タイトル未定2025/05/06 22:02
紙片をポケットにねじ込んで、俺は立ち上がった。
(とりあえず、状況を整理しよう)
まず、自分の体を確認する。服装はいつものパジャマではない。知らないデザインのシャツとズボン。素材もよくわからないけど、やたら動きやすい。
(これも“再構築”されたってことか?)
次に、ポケットの中を探ってみる。スマホは――ない。
「やっぱりか。クソー、まぁあったとしても電波繋がらないから使えないか...」
だけど、“選ばれし十三の者”ってなんだよ……。
「……とにかく、ここを出よう」
まずは人のいる場所を探すこと。それが第一だ。
そう思って、俺は森の奥へと歩き出した――。
しばらく進むと、近くから水の流れる音がした。"川"だ! 俺は期待を胸に意気揚々と音のする方へ歩き始めた。草木をかき分けながら進むと、やはり川があった。
川のせせらぎに耳を澄ませながら、その流れに沿って歩き始めた。
(川があるってことは、飲み水がある。水があれば動物も集まるし、人間の生活圏もきっと近いはずだ)
身体が軽い。視界も妙にクリアだ。
歩くたびに、地面の感触がしっかりと伝わってくる。
そんな時――
「……ん?」
川辺に何かが引っかかっていた。
近づいてよく見ると、それは……誰かの靴だった。
「……人が、いた?」
そして、すぐそばの茂みがガサリと動いた。
「誰かいるのか!?」と叫んだ瞬間、
「――ッ!」
矢が飛んできた。間一髪、俺の脇をかすめて木に突き刺さる。
「うおおっ!? 何だよ!?」
パニックになりつつも、俺は慌ててしゃがみ込んで身を低くする。
(いきなり襲撃かよ! マジで異世界だったんだな……!)
森の奥で、何かがこちらに近づいてくる音がした――