王立図書館
「なんだったんですか、あれは?」とジョンに尋ねたが、彼は赤のクロークの人がいた場所を睨んでいるだけだった。
「。。。わからん、とりあえず王立図書館が閉まる前に行こう」
「はい。。え??なに?」
ジョンは私の手を握って引っ張り始めた。
「お前の歩きは遅いからな。ついて来れないなら、抱き上げてやろうか?どっちに行けばいい?」と振り向きながら言う。
「け。。結構です!この道を真っ直ぐで突き当たりを右です」
王立図書館に着いたときは私は息も絶え絶えだった。
その間にジョンは司書さんの貴族名鑑の場所を聞いていた。
2階の奥にあると言うことで、静かに階段を登る。
大きな本を棚から取り出すと、「イ」を探し始めた。
しかしやはりイリウス家はこの国の貴族にはいない。外国の貴族名鑑もあるが、もちろん外国語で書いてあるのでよくわからない。
「ジョンがもし外国から来ていたら、これも読めるじゃないの?」
「いや、ここにある近隣の国の名鑑は見て見たが、言葉は理解できなかった」
「。。。あ、魔剣の資料とかあるかな?ステータスに氷の魔剣って書いてあったし。司書さんに聞いて見よう」とまた一階に降りていく。
「魔剣の資料は地下になります。その階段を降りて右ですね。後30分で閉館ですので、それまでにお済ませくださいね」とランプを貸してくれた。
「おい、そんなにくっつくなよ」とジョンが怒ったように言うが顔が暗くて見えない。
「ごめん、私。。昔からお化け屋敷はダメで」とジョンの背中にしがみついついている。
「おばけ??なんだそれ」
「ゾンビ見たいなもんよ。死んでるのに出てくるやつ」
「アンデットみたいなのか?ここにはいないと思うぞ」
「あんたに言った私がバカだったわ、もういい」と背中から手を離すと、すぐにジョンが手を握ってくれた。
「これなら、安心できるのか?」
「。。。ありがとう」
優しい所あるじゃない。さっきも私を守ろうとしてくれたし。
「ここで倒れられたら、面倒だからな」
。。。前言撤回。
やっと地下の書庫に着いた。他の人はいないが、明かりが灯っているので安心だ。
階段と廊下にも灯りをつけて欲しい。
司書さんに教えてもらった魔剣の本がある棚に行く。
魔剣の歴史
魔剣と戦争の歴史
魔剣図鑑
とりあえずこの3冊かな。2人で手分けして本を読む。こちらの字は日本語で書いてある。もしかしたら勝手に翻訳されているのかもしれないけど。
私は図鑑をめくっていたが、氷の魔剣があった。
ここにもイリウス家に伝わる氷の魔剣でどのような効果があるしか書いていない。
ジョンを見ると、あるページで止まっている。
“イリウス家と幻の魔剣と魔盾”
私が話しかけようとすると司書さんがやってきた。
「そろそろ閉館の時間です。片付けて上に上がってきてくださいね」
「あ、あのこの本は貸出できますか?」と私が聞くと、本の背表紙をチラッと見て、
「すみません、こちらは閲覧のみですね」
「ジョン、それは読み終わった?」
「ああ、だがもう一回読み返したかったな。また次回にしよう」とちょっとがっかりした顔をしている。
「あ、では転写サービスをしますか?そのページ数ですと大銅貨1枚になりますが」
転写サービス。。。え?コピー機があるの?
「是非お願いします」とジョンが大銅貨を出している。
「ではこちらへ」と司書さんは奥にある小さなカウンターへ連れて行ってくれた。
紙を転写したいページの上挟んでいく。
そして司書さんが手を本に置いて、何か呟くと本が光った。
そして挟まれた紙を抜き取ると、表裏に字が印刷されていた。
うわーー便利。コピー機やスキャナーより早い。
「ありがとうございます」と私たちは司書さんにお礼を言って外へ出た。
「うわ、寒い!」と思わず声が出る。
日が暮れ初めて、気温が下がってきた。これは本当に雪になるかも。
「雪が降る前に帰ろう」と私が歩き始めると。
どこかを見ていたジョンは、
「すぐに追いつくから、先に行ってろ」といって、逆方向へ進んでいく。
「ええ?道わかるの?待ってようか?」
「お前の足の遅さなら、俺が1時間後に出ても追いつく。ここを真っ直ぐいくだけだろう。大丈夫だ」
はいはい、どうせのろいですよ。
それでも心配になって、少し行ってから振り向くと。ジョンは綺麗な女性に話しかけてた。
何よ、好みの女性がいるから私が邪魔なだけだったんじゃない。
私はぷりぷりしながら、家に帰る道を歩いて行った。
市場を超え、家の数がまばらなになってきて、あと家まで10分ぐらいになったが、ジョンの姿はない。
「何よ、すぐに追いつくとか言って」
それともあの女性と仲良くなって、あの人と食事でもしているんだろうか。
なんだかむかついてきた。
「まだ赤い毛糸あるし、これでジョンのパンツでも作ろうかしらね」
「毛糸のパンツとかどんな色でも履かねえよ」と真後ろから声がした。
ばっと振り向くと、息を切らせたジョンがいた。
ちょっと顔が緩みそうになったが、素早く顔を作って。
「あら、やっと追いついたのね。もっと早くくるかと思ったのに」
「まあな、でも追いついたぞ。やっぱりお前遅いな」
こいつ。。早く着いてれば、家から閉め出せたのに。
家に着いて、カイルさん達が置いてくれた荷物を運び入れてしまう。
夕ご飯は今日は皮をカリカリに焼いたチキンステーキとマッシュポテトにした。
「これ美味いな。皮がカリカリでいい」
珍しく褒めてくれる。単純な私は嬉しくなってしまった。
夕ご飯の後、外を見ると雪が降り出した。
私はお風呂に入ったが、まだ寒いので暖炉のあるリビングにやってきた。
寝巻きにショールとだいぶラフな格好だが、まあいいだろう。寝巻きはズボンのだし。こっちのネグリジェみたいなのは朝になるとめくれてて、どうも好きじゃない。このスタイルは男性用しかなくてブカブカだけど。
リビングで素振りをしていたジョンは私が入ってくると、
「な。。なんで男物の寝巻きを着てるんだ!」と慌ててる。
「女物だとスースーして寒いから。私は寒がりなの。部屋もまだ寒いからここで暖まるわ」
ジョンは剣を置いて、
「雪が強くなる前に、薪をもうちょっと持ってくる」と外に出ていく。
え?これ以上薪はいるの?
寒いのに、こう言うことは嫌がらずにやってくれて助かる。
私はお茶でも淹れてあげようとお湯を沸かし始めた。
なんかいつもより時間がかかっているので、ちょっと心配になって様子を見に行こうとすると、ジョンが帰ってきた。
え?なんでこんなに雪が頭の上に乗ってるの?
「薪は?どうしたの?」
ジョンの手は空っぽだ。
「。。忘れた」
「え?記憶喪失が進んだ??大丈夫?」
私はタオルを掴んで、ジョンを暖炉の前に座らせる。
黒色の頭をガシガシ拭く。
ジョンは街から帰ってきたら、すぐにペンダントを取って元の色になった。なんか変身は疲れるらしい。
「いってーな、もっと丁寧にやれよ」
「嫌だったら、外で雪だるまにならなきゃいいのよ」
ある程度乾かしたら、私はキッチンに行ってお茶を持ってきた。
「ほら、風邪ひいちゃうから、お茶も飲んで」
ジョンは私をじっと見て。部屋から箱を持ってきて、私に開けるように言った。
何これ。
「え?何?ケーキ???うわーかわいい」
中にはいちごがお花のように飾られたケーキが入っていた。
ジョンはスマートにアイラを揶揄う感じにしたかったけど、不器用な感じになってしまいました。




