村
そうしてまた私は歩き始める。
少し歩き始めたころ1本の木の陰から誰かの影が見えた。
「大丈夫ですか?こんなところで何してるんですか?」
ん?
「最近ここら辺ではね、人さらいが多発してるらしくて、私の村ではこの森には近くなっていわれててさ、しかもあなたは女の子だから大丈夫かなって?」
どうやらこいつは悪い奴ではなさそうだ
「すまない、森で迷ってしまって、もしよければその村というものに連れて行ってほしい。」
「わかった、じゃあ案内するね」
「ああ、ありがとう」
「こっちだよ!たぶん20分ぐらいで着くと思う!」
そうして私たちは歩き再び歩き始める
「ねぇ」
「ん?どうしたんだ?」
「あなた?名前はなんていうの?」
そういえば、私名前なんて言うんだろう?
「ねぇ?どうしたの?固まっちゃって」
「ああ、すまない。」
「で、結局名前は何なの?」
「名前は、忘れてしまった」
「名前を忘れることってあるの?いっつも呼ばれているはずでしょ?」
「当分呼ばれていなくてな、そのせいで忘れてしまったんだ」
「ふーん変なの、まあ思い出したときに教えてよ、あなたの名前」
「ああもちろんだ、今はそうだな、雪花とでも呼んでくれ」
「何それー、てきとー過ぎない?」
「思い出すまではこれでいい、今付ける名前に意味なんていらない」
「なんか寂しいねそれ、私ね人ってどうやって生きて存在してるのかなって思ったとき、その一つは名前だと思うんだよね。だから早く思い出そう、そうじゃないとまるで死んでるみたいじゃん。」
とそんな急に出てくる言葉に困惑が隠し切れなかった。だが私はそれに続くようにある質問をする。
「そういえば、なんでここに来たんだ?村の人たちに出てはいけないと言われていたのではないか?」
「あ、それは、、」
「お前は何か目的があってここに来た違うか?」
「ええと、そういうわけじゃないの、銃声が聞こえたからさ」
「ここから歩いて20分かかるというのに聞こえるほどの銃声なのか?そもそもつくのが早すぎる気が?」
「いいから!歩こ?あともうちょっとだから」
「というかあなた寒くないの?これ、飲んで、あったかいからさ。」
そう言って彼女はホットココアが入った水筒を差し出す
「ありがとう」
そう返事をし私はそれを手に取る
「熱いかもしれないから、気を付けてね」
「ああ、ありがとう」
そんな他愛のない会話をし私はその飲み物を口にする
「ほんとに熱いから気を付けてね」
そんな警告も耳に止めずその飲み物を一気飲みする
「大丈夫?熱くない?」
「ああ大丈夫だ、何ならぬるいくらいだと思う」
「そうなんだ、じゃあ私も飲むね」
「ああ」
私は水筒を彼女に差し出す
「いただきまーす!」
と言い彼女は飲んだ、その時
「あっつ!!!よくこれ一気飲みできたね⁉君まるで人間離れしてるよ、こんな熱いのあんなスピードで飲めるなんてさ」
「そんな熱いか?ぬるかったような気がしたが」
「全然熱いよ、やけどしそう」
「大丈夫か?」
「うん大丈夫、あ、もうすぐ着くよ、村に」
「あとちょっとだな」
そうして、私たちは光の中へと段々と向かっていくのだった