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僕らの爛れていない性生活

僕らの爛れていない性生活 第8話「想うということ」

作者: カギ野あや

今私には好きな人がいる。

その人は今までに見たどんな人とも違っていて、ちょっと変わり者なんだけど、そんなところが特別に輝いて見えて、好き。

でも本当に掴みどころのない人で、正直何を考えているのかもよく分からない。

周りの友達とは笑いあっているから伝わってるのかな。

彼を理解できることが正直羨ましい。

同じ教室で毎日授業を受けて、ほんの数個離れた席でお弁当を食べているのに、私たちはほとんど話したことがない。

接点があったのは、学期の初めの方で席が近くなった時に会釈したことと、落とした消しゴムを拾ってもらったこと、それからほとんど仕事のない図書委員で私が当番の時に彼が本を借りに来たことくらいだ。

同じ委員会に入ったはずなのに、図書委員は図書室の当番をするだけの委員会で、全く接点ができずに落ち込んでいたが、あの時は少し話もできて、図書委員になってよかったと思った。

彼は意外とフレンドリーな人みたいで、同じ委員会だからか私にもわりあいフラットに接してくれた。

そんな彼に、放課後呼び出された。

私のLINEに突然メッセージが送られてきたのだ。

クラスLINEから探したらしい。

私はもう帰るところで、校門も出てしまっていたが、急いで学校まで引き返し、呼び出された駐輪場まで早足でやってきた。

駐輪場の裏の遅咲きの桜の花びらが、地面一杯にぐしゃぐしゃに広がっていて、その中で彼は隅の方にしゃがんでスマホを弄っていた。

そんな訳はないと頭では否定しながらも舞い上がっていた気持ちがゆっくりと萎んでいった。

それでも彼から呼び出されたのだからどぎまぎしてしまう。

きっと赤らんでしまっているだろう顔で、彼におずおずと声を掛けた。

「ああ、来たか」

彼はしゃがんだまま首を起こして私を見上げた。

それからおもむろに立ち上がると、さらに人気のないほうへ歩き出した。

私はあわてて付いていきながら尋ねる。

「ど、どこに行くの?」

「すぐそこだよ。自分の恋愛話をわざわざ他人に聞かせてやるような趣味はない。」

それを聞いてすぐにまた舞い上がった。

体の下の方からどんどん熱が上がって来るような気がした。

「れ、恋愛話なんだ?」

期待を込めて聞いた。

「ああ」

本当に少し移動しただけで、彼は素っ気なく返事すると立ち止まった。

校舎で影になっているとはいえ駐輪場から数メートル程度しか離れていない。

ここから先は地面が土だからだろうか。

「さて、単刀直入に言おう。好きだ、付き合ってくれ」

望んでいた言葉が彼の口から放たれた。

その言葉を聞けば顔から火が吹き出し倒れるかもしないと思っていたのに、私の熱は上がることも下がることなく、依然期待を浮かべたまま。

「信じられない」

口を突いて出ていた。

彼から告白されれば二つ返事で了承するものだと思っていたから、自分でも驚いた。

けれど、信じられないというのは本心だった。

私は信じさせてほしかった。

私のことが本気で好きだと彼に示してほしい。

私は未だ紅潮した顔で彼を見つめる。

しかし、彼は顔色一つ変えることはなく、私の期待にもこたえない。

「信じてもらう必要はない。それを聞くってことは、俺が本当に綾瀬を好きなら付き合うってことでいいか?」

途端に自分の気持ちが全部見透かされているような気がして、恥ずかしくて泣きそうになった。

「どこかで友達が見てるの?」

必死に涙を堪えて俯きながら問う。

「だから他人に見せてやる趣味はないって」

吐息交じりの淡白な声が何故か私に疑うことを止めさせた。

「んじゃよろしく」

彼はそう言って私の横を通り過ぎて行ってしまう。

すれ違いざまに肩の一つでも叩かれるかと思ったが、彼は私にそれ以上の声を掛けることも触れることもなかった。

彼と付き合うことになったのだろうか。

嬉しいことのはずなのに、自分の気持ちを弄ばれているような惨めな気持ちで泣きたくなった。

それでも確かな期待と喜悦が湧き上がる夢見がちな自分がますます私を虚しい気持ちにさせた。

「おーい、もう帰るだろ?」

駐輪場の方から呼びかけられる。

鼻をすすって振り返ると、自転車を押した彼がこちらを見ていた。

そういえば彼は自転車通学だった。

彼が校門の方へ顎をしゃくる。

それでも私が呆然と立ち尽くしていると、彼は再び自転車のスタンドを立て、私の方へ歩み寄って来る。

俯いた私の顔を見て、一瞬ポケットに手を伸ばすような仕草をしてやめた。

「なんで泣いてんだよ。帰ろうぜ。」

彼は腰に手をやり、傍でただ私を待っていた。

私はどうしていいか分からず、しばらく呆然としていたが、まずは顔をどうにかしなくては。

目を拭って、鼻をすする。

「ごめん、ちょっと顔洗ってきていい?」

きっと今の私は絶対ブスだ。

「いやいいよ。鼻かんだらもう帰ろう。家帰ってから存分に悶えてくれ。」

まさか断られると思っていなかった私はまたどうしていいか分からなくなり、恥ずかしさに耐えながら言われた通りに鼻をかみ、歩き出してしまった彼のあとを慌てて追った。

帰り道の間は学校でのテストとか、誰誰がどうしたとかそんな本当にどうでもいい話しかしなかったが、初めて彼とこんなに喋って天にも昇る気持ちだった。

自分の顔が気になって目を見て話しなんてとてもできなかったが、それでも先ほどまでの暗澹とした気持ちはどこかへ消えてしまっていた。

話題はぽつぽつと彼が喋る話に乗るだけなので、私が訊きたいことはなんとなく訊けなかった。

それでも、彼と一緒に下校できることが付き合ってるって感じがして嬉しくて、彼が自転車を押して私と歩いてくれることに無性にときめいた。

別れ際、私はもっと話していたくてもじもじしていたけど、彼は一言。

「じゃまた明日」

と片手を上げさっさと自転車にまたがると、こちらを振り返ることもなく走り去っていってしまった。

私は嬉しさともどかしさとが入り混じったくすぐったい気分で家に帰り、鏡を見て絶望した。


それからの私の生活に特段大きな変化はなかった。

学校内で言葉を交わすことはほとんどなく、昼食も私はいままで通り友達と食べている。

LINEでのやりとりもない私たちの間で唯一恋人らしいと言えるのは、放課後に一緒に下校することだけだ。

クラス内で私は目立つ方ではなく、彼は、目立ってはいるけれど、クラスの中心的な人物ではない。

付き合った翌日くらいには何人かの女子に話を聞かれたり、数日間は友達とワーキャー言っていたものだが、カップルだ何だと囃されることもなく、今でも私たちの関係を恋人だという人は私の友達くらいのものだ。

付き合ったその日はこれから学校が終わってからも通話したりしておしゃべりするものだと思っていた。

けれど、私が下校後に送ったLINEの返信が来たのは翌日の朝で、しかも内容が、ごめん気付かなかった、という一文とそっけない返事だけで、聞けば家にいる間はほとんどスマホを触らないらしい。

返事を待って夕方から一晩中ずっともやもやしていた私はまたしても泣きそうだった。

次はお昼を一緒に食べようとした。

彼はいつも教室の自分の席でひとりでお弁当を食べていたからこれからは一緒に食べられると思って、付き合ってから一週間ほど経ってようやく勇気を出して誘ったのだ。

彼は渋ることもなくすんなり頷いて、二日だけ一緒にお昼を食べた。

三日目には彼の別の友達が先に来てしまったのだ。

滅多に来ないはずなのだが、その友達は二日連続で来て、さらにそれが木曜日と金曜日だったものだから、間に休みが入ってしまって、明確に約束していたわけではないとはいえ、私が来ることを分かっていて友達の誘いを断らなかったことを思うと、月曜日に再び声を掛けることができなかった。

彼が本当に私のことが好きだなんてこれっぽっちも思わないけれど、彼は私が委員会で遅くなる日も必ず待っていて一緒に下校してくれるし、彼と帰る時間は間違いなく幸せで、私は彼がやっぱり好きなわけで、甘い夢を見せてくれることに惨めな感謝さえしていた。

ひと月経っても、ふた月経っても、私たちはキスはおろか、手をつなぐことさえ、それどころか互いに触れもしなかった。


梅雨に入り傘のせいで二人の距離もより離れてしまう頃。

近頃の彼は雨が降るかもしれないからと歩いて登校している。

彼は元来歩くのが速い性質で、たとえ雨が降っていても、自転車を押している時よりも早く分かれ道についてしまう。

私は少しでもゆっくり歩こうとするが、彼が私の隣から一歩でも進むとたちまち不安になってしまって、結局彼の歩くペースに合わせて下校していた。

梅雨らしいさらさらとした雨が朝から降り続いていた日。

私はわざわざ折り畳み傘を差して登校し、帰り道に彼に言ってみた。

「今日傘忘れちゃって」

確かに手には傘を持っていないし、傘立てにも私の傘はない。

けれど、朝から降っているのだから彼も私が傘を忘れたはずはないと分かるはずだ。

彼はきょとんとした顔で私を見つめ、自分のカバンから折り畳み傘を取り出し私に差し出した。

「俺傘さしてくる日も一応折りたたみ入れてあるから」

私は俯きながら傘を受け取った。

「ありがと」

とても感謝しているようには聞こえない声を出してしまったが、どう取り繕えばいいのかも分からず、彼も特に気にした様子もなかったため、そのまま二人で並んで歩きだしてしまった。

普段は歩き出してすぐに彼からテキトーな話を始めるのだが、その日はしばらくお互いに何も言わなかった。

分かれ道の近くの公園の前まで来たところで、彼が立ち止まった。

下校中に彼が立ち止まったのはこれが初めてだった。

「最近雨多いな。公園の地面がぐちゃぐちゃだ。」

呆れたように鼻を鳴らす。

彼からどう思われているのか、うだうだと考え込んでいた私は突然のことに戸惑い、何か言おうと口を開くと。

「たまには綾瀬から話題振ってよ」

それより早く、彼が二の句を継いだ。

無表情にこちらを眺めるいつもの彼。

けれど今日は、確かに私の言葉を待っているようだった。

「・・・ほんとは傘持ってたの」

私は今朝畳んだ、少しクシャッとした折り畳み傘を取り出した。

「まぁ、だろうな。朝も降ってたし。」

彼の表情は変わらない。

それだけで私の勇気は脆く崩れ去ってしまう。

何も言えなかった。

じっとりと汗ばむ肌の内側がゆっくりと冷めていくような、そんな感覚が体中に広がり始めて。

「じゃぁ、とりあえず傘は返してくれ」

彼が私を自分の傘に入れた。

身体が急に近づいて、体の芯が急激に加熱される。

彼は長い腕を伸ばして、私の手に触れないようそっと柄を握って傘を取る。

彼の胸に顔がくっついてしまいそうなギリギリの距離で、上から彼の声が降りてくる。

「嘘はよくないよな。まぁお詫びに綾瀬が傘出すまでは入れてやるよ。」

彼はそのまま歩き出した。

私は彼の胸に体を預けてもいいものか分からず、彼が寄せてくれた距離感のまま、右側から微かな熱を肩に感じて歩いた。

「お詫び、なんだ?」

彼はまっすぐに前を向きながらも、私に歩調を合わせゆっくりと歩いてくれている。

「今なら綾瀬が訊きたいこと、訊いてもいいよ」

それが私の問いへの答えなのかそれとも話題を逸らしたのか、いつも通り彼は私の予想通りには答えない。

私はずっと言えずにいたことをようやく尋ねることができた。

「・・・わたしのこと、ほんとに好き?」

「好きだよ。俺は綾瀬のことがほんとに好きだ。」

即答だった。

胸につかえていた全部が一気に溶け出して、目から溢れそうになる。

「私も———」

「でも多分もう二度と言わないから。綾瀬も言わなくていいよ。」

彼は私の言葉を遮ってそう告げる。

私の頭の中は疑問符がぐるぐる回って、自分の気持ちがどこにあるのかもわからなくなった。

彼はいつも私の情緒をめちゃくちゃにするのだ。

「な、なんで?」

頭の中に唯一浮かぶ言葉をそのまま口にした。

「なんでも言葉にすればいいってもんじゃないだろ?」

彼は薄く笑みを浮かべて、私に傘を出すよう促した。

気が付けばいつもの別れ道に着いていた。

私が折り畳み傘を開くと、彼はいつものように。

「じゃまた明日」

と言って足早に帰っていってしまった。

私はどうしていいか分からず、それでも段々と好きだと言われた実感が湧いてきて、嬉しくて一人ニヤつきながら跳ねていた。

ああ、二度と言ってくれないなら好きだと言ってくれたあの声を録音しておけばよかった。

段々と事態が呑み込めてきた帰り道に私は激しくそう後悔した。

その夜、舞い上がった頭で彼に通話できないかとLINEを送ったが、返信が帰ってきたのは翌朝で、一言。

「ごめん寝てた」

薄々分かっていた私も早々にベッドに入ってしまっていたので、落ち込みながらも大丈夫と返した。


帰り道に悪趣味にも会話を録音しようとしたのは、ほんの出来心だった。

ちょっとした悪戯程度のつもりで、あんまりこそこそとやるのはなんだか本当に悪いことをしているような気分になるので、分かりやすくスマホを胸に抱えて下校した。

その日の彼はいつも以上に優しくて、私も少し調子に乗っていたのかもしれない。

いつもよりテンション高くにこやかに話す私に、彼もいつも以上に寄り添ってくれていた。

私は半分録音のことを忘れかけていたけれど、さすがにずっと手に持っていることに違和感を覚えたのだろう。

次第に視線が手元に集まるようになった。

それでも彼は手に持つスマホについて何も言わない。

私はそろそろネタばらしでもした方がいいだろうかと焦り始め。

「あの実は———」

と冷や汗を浮かべた半笑いで許しを請おうと口を開いたが。

「ん?どした?」

彼はわざわざ私の言葉を遮って聞いた。

いつもなら黙って私の話を聞くのに。

私はなんだか得も言われぬ圧を感じてしまい。

「な、なんでもない」

咄嗟に誤魔化してしまった。

彼はきっとわかっているのだから、これはまずかったと思ったが、彼は私の顔をまっすぐ見て、私にもわかるようにはっきりと微笑んで見せた。

私は以降許されたような気がしてしまって、ずっと言い出すことができなかった。


制服も夏服に変わり夏休みが近づいてきたころ、進路の話題になった。

彼は私よりもずっと勉強が出来る。

大学もきっといいところに行くだろうと漠然と思っていたが、彼の志望する大学は予想以上に偏差値の高いところだった。

私達は高校3年生で、もう受験も近くて、恋愛にかまけているような場合ではない。

周りも次第に休み時間も勉強している人が増えて、受験モードに入っている。

だから私たちが恋人らしくないのだって仕方がない。

そう思っていた私にとって、この先の話は考えたくないことだったけれど。

「大学に入ったら別々だなぁ」

彼の嫌味のない微笑とその呟きで、私は志望大学を変えることを決意した。



人生でこれほど勉強に打ち込んだことはないし、これから先もきっともうないだろう。

高校受験の時だって当時の私からすれば相当に頑張って入った高校だったけれど、大学受験はその比ではなかった。

恋の力というのだろうか。

幸い、かは分からないが下校時間以外に彼と話す時間はほとんどなかったため、私はそれ以外のほぼすべての時間を勉強に注ぎ込んだ。

彼と一緒の大学に行くんだと思うと、勉強に身が入らなくなることもなかったし、彼がいつしかの帰り道に言ってくれた頑張ってという言葉が常に私を支えてくれた。

もともと頭がいいわけではない私の成績も徐々に結果が出始め、最初は志望校の変更に反対していた両親や担任の先生にも秋ごろには認めてもらうことができた。

先生たちには随分と褒められたし、友達も私の姿を見て頑張れたと言ってくれた。

そうして2月、春には偏差値が20近く離れていた大学に晴れて合格することができた。

合格発表の時の両親の喜びようには私も驚いた。

番号を見つけて泣きそうになっていたのに、すでに号泣しておかしな動きをしている父に笑ってしまい、泣きながら私の肩を揺すり抱きしめる母にやっぱり泣いた。

すぐに彼に合格したことをLINEしたら、すぐに既読が付いて、一言。

「頑張ったな」

と返ってきて、さらに泣いた。

彼は当然合格していて、春ごろまでの間はそのトーク画面を眺めてよく喜びに浸っていた。

自由登校期間に入ってからは私達が一緒に帰ることもなく、卒業式の前日と当日も、それぞれ打ち上げや集まりがあって一緒には帰らなかった。

今思えば共通テストの自己採点をしたあの日が最後だったのだから、もっと色々話しておけばよかったとも思うけれど、あの時はそれどころではなかったし、なによりこれから大学でもっと沢山一緒の時間を過ごすんだと思うと胸が躍った。


大学は地元から少しばかり遠いため、生まれて初めての一人暮らしが始まった。

引っ越してから生活が変わったのだろう、彼のスマホを見る頻度も上がり、連絡をすればわりあい早く返信が返ってくるようになった。

部屋にテレビもデスクトップも本もろくにないのだから仕方ないとよく分からない言い訳をしていた。

入学式の日は私から誘って一緒に行き、初めてツーショットを撮った。

SNSのアイコンにはするなと言われたので、スマホの待ち受けにした。

スーツ姿が待ち受けなんてかっこつかないとは思ったけれど、それも私にとっては大切な思いが詰まっているような気がしてとても満足だった。

けれど思い描いた通りに事が進んだのはここまでで、私たちが大学で一緒に居る時間はほとんどなかった。

ガイダンスの日、私は彼の方から誘ってほしくてあえて何も言わなかった。

残念ながら予想通りに彼から連絡はなく、それでもまあ言わなくても一緒に行くだろうと入学式の時と同じ場所で彼を待っていたのだが、遅刻ギリギリの時間になっても彼は現れなかった。

約束もしていないのに待っていたなどというのは憚られたが、それでも寝坊しているのかもしれないと彼に今どことメッセージを送った。

「大学」

返事はすぐに返ってきた。

私は慌ててガイダンスの行われる大講堂に入ったが、彼を探す間もなく始まってしまい、やむなく手近な席に着いた。

ガイダンスが終わって人がある程度いなくなると彼を見つけられたが、彼は新しい知り合いと和やかに談笑していた。

結果から言って大学内で一人でいる時間が長かったのは圧倒的に彼の方だろう。

授業も端の二人掛けの席で片方に荷物を置いて座っているから、私もなんとなく隣の席には座りづらくて、そうこうしている内に私の方に新しい友達が出来てしまった。

友達が出来れば当然その友達と一緒に座るのでますます彼の近くで授業を受けることはなくなり、また彼は彼で一応は仲の良いグループがあるようで、私たちは属するグループが完全に分かれてしまい、大学内での接点はほぼないに等しかった。

思い描いていた彼とのキャンパスライフは一つも叶わなかったけれど、想像こそすれど叶うはずはないと思っていたことは実現した。

キャンパスの外、大学以外の時間にて。

彼は大手塾の採点や答案作成などの業務を在宅で行うバイトを始めた。

そんなことまでバイトがするのかと驚いたものだが、重要なのはそこではない。

作業中は案外頭の方が暇なようで、無駄にだらだらと過ごす時間を好まない彼が私と長時間の通話をしてくれるようになった。

作業中に通話する習慣が付くと、そのまま料理中やお風呂上がりのちょっとした時間にも通話するようになり、大学一年の夏休みごろまでには家にいる時間は基本ずっと通話をしているようになっていた。

私も出来るだけ彼と喋る時間を作りたくてバイトも在宅のモノにしようと思ったが、彼がやっている作業をしながら喋るなんて私にはできそうもなかったし、他のバイトは内職のようなものばかりで、泣く泣く塾講師のバイトをしている。

とはいえ塾講師のバイトは高時給ではあるが授業がなければ働くことは出来ないし、授業時間よりもその準備時間の方が基本的には長い。

そういう時間を彼と喋ったり相談したりしながら過ごせるのはなかなか良かった。


大学一年の夏休み、初めて彼とデートに行った。

彼の考えていることは未だによく分からないけれど、あれだけ毎日通話をしていると彼の行動基準というか、習性のようなものがなんとなく分かってくる。

おかげで、彼がある程度行ってもいいと思える場所に誘えば、きっと来てくれると思えた。

彼が動物全般が好きなことは分かっていたので、ベタだとは思いながらも水族館に勇気を出して誘った。

思った通り彼はすんなりと了承してくれたけれど、私の緊張がスマホ越しに彼にも伝わっていたのか少し笑われた。

高校時代と変わらず、キスも手をつなぐこともないイチャイチャとは程遠いデートだったけれど、あの時よりも確かに縮まった距離感で普段とは違うものを二人で見ることができたのは本当に楽しかった。

いつもはなんだかんだと思っていることをぽつぽつ喋る彼だったが、水族館では基本感想を言わずにただ魚を眺めているだけで、けれどちゃんと楽しそうで、もっと彼を知りたいと思った。

以来、私たちは月に数回くらいのペースで二人で出かけるようになった。


大学2年、徐々に勉強が難しくなり成績を維持するために私は彼との通話を減らさざるを得なかった。

毎日ほぼずっとしていた通話が日に日に少なくなっていき、2日に一回、3日に一回と頻度もどんどん下がっていった。

こういうのは始まるのも終わるのも本当に唐突だ。

8月の彼の誕生日に初めてのお酒を私の部屋で飲まないか誘ってみた。

私の誕生日は9月だから私はまだ20歳ではないけれど、大学生でそこまで正確に気にしている人も少ないし、彼も成人前に酒を飲む同級生を見て一々何かを言うタイプではない。

けれど彼は友達と免許合宿に行くからと断られてしまった。

どうせだからとその夏、私も免許を取った。

車の運転は思った以上に不安で、その気持ちを彼と共有したかったけれど、合宿中彼はあまり連絡に応じてくれなかった。

9月、私の誕生日にもう一度彼を私の部屋に誘った。

先に友達の誘いを断っていたから、来てくれないと泣いてしまいそうだったが、彼はすぐに了承してくれた。

彼が私の部屋に入るのはこれが初めてだった。

部屋の床に二人で座る。

こうして二人で過ごすのも久しぶりだ。

彼は高校の頃から垢ぬけた感じの髪型や服装をしていたけれど、しばらく見ぬ間に耳にピアスの穴が開いていた。

誕生日には大抵好きなものかちょっと高いお肉なんかを食べるイメージだったけれど、彼に振舞えるような料理の腕を持ち合わせてはいなかったので、二人ともそこそこ好きで失敗のないシチューにした。

私が気に入っているパンを彼もこれ美味しいなと言って喜んでくれて、夕食は終始和やかな雰囲気だった。

開いてしまっていた距離も、お互いの最近の話などをしているうちに元に戻っていた。

急に近づいたり離れたり、かと思ってもう一回近づいてみたら元のままだったり、なんだか不思議な感じだった。

彼は手土産に梅酒をコンビニで買って来てくれていた。

初めてお酒を飲むならこんなもんだろうと言っていた。

一応私もネットで調べたワインを買っておいたのだが、初めてでワインは強くないかということと、シチューには梅酒よりワインではということで、結局ケーキまでお酒はお預けとなった。

彼が事前にケーキは俺が持っていくからと言ってくれていたので、今日のケーキは彼が用意したものだ。

大学の近くのちょっと高いケーキ屋さんの箱の中から、ホールの栗のケーキが出てきた。

「そういえば栗大丈夫?聞くの忘れてたわ」

開けてから彼が不安そうに聞いた。

「栗好きだよ。ありがと。」

何が嬉しいのかは分からなかったけど、とにかく胸が一杯で私は満面の笑みを浮かべる。

ケーキを取り分けて、初めてのお酒、梅酒で二人で乾杯した。

まずいと言うことはなかったけれど、これなら梅ジュースの方が好きかなと思った。

彼も実はそこまでお酒が好きという訳ではないらしく、私の感想を聞いて満足そうに笑っていた。

彼は飲み会の誘いを基本的に断っていなかったから少し意外だった。

さらに見た目に反し彼はお酒が弱いらしく、数杯飲んで顔が赤くなっていた。

私も顔が熱かったから、きっと赤くなっていただろう。

どうせだからとワインを開けるころには彼は少し気持ち悪くなっていたみたいで、机に肘をついてぐったりしていた。

久しくデートにも行っていなくて少なからず焦った下心もあったが、やはり手も繋いでいない私たちが今日何かすることはないようだ。

ふわふわとした頭でそんなことを考えた。

ふわふわするというのがお酒を実際に飲むまで分からなかったけれど、物理的に温度が上がっているような感じがするのだ。

頭が熱せられて思考力が鈍るような。

9月とはいえ外はまだまだ暑い。

「エアコンの温度下げない?」

彼が天を仰ぎながら言う。

「そうだね」

私もぱたぱたと手で顔を仰いでリモコンを手に取り1度下げた。

「へー、25度でこの感じか。効きいいんだな。」

彼が横から覗き込んでいた。

不意に顔が近づいて、ぴくりと体をのけぞらせてしまう。

彼は私の反応にいつもの無表情でじっと顔を窺い、唇を奪った。

初めてのキスは苦いアルコールの味がした。

キスをされたんだ、そう分かったときにはもう彼の顔は離れていたから、きっと一瞬だったと思う。

彼はそれからしばらく何も言わず動かず、私も何もできなかった。

「あー、片付けようか」

少し赤みが収まった顔で彼がそう提案した。

私が返事する間もなく彼が立ち上がってしまったので、おずおずと私も彼に続いた。

狭いキッチンで二人で皿を洗う。

いつものように彼は私に触れないようにしていた。

片付けが終わると彼はまたいつもの微笑でさっさと帰ってしまった。

結局あのキス以外で私たちが触れ合うことはなく、互いに肩にも手にも触れたことはないのに、唇だけが唯一互いの感触を知っていた。


私達は互いの部屋によく出入りするようになった。

途中からは私が彼の部屋に行くことが多くなって、合鍵も持っている。

彼から私に手を出したのはあのキスが最初で最後だった。

けれど以降の彼は不必要に私に触らないようにすることを止めた。

私が彼に触れても彼はなにも咎めなかったから、私は彼にくっついていることが多くなったし、膝枕なんかもよくしてもらった。

私達はたびたびキスもするようになった。

私にとっては突然のことだったから、何かあったのかと聞いてみたことがある。

「キスって全然大したことじゃないんだよ。多分他のことも全部そう。ならその方がいいと思って。・・・要するに俺の都合。」

彼は謝らない人じゃない。

悪いと思った時はすぐにごめんという人だ。

けれど、こういう時の彼は口にはしないけれど、いつもごめんと言っているような気がするのだ。

彼の部屋に私の私物はない。

半同棲みたいに入り浸っているけれど、私用の歯ブラシが置いてあるくらいで、化粧品や着替えなんかは小まめに私が都度持ってきては持って帰っていた。

彼から置いていいよと言われない限り、私は自分のモノを彼の部屋に置いていくつもりはなかった。

親密な恋人の距離感で彼の脚の間に挟まっている私だが、まだえっちしたことはない。

大学2年のクリスマスも、彼の部屋に泊まりはしたが結局しなかった。

そんな中時間はだらだらと、でも確実に過ぎていき、3年になった。

就活が始まる前にと、大学も忙しくなる中皆今まで以上に遊び始めるころ。

彼も私以外の人と飲みに行ったりどこかに出かけることが増えた。

最初の頃は彼の部屋で帰りを待ってみたりしたけれど、彼の帰りが結構遅いこともあり少し気まずくてやめた。

そんな折、彼の部屋に私以外の女の子が出入りしているような気配が漂い始めた。

最初に気になったのは匂いだ。

明らかに彼のモノではない匂いがした。

それに気が付くと、髪の毛やごみ箱の中の洗顔シートなど怪しいものは次々に見つかった。

彼の部屋には時折友人数名が泊ることもある。

その中に女の子が入っていることもあるので、その時のだと言われれば引き下がるしかない。

そんな訳はないと思うけれど、なにより私がそう思っていることに気が付いているだろう彼が何も言ってこないのだから、私から彼を咎める勇気は出なかった。

彼の部屋に行くとき、私は毎回事前に連絡をするわけではない。

なんとなくで彼の部屋に勝手に行くこともしばしばあって、彼も何も言わないので連絡するかはわりと私の気分次第だった。

けれどその日の私は明確に自分の来訪を隠す目的で連絡しなかった。

近頃はずっとそうだ。

こんなことしても意味がないと分かっているのに、連絡もなしに突然彼の家の玄関を開けた。

そしてついに、現場に遭遇した。

彼と向かい合う形でこちらに背を向け座っていた女子が驚いてこちらを振り返る。

彼とよく話しているグループの中の一人だ。

「え、誰!?」

立ち上がり私から距離を取る女子。

彼女は彼を見たが、彼は落ち着いた様子で何も言わない。

私も彼も互いを無言で見つめていた。

いや、私はきっと睨んでいたと思う。

「あ~、私帰ろうか?」

「私が帰りますから!」

気まずそうに荷物を手に取る彼女に怒鳴りつけ、私は玄関の扉を乱暴に閉めた。

私はいったい何がしたかったのか。

一体何に対してなのかも分からない後悔が私の中をぐるぐると廻った。

10分ほどこっそりと彼の家の玄関を見ていたが、彼女が出てくる様子はなく、ますます私は惨めな気持ちになった。

その夜私は彼と通話をした。

「今話せる?」

「うん、いいよ」

「今日さ、女の子来てたね」

「うん」

彼は言い訳することも説明することもしない。

堪えきれなくなってまた私から聞いてしまった。

「私達ってさ、付き合ってるよね?」

「・・・さぁ」

息が詰まって喉の奥がぎゅっと締め付けられるようだった。

「じゃぁ、あの子は?」

絞り出した声はきっと彼にも聞こえている。

「付き合ってないよ」

それ以降、私達はしばらく会わなかったし話さなかった。

私はそれまでの大学での彼をほとんど知らない。

むろん同じ学部学科なので見かけることは多かったが、あえて彼と話すことはなかったし、授業以外で彼がどこで誰といるのかも知ろうとはしなかった。

大学では少しも話さないのに、家ではずっと一緒に居るというのが秘密の関係っぽくて殊更に特別に、優越感さえ感じていたからだ。

家に来ていた彼女は確かに彼とは付き合っておらず友達の一人ではあったが、他の誰より親密な関係であり、大学内でも付き合う目前といった様子だった。

彼がどう説明したのかは分からないが、私と遭遇したことで関係がこじれたようにも見えなかった。

彼は私と連絡を取らなくなってからも以前と変わらぬ頻度で友人と飲みに行ったりしており、その帰りに彼女を家に招いたりしていた。

大学内で二人きりで話していたり、大学のない日に二人で遊びに行ったり彼の部屋に招いたり、そんなことが半年ほど続いた。

冬、大学の後期が終わり高校生が受験本番を迎えるころ、彼と彼女の関係は終わったようだった。

私は彼の部屋を訪ねた。

合鍵は返していなかったから、入るのに彼の許可は必要なかった。

彼は変わらぬ微笑で私を迎えた。

「久しぶり」

その日から、私は彼の家に帰るようになった。

服も化粧品もタオルも食器も食材も全部彼の家に持ち込んで、彼の家で彼と過ごした。

身体も何度も重ねた。

以前のようなカラッとした明るさで会話することはなくなり、閉じ込められた暗闇の中で小さな明かりが熱を発しているような、そんな気分で毎日を過ごした。

彼はいつも微笑んでいたし、私も幸せだった。


まだまだ夜は冷える春先、彼の就職が決まった。

入社から数年は地方で経験を積むことになっているらしく、卒業後は大阪だそうだ。

私はますます彼にべったりになり、就活も思うように進まないまま夏になった。

私達は初めて旅行に行った。

旅行とは言っても場所は熱海だし、たった1泊だったけれど、二人で行けたことが嬉しかった。

秋になりほぼみんな卒業後の進路が決まっている中、私は最後の滑り込みでほどほどの企業に内定をもらった。

就職先が決まった安心感から、卒論もそこそこに、全ての不安を忘れて彼の部屋で毎日を過ごした。

そして冬が過ぎ、また春が来た。

卒業式をとうに終え、数日後には彼は大阪へ引っ越してしまう。

その日私は車で両親を祖父母のもとへ送り届け、お前も泊っていけばという誘いを断って彼の家の前まで帰って来た。

彼に通話を掛ける。

「ねぇ、今家の前まで車で来てるんだけど、ちょっとドライブしない?」

「今から?」

外はもう日が落ちて暗い。

彼は少し考えてから。

「いいよ。待ってて。」

と答えて、ガサゴソと出掛ける準備をする。

ガチャリという音と共に。

「今家出た」

といつもの無表情の声で教えてくれた。

車から出ると、上から彼が小さく手を振ってくれた。

彼が前から歩いてきて。

「着いた」

と言って通話を切った。

外はまだ肌寒い。

すぐに車に乗り込み、彼を乗せて走り出した。

「どこ行くん?」

彼がカーナビの地図を眺めながら私に聞く。

「分かんない。ドライブだから。」

「なるほど」

彼がにやっと微笑んだのが分かった。

「もうすぐ引っ越しだね」

「そうだな。・・・もともと高校までだと思ってたから、大学も一緒に居られて楽しかったよ」

彼が引っ越してしまえば私たちが会うことはもうないだろう。

そういう確信があった。

私は今更ながらに私たちの話をした。

「あの時、どうして告白してくれたの?」

「・・・さぁ、どうだったかな。よく覚えてない。」

彼は投げやりに答えた。

車は都会の喧騒から離れ、より静かな方へと向かっていく。

「私ね、あなたのこと好きだったの。あの頃から。」

普段のように下の名前で呼ばなかったのは、当時を思い出していたからかもしれない。

彼はなにも言わない。

私がこれから言うことを察していたのかもしれない。

「私の気持ちを知ってたから、あの時私に告白したの?」

夜道の運転はきちんと前を見ていないと危ない。

目が潤んだりしなくて良かった。

「誰に聞いた?」

こういうとき彼は誤魔化さない。

「成人式のあとの同窓会。話してるのちょっと聞こえた。」

否定してほしかった。

けど。

「否定しないんだね」

車は山の中に入り、道はかなり悪くなっている。

私は走る速度を少し落とした。

「私のこと、笑ってたの?」

今笑っているのは私の方だった。

こんな気持ちをどうやって笑わずにいられるだろう。

「言い訳が必要だった。申し訳なかったと思ってるよ。」

彼は窓の外を眺めながらつぶやいた。

車は山というか森の深く深くまで入っていく。

道はとうに舗装された場所を抜け、ガタガタと車体を揺らしながら土の上を行く。

私は車を止めた。

道の真ん中で止めたとて、こんな所までくる車は私達の他にはいない。

「私、もうなんか全部どうでもよくなっちゃって。もう今後あなたと会うこともないし、ここに置いて行っちゃえばもう帰れないよね。すごく困るよね」

泣いていると思ったけど、私の目はからからに渇いていた。

「まぁ、置いていかれたら流石に困るな」

なぜか私はその言葉に喜んでいた。

「だよね。じゃぁどうにかしてよ。」

「はるは置いてかないよ」

彼が私の名前を呼んだ。

「本気だよ!」

私は怒鳴った。

久しぶりに見た彼の顔はいつもとおなじ微笑を浮かべていた。

「はるは置いてかないよ」

もう一度彼は言った。

「置いてくよ」

私もちょっと怒って彼を見据えた。

「はるは置いてかない。だってはるは俺の信頼を裏切らないでしょ。」

彼は微笑を湛えたまま小首を傾げる。

「俺がはるを信頼して車に乗ったんだもん」

私は口をパクパクさせた。

何か言ってやりたかった。

彼を言い負かして、打ち負かして、ほんとにここに置いて行ってやりたかった。

数分後、私は彼を助手席に乗せたまま帰路を走っていた。

私は何も言えず、彼の帰ろという一言におとなしく従うことしかできなかった。

窓に映る私の顔に生気はなく、本当に全てが終わったことを察していた。

「もともと高校3年の間だけのつもりだったんだ。こんなに長く付き合わせて悪かったと思ってるよ。」

窓の外を眺める彼の顔は笑っていなかった。

そうだ。

もともと大学までは一緒のはずではなかった。

私が頑張って彼に付いていったのだ。

彼は喜んでくれていたのだろうか。

この先も私が頑張れば、彼は喜んでくれるだろうか。

再び窓に映った私の顔は、笑んでいた。


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