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明けるまで

「お前らなぁ……人前でイチャつくのやめろよ。腹立つだろうが」

「ええ~、そんな事言われても……ねぇ?」

「言っても無いのに着いてきたの、そっちでしょう? っていうか結婚してるのに嫉まないで下さいよ」

「うるっせぇほっとけ!」

 俺はあれから真白に介抱され、小太刀を思い出す髪色に惹かれていった。しかし数年交際した後に俺がその話しを告白すると、それを嫌がった真白は髪を黒く染めた。

 そこでやっと、俺は真白本人が好きになっていた事を自覚して、プロポーズをした。

 そして今、俺と真白の左手薬指には、お揃いの指輪がはめられている。

「お~い、お待たせ! 冴ちゃんに着付け手伝ってもらったら時間かかっちゃった!」

 真白が手を振りながら走って来る。気合いの入った初詣の和服姿は、俺には眩し過ぎて直視できなかった。

「ちょっと……。意見が欲しいんですけど?」

「とても、綺麗です……」

「そう? 良かった!」

「二偽! お前の和服可愛いな!」

「でっしょ~? 冴ちゃんの着物も綺麗だよ!」

 今、俺の視界には『幸せ』が溢れている。あの地獄の五年間を生き抜いて、本当に良かったと、そう思う。

「……今、お前には、何も残っていないか?」

 いつの間にか、俺の隣で同じ風景を眺めていた弌生が尋ねて来る。

俺は首を左右に振る。

「確かに、失ったものは大きいし、心に負った傷は深い。でも」

「でも?」

「それを引きずって歩けるだけ、大切なものが、今はある」

「……だな」

 そして、年末恒例の、カウントダウンが始まった。

「「「「三‼ 二‼ 一‼」」」」

 鐘の音が、辺りに響き渡る。

「「「「明けまして! おめでとうございます‼」」」」

 日は、明けた。

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