串焼き肉と騎士
それからは、私はこの世界に馴染もうとする毎日だ。
初日はこれが夢である事を願って、寝たが。。。起きてもまだこの世界にいた。
「。。。会社に休むって連絡はできないか」
お腹がぐぅとなった。
「この世界に冷蔵庫とかあるのかしらね」
昨日はちゃんと見ていなかったが、照明も冷蔵庫もレンジもオーブンもあった。
違うのはコンセントのような物はなく、石がはまっている。
電池みたいなものかしらね。
冷蔵庫にハムと卵があったので、ハムエッグを作って食べた。調理道具も全部あるし、なんの不自由もない。
さて、買い物に行かないと、街も見たいし。
流石にスーツで行くわけにいかないのでクローゼットを見てみると、ピンク、水色、クリーム色のドレスが入っている。
うわー28歳にはきついなこれ。
まあ他には何もないし、とりあえずクリーム色のドレスを着てみる。
サイズもピッタリだし着心地はいい。
「さて、行きますか!」
キッチンにあったバスケットと昨日フィレーナさんに貰ったお財布を持って、外に出る。
街まではどうやら一本道っぽい。
歩き出すと牧草地みたいな所で牛の世話をしているお爺さんにあった。
「おはよう、アイラちゃんかな?。お買い物にいくのかい?」
なんで私の名前知ってるの?
フィレーナさんが宣伝したって言ってたから?
私は小声でお爺さんを見ながら鑑定という。
名前:ディーノ
職業:牛飼い
年齢: 68歳
探し物:眼鏡(価値:大銅貨8枚)
「お。。おはようございます、初めましてディーノさん。あの、眼鏡を探しているんですか?」
「おお流石だね、昨日から何処にも見当たらなくて困ってたんだよ。探してもらって良いかい?」
「は。。はい」
どうすれば良いんだ?ディーノさんの眼鏡って考えながら。
「探索!」というと、また画面が現れて。カーナビのような画面が出る。
今いる所の地図と方位磁針のような矢印
目標まで:50m
「家の中みたいですね」
私とディーノさんは家に一緒に行く。
すると画面が家の見取り図に変わった。
赤い丸がキッチンの所についている。
「キッチンにあるみたいですよ?」
「キッチンか。。確かに昨日そこで眼鏡を外したな。でも見つからなかったんだよ」
私はディーノさんのお家に入ってキッチンを見せてもらう。すると画面がキッチンの見取り図になり、冷蔵庫に赤い丸が付いている。
「冷蔵庫。。にあるみたいです」
ディーノさんが冷蔵庫を開けると、中には大きなゼリーがあって。
眼鏡がゼリーの中にあった。
ディーノさんは大笑いしてる。
「そういえば、眼鏡を外した時に型みたいなのに入れたんだ。ボウルかと思ったらゼリーの型だったんだな」
その騒ぎで奥様も来られたが、ゼリーをみて、私の顔を見て、ニヤッと笑った。
「こんな所にあったのね。お恥ずかしい」
ディーノさんに探し物を見つけてくれた値段はいくらか聞かれたが、どれぐらいが相場なのか全くわからないと言ったら。
「前にいたピンクの髪の子は、その物の価値の1割って言ってたぞ」
眼鏡の価値が大銅貨8枚だから、1割で銅貨8枚か。
「なら銅貨8枚なんですが、ディーノさんは牛乳を売ってますか?それと交換にしません?」
「牛乳なら1本銅貨2枚だから、4本もいるか?チーズでも良いぞ」
「チーズの方が嬉しいです!」
「では牛乳2本とチーズを後で家に持って行くよ、どうもありがとうな、アイラちゃん。眼鏡を取り出すのにゼリーも食わなきゃいかないが、お茶でもして行くか?」
「大丈夫です。買い物もあるので」
「気をつけてな。ここと比べて、街は賑わってるぞ」
「はーい、では行って来ます」私は2人に挨拶をして、また街へ行く道を進んでいく。
新鮮牛乳とチーズ。ワインとか売ってるかな、あとサラミとか。
そんな事を考えて歩いていたら、道の周りに家が増えて来て、道がレンガに変わった。
そのまま真っ直ぐ行くと噴水のある広場についた。そして周りにはいろいろな屋台が出ている。
美味しそうな匂いもする。
うわー串焼き肉とか美味しそう。
物の相場を見るために屋台を眺めてぶらぶらしてみた。串焼き肉は銅貨3枚、大きめのパンは銅貨2。まあそこまで物価は違わないか、少し安いぐらいね。
私はサーチを使って、肉屋、八百屋、酒屋を探しては巡り、酒屋の近くのベンチに座った。
あー疲れた。お腹も空いたし。
お財布の中には、あと大銅貨が3枚残ってる。串焼き肉買って、お昼代わりにしちゃおうかな?広場の串焼き肉屋さんに向かおうとすると。
「うわーーーん、お母さん!!!」という泣き声が近くで聞こえた。
小さな女の子が泣いていて、その前にはオロオロとしている金髪の大柄な男性がいる。黒い制服を来て、腰には剣をつけている。
あれが騎士なのかしらね。
どうやら女の子は迷子みたいだ。
私は女の子を見ながら「鑑定」というと、
名前:ミラ
年齢:5歳
探し物:母親-アンナ、父親-カイル (価値:不明)
と出た。そこでお母さんのアンナさんを頭で考えながらながら「探索」というと。
画面が現れ、広場のあたりでうろうろしている赤い点が見えた。
私は泣いている女の子の方に近づく。
「こんにちは、ミラちゃん?お母さんは向こうにいるみたいだから、連れて行ってあげるよ」
女の子はびっくりした顔でこっちをみている。オロオロしていた騎士さんもそうだ。緑の目が不審そうに私を見ている。
「今の言い方じゃ怪しいですよね。私はこの街で探し物屋をしているものです」
その騎士さんはすくっと立った。うわ!背が高い。しかも美形。
「ああ、噂で聞いた事がある。街の外れに住んでいると。助かった、これでこの子を母親の元へ連れて行ける」と礼をしてくれた。
「あ、どうやらお母さんはこの子を探し回っていて、どんどん移動しているので、私も行きます」
「そうだな、その方がいいな。お前はミラというのか?こっちへ」
ミラちゃんが恐る恐る騎士さんに近づくと、騎士さんはミラちゃんを肩車した。
「この方が見つけやすいだろう」
広場に行くと母親はすぐに見つかった。
お礼をと言われたが、私は大した事をしていないと言ったら。
「お店のもので悪いけど」ってさっき私が食べたいなと思っていた串焼き肉を沢山くれた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃんありがとう!!」というミラちゃんに手を振って別れると、私と騎士さんだけになった。
「騎士様、失礼かもしれませんが。私ではこれは食べきれないので、私は2本あればいいので、あとは貰って頂けませんか?」
「いいのか?ちょうどお腹が空いていたんだ」とにっこり笑う。うわーイケメンの笑顔が眩しい。
私は串焼きを分けて、騎士さんに渡した。
「団長ーー、ここにいたんですか?何買い物しているんですか?もう向こうで副団長が呼んでますよ」
「では私はこれで」と騎士さんに挨拶をして家に戻ろうとする。
「あ、あのお嬢さん。。。。串焼き肉ありがとう」と騎士さんが言う。
「私はちょっとお手伝いしただけですよ。こちらこそ、ありがとうございます」と言ってその場を去った。私は串焼きとワインでお昼ご飯とワクワクしていたので、その騎士さんが何度も私の方を振り返っていたのは気がついてなかった。
9話しかないのに、メインキャラはやっと次から登場です。




