妖刀
「おーい、おーい、聞こえるか?久しぶりじゃな、おぬし」
そんな声をして振り返ると、一人の女の子が立っていた。
「なんであの時わしを置いてどこかに行ったんじゃ?すごく寂しかったんじゃぞ」
「誰だ?名前すらも知らないんだが」
「え!わしのこと忘れたのか?わしじゃぞ稲光ちゃんじゃぞ、少しあっていない間に人って忘れるもんじゃな。」
「いや、あったことすらない、というよりお前は何なんだ?稲光と言っていたが、私は妖刀に触れただけだぞ」
「そうじゃなーまあいいなればその妖刀じゃよわしは、おぬしが昔に愛用していた妖刀、懐かしいのお、5000年ほど生きて居るが、おぬししかわしを使えたものはいない、お前に再会できてうれしいぞ」
「すまない、本当にわからない。」
「残念じゃなーまあいいわしもおぬしの名前を度忘れしてしまった、なんていうんじゃったけ?」
そんな質問を返せるわけがなく、私は咄嗟に
「雪花だ」
「うっそじゃー、その名前はしっくりこない。まさかおぬし記憶を失っているのか?昔に比べ無情さは消えたようじゃが。」
「無情さとはなんだ?私はそれほど冷酷な人間ではない」
「まあそんなのことはいいんじゃ、というより、近くにいる女の子は誰じゃ?彼女はどうしたんじゃ?いたじゃろう」
「彼女?稲光、お前は多分人違いをしている、私に彼女なんていない。」
「いいやいたぞ、可憐ちゃんがいただろう、お前たちはいっつもいちゃいちゃしていた、残念じゃな、別れてしまったなんて。」
「本当にいないぞ、あまり勘違いしないでくれ」
「勘違い?絶対違う、おぬしはおぬしじゃ、昔見たまんまと何ら変わりがない、まあいい早く戻った方がいいんじゃないか?皆待っておる、まあおぬしにまた使ってもらえるなら、わしもうれしいぞ、だが今のわしは腐っても売り物じゃ、買ってから契約とかしような、じゃまっておるぞ」
そう稲光が言うと私は元居た場所へと戻った
「大丈夫?雪花ちゃん、急に止まったからびっくりしたよ」
「大丈夫だ、これを買ってもいいか、店主」
そういい店主の方を向く
「いい、だが条件を課す、私もお金だけでそれを手放すほど馬鹿はやっていない。」
「いいぞ、その条件というのは何なんだ?」
「うーん、じゃあここらへんで出回っている人さらいの、ボスを倒せ。それが条件だ、これぐらい簡単だろう、まあそれをクリアすれば無料でいい。」
「わかった、簡単だな、任せてくれ」
「あんた余裕ぶっこいていると足をすくわれるぜ、まあ、それまでの武器をあんたに渡す。壊してもらっても構わない」
そういい店主は武器を差し出してくる。
「こいつは、一般的な刀だ、こいつで手慣らしもかねてやってこい、性能に関しては申し分ない。」
「ありがたい、では、これで」
「ああ、まあせいぜい死なないことだな。一応応援してやるぜ、雪花」
「任せておけ」
そう会話を交わし私たちは店を後にするのだった