう!」
「いらない」とジョンがプイッと横を向く。
「なんで?美味しそうだよ」
「赤いから嫌だ」
「だったら、他の買えばよかったのに」
「アイラはいちご好きだろう、俺はいい」
急に名前を呼ばれて、私は顔が赤くなるのを感じた。
「じゃあ、イチゴのない所あげるよ。ちょっと待っててね」
私は上に乗ってるイチゴを食べて、スポンジとクリームに所だけフォークに刺す。
「いらないって言ってるだろ」
「またまたー、ミラちゃんとクッキーを奪い合うほどじゃない。甘党なんでしょ?カッコつけなくても良いのよ、おねーさんの前では」
「誰がおねーさんだ、ちんちくりんで童顔のくせに。俺はもう寝る!」とジョンが立ち上がる。
「はいはい、お子様はもう寝てくださいね、ケーキありがとう」とフォークに刺さってるスポンジ部分を食べようとすると。
手が不意に掴まれて、ジョンがケーキを自分の口に入れた。
「味はまあまあだな、お前のクッキーのほうが美味いけど」
そう言って、寝室に向かって行った。
「な?なんなの??」
私はその後食べた残りのケーキの味はよくわからなかった。
次の日は朝から吹雪だった。これは外には出られないな。
ジョンはいつもの通りで、朝ごはんが終わったらまたリビングで素振りをしていたけど、それが終わったら図書館で転写してもらった資料を読んでいた。
私はケーキのお礼に焼いたクッキーとお茶を持ってジョンの所に行った。
「それでその資料には何が書いてあったの?」
ジョンは何も言わずに、資料を読みながらクッキーに手を伸ばす。
「あれ?クッキー。美味しい」
食べたの気がついてないのか?
「ああ、いたのか。なんか言ったか?」
「クッキーだけがここに来るわけないでしょ。資料の話。何が書いてあったの?」
「ああ、頭を整理してから話したかったんだ。だからクッキーもっとくれ」
私は黙ってクッキーの皿を差し出す。
「まず、イリウス家は貴族ではなかったが、この国の国民だった」
「え?じゃあなんで私の探索が効かなかったの?」
「ああ、それは。。。もうこの国にイリウス家の名前を持つものがいないからだ。もしくは強力な隠蔽魔法を使っているかだ」
え?もう誰もいないの?
「イリウス家は貴族ではないが、王家御用達の鍛冶屋の家系で主に武器を作っていた。そして今から100年前の当主、ヒューゴ・イリウスは魔法の才もあったことから幻の魔剣と魔盾を作り出した。ひとつは氷の魔剣、俺が持っているこの剣だ。そしてもうひとつは炎の魔盾。こちらはイリウス家が無くなった時に消えて、どこにあるのか不明だ」
「そこに、誰が現在の氷の魔剣の持ち主とは書いてなかったの?」
「書いてはいなかったが、イリウス家の娘が唯一生き残って、この国の何処かに隠れているか、他国に渡った可能性があるらしい」
「イリウス家は今から30年前に、手に赤の魔法陣を彫っている、赤の魔術師に襲われて、皆殺しにされた。その時に最後の当主が魔盾の隠し場所はイリウス家の血を継ぐものかこの他の世界の者にしかわからない所に隠したと言ったそうだ」
。。。他の世界。
へ?
私も含まれる?
ジョンはは私の頭を見つめて、
「アイラ、お前の髪の毛は本当は何色なんだ?」
「え?私の髪?」
なんで突然髪の毛の話?
「地毛は黒だよ。染めてブラウンにしてたけど、ここに来てから染められないから根本が見え始めてるけど」
あ、こっちって髪の毛の染料ってあるのかな?魔法で髪の色変えれるぐらいだし。
ジョンはまだジィッと私の頭を見ている。
「それは意味があって染めていたのか?」
「黒だと重く見えるから、軽くしたくて」
「。。。。そんな馬鹿げた理由で染めてるのか?」とジョンがため息をついた。
「この国で黒の髪を持つのはイリウス家だけなんだよ。だから俺もそうなんだろう。きっと生き残りの娘はこの国に留まって、それが俺の母親だったんだと思う。恐らく、このペンダントで姿を変えていたんだ。だからお前もイリウス家の血を引くもので、赤の魔術師から逃げているから、髪の毛を染めているのかと思ったが違うんだな」
あ。。やばい。イリウス家の血が入ってないって事は、
「アイラ、お前は。。。。」
「はい!そこまでーーーーー!!」私達の目の前に突然フィレーナさんが現れた。
「アイラ、お前は下がれ。ピンクの髪の毛。、赤の魔術師の仲間か?」と私を庇うように、ジョンが剣をフィレーナさんに向ける。
「あらーアイラちゃん、素敵な騎士に守られてるのね」とフィレーネさんは嬉しそうだ。
「なんでお前はアイラの名前を知っているんだ!」
「ジョン、落ち着いてこちらは。。。赤の魔術師じゃなくて、手に魔法陣が彫られてないでしょ。えっと、フィレーナさん、自分で自己紹介してください」
「はーい、私はこの国の女神のフィレーナです。宜しくね」と宙に浮いてみせた。
「。。。。。。俺は夢を見ているのか?」
とジョンが困惑してる。
「夢じゃないわよ。アイラちゃん、ちょっと突っついてあげて」
私が指をジョンさんに向けてじっと見ると。
「やめろ。。。。」
「まあ、話すと長くなるんだけどね。。。」とフィレーナさんが、どうして私がここに来たのかをジョンに説明する。
ジョンは。。下を向いてプルプルしてる。
「じゃあ、何か?アイラは転移者で、お前がそのドリンクが飲みたいばかりに、勝手にこの世界に連れてこられて、家族から離されて、1人で暮らさないといけないのか?」とフィレーナさんを睨んでる。
そう聞くと、確かに私は可哀想な感じがしてくる。
「だ。。だから、出来る限りの事はするわよ。今だってなんだか困ってそうだから、来たんだし」
ジョンはまだフィレーナさんを睨んでる。
「フィレーナさん、ジョンの記憶を取り戻したりとかできないんですか?女神の力で」
フィレーナさんはジョンを上から下まで眺めて、
「無理ね、この魔術は術者が解術するか、死ぬまで解けないわ。そして解術したら、術にかかっている間の事は全て忘れちゃうわね」
え?ジョンは記憶が戻ったら、この私との生活は忘れちゃうの?
胸がキュウとなったが、いいえこんな意地悪ばっかり言う男なんかいないほうが、スッキリ一人暮らしできて楽しいわよ。
「その代わり、ジョンにはなんか加護をかけてあげるわよ。魔法耐性とか身体強化とか」
「おい、フィレーネ、こう言うのは出来るか?」
ジョンがフィレーネに何かを聞いているが、私はさっきの話がなんだかショックで、ぼーっと図書館からの資料を見ていた。
炎の魔盾、イリウス家の血筋か転移者しか見つけられない。手に持った人は魔法耐性
がつく。
これがあると、赤の魔術師の魔法を弾かれるから、先に見つけておきたいのか?
じゃあ、私が何処に魔盾があるか見つければあの赤の魔術師を誘き出せる?そして、そいつを倒せばジョンの記憶を取り戻せるってこと?
私の事は忘れても、ジョンには幸せになってほしい。
「探索」
「おい、アイラ、何を見つけようとしてるんだ?」とジョンが焦った声で聞いてくる。
私の目の前にはマップが現れた、
炎の魔盾
距離:1km
これは国立図書館のマップだ。あの地下の閲覧室の奥にあるの?
「ジョン、炎の魔盾は国。。」
その時、玄関のドアがバタンと開いて、ディーノさんの奥さんが入って来た。
「この吹雪の中どうしたんですか?ディーノさんに何かあったんですか?」
奥さんは無言だ。
「アイラは。。こいつは赤の魔術師だ。手を見ろ」そう言われて、奥さんの手をみる。そういえばいつも手袋をしていた。手には赤いインクで描かれた魔法陣がついている。
「ひいぃ」私は後退りしたが遅かった。
「じゃあ、炎の魔盾を取りに行こうか、アイラちゃん」と赤の魔術師は私を掴んで転移した。




