全てはレモンサワーのせい
今日は本当にいい天気だ。
この国では冬は長く、その間は曇りの日も多く夜が長い。
やっぱり陽の光を浴びないと調子が悪くなるし。まあ気温はちょっと低いけど、買い物ついでに散歩に行こう。
用意をして、今日は何を買おうかと玄関のドアを開けようとしたら。なんかドアが重い、ていうか開かない。
何かがドアの前に置いてあるみたいで、私の力では無理だ。
また誰かが大物の落とし物を持ってきたのかな?
私はアイラ。このロウレン国の王都の外れに住んでいる。実は転移者なのだが、この国で国をあげて私を召喚したとかもなく、魔獣に悩まされて聖女が必要とかそんな事もない。
仕事帰りにコンビニでレモンサワーとおつまみを買って帰る途中で、気がついたらこの家の前に立っていた。
周りに家もなく、とにかく寒かったのでドアをノックするとそこにはピンクの髪に青の目を持つ女性がいた。
「今日はーー、私はフィレーナです。アイラちゃん?宜しくね!」
何故私の名前を知っているんだ?
きっとこれは夢だな。レモンサワー飲み過ぎ。。。でもレモンサワーの袋は私の手にまだある。
「さあさあ入って。ちょっとお話ししましょう」
中は暖かく、フィレーナさんは私を暖炉の前のソファに座らせた。
フィレーナさんも隣に座ったんだけど、私じゃなくて、コンビニも袋をチラチラ見てる。
「あの。。。すごーーく厚かましいお願い何だけど。それレモンサワーよね。1本もらえない?」
私は袋から6種類のレモンサワーを出した。つい買いすぎたと思ってたのでちょうど良い。
まあ夢だし。
「おつまみも食べます?」
私はおでんの入れ物も出す。
「良いの?すごく良い匂いって思ってたの」
フィレーナさんはいそいそお皿とフォークを持ってくる。私は具材を半分に切って、お皿に入れてあげた。
「レモンサワーも好きなのを。。これは私のおすすめで、中にレモンスライスが入っているんです」
フィレーナさんはそれを飲んでみたいというので、私は蓋を開けてあげた。
「「乾杯」」
あれ?ちゃんとおでんもレモンサワーも味がする。随分リアルな夢ね。
「美味しかったー。。アイラちゃん。これからの事何だけど」レモンサワーを2本飲んだフィレーナさんの顔は赤い。
「本当に申し訳ないけど、元の世界には戻れないの。レモンサワーだけこっちの世界に持ってこようと思ったら、まさかアイラちゃんもついてくるとは思ってなくて」
はい?私は飲んでいたレモンサワーをテーブルに置く。
「前にやった時は上手く行ったんだけど、何でかな?ごめんね?」とぺこっと頭を下げられた。
「ちょっと待って?これ夢よね?こっちの世界って何?」
「えっと、私は女神の見習いで。この世界とアイラちゃんが住む世界を繋げる役目をしてるんだけど。まあ、この世界ではあと100年ぐらいは特に問題もないし、その時に聖女を必要とする時に練習って事で、人気のない所で転移の練習してたら。誰かがベンチの上に置いていた、コンビニの袋をこっちに持ってきちゃったのよ」
それは普通に窃盗では?
「その中にレモンサワーがあって、戻せないし。有り難く頂いたの。もう衝撃的だったわ」フィレーナさんはうっとり目を閉じている。
「だから、あなたがレモンサワーをいっぱい持って歩いている時、一本だけ頂こうかなと思って」
「え!計画的犯罪じゃないですか!」
「。。。私もちょっと悪いかなと思ったけど、どうしてもレモンサワーが飲みたかったの」
何?レモンサワー中毒?
「で。。。ちょっと興奮して加減を間違えて」
「私ごと転移させちゃったんですか?何してるんですか!!!」私は新しいレモンサワーの缶を開けようとするフィレーナさんから缶を奪う。
「だから申し訳ないと思って、この家と仕事&スキルを用意しました!」
全然申し訳そうじゃないし、酔っ払ってる。
「まずこのお家!アイラちゃんの好きに使ってください。ちょっと街から外れてますが、防護バリアを張っているので、アイラちゃんに危害を加えようとしている人間や魔獣とかには襲われません!アイラちゃんにも加護をつけたので、襲われても怪我もしません」
「ちょっと待って、魔獣って何よ」
「そして仕事!これはスキルに関わるんですが、探し物屋さんです!」
「探し物屋さん。。。探偵みたいなもんですか?」
「探偵?その名の通り、誰かがなくした物を探したり、落とし物の持ち主を探せすの」
「そんなの商売になるんですか?この街の人そんなに物を無くすんですか?」
「大丈夫、もしお客様が来なかったら、私がどこかの貴族の貴金属でも隠してくるから」
それも犯罪。。。。
「だから、アイラちゃんはここで安心して住んでね。まあ、先立つ物は必要だろうだし。これもあげる、レモンサワーのお礼」
なんか皮袋を渡された。コインが入ってる?
中には大小の茶色のコインが入ってた。
フィレーナはコインを出して、説明してくれる。
どうやら小銅貨が100円、大銅貨が1000円、小銀貨が10000円という感じらしい。
「このお財布は毎日小銅貨10枚、大銅貨10枚入っているから、贅沢はできないけど、飢える事はないわ」
。。。働く必要ある?私?
「探し物ってどうしたら良いんですか?私がここに住んでいる事を誰か知っているんですか?」
「街の住民はもうあなたがここにいて、探し物屋さんをしているって知っているから大丈夫よ。私が引っ越すから、後釜にあなたを迎えたって宣伝しておいたわ」
そしてフィオーナは私の右手を取って、レモンサワーの缶を持たせる。
「鑑定って言ってみて」
「す。。鑑定!」
〇〇社 レモンサワー
350ml 160円
と書かれた画面が現れた。
「それはあなたと私にしか見えないからね。逆に誰か探し物をしているときは、探索って言えば何処にそれがあるか画面に地図付きで出てくるわ」
カーナビみたいね。
「じゃあ、私はそろそろ行くわー。レモンサワーご馳走!!」と言ってフィレーナさんは消えてしまった。
「え??ちょっと待って」
。。。。私はここで本当に暮らして行くの?
なんかレモンサワーが飲みたくて、こんな始まりになってしまいました。




