一章 5話 《レベリングと初心者狩り》
ギルド設立から数日が経過した。
「こんばんはです あれ?アストマーチさんだけです?」
夕方、舞がログインしてきた。どうやらアストマーチ以外はインしてないようだ。
「舞ちゃんか アンコはちょっと前に落ちたね」
ギルド設立からそれなりに交流はあったが現実の顔も知らない先輩と二人というのは少なからず緊張するようで舞はどうしていいかわからなさそうにしていた。
「舞ちゃん今日はやることあるのかな?」
「やることですか?…素材集めも昨日やったので暇ですね」
アストマーチが舞を気にかけ話しかけてきた。
「それならレベリング…レベル上げでもするかい?俺も暇なんだよね~」
「いいんですか?私みたいな低レベルに付き合っても楽しくないかもですよ?」
格上も格上、大先輩に誘われるのは嬉しいが自分のレベル帯で戦っても楽しくないのでは?と舞は心配する。
「大丈夫大丈夫 それに立ち回りやいろんなこと教えられるからさ」
「…それならお願いしますね」
アストマーチは任された!と装備を整えはじめた。
しばらく移動し狩り場に到着した。
「さて… とりあえず俺は舞ちゃんのピンチ以外では極力戦闘はしないでおくから頑張ってな」
「はい よろしくお願いします」
アストマーチは舞がどれほどの戦力になるかを判断するために後方腕組みしていた。
舞の職業は支援職、だがソロの場合は自分にバフを付与して戦うのでパーティーのことは気にしなくていい。攻撃強化の【ブーストアンク】をメインに使って敵の処理速度を上げる。MPが少ないので防御強化はせず気合いで回避をしていた。
(ふむ…悪くない動きだな 初心者にしてはむしろしっかりしている…)
アストマーチは動き一つ一つを分析していた。
しばらくするとアストマーチは何かに気が付き舞に声をかける。
「舞ちゃんさ~ PvPの経験はなかったよね~?」
「え?はい まだやってないですね」
アストマーチは太ももからハンドガンを一丁抜く。
「んじゃ見てればいいから」
アストマーチの言ってる意味がわからなそうな舞だったがその意味はその後すぐにわかることになった。
「はいそこの君たち こっちに弓向けてなにしてんのかな?」
アストマーチがハンドガンを向ける先の茂みから武器を構えたプレイヤーが4人現れた。
「なんでバレてんの?こんなとこ初心者しかいないと思ったんだけどなぁ…」
「…あ~、君たちかな?最近初心者狩りしてるのって」
4人はニヤニヤしながら受け答える。
「は?そんなのこれからわかることだ…ろ!」
そう言うと魔法使いから【ストライク・フレイム】という火球を飛ばす中級の魔法がアストマーチに向けて放たれる。
「あっそ… んじゃ処理していいってことね」
アストマーチは構えていたハンドガンで火球を撃ち落とす。
「!? あいつ魔法を撃ち抜きやがった!」
すぐさまアストマーチはハンドガンを太ももに戻し背中のライフルに持ち替える。 青がメインでゲーム内に1つしか存在しない限定武器、名を【蒼の破滅銃】と言う。
「あいつの武器… 青い銃ってまさか…!?」
「逃がす気はないからね? 君たちはここで俺に一方的にやられてもらうからさ」
戦闘が始まる。4人は逃げれないとわかり抵抗する。
「ふざけんな!なんでこんなとこに『蒼の怪銃』がいるんだよ!」
アストマーチはスキルをさほど使わない。アストマーチの職業はダメージを直接与えるスキルが少ないのもあるがプレイスタイルの都合上というのが主な理由である。
遠距離からの攻撃を的確に撃ち抜き無力化する。その隙に相手の近接職が詰めてくる。
「銃を使うんなら近距離では俺のほうが上だろ!」
そう言って剣を振るが当たらない。ギリギリで攻撃を躱していた。
「はぁ~… こんなもんか?そろそろこっちも攻めさせてもらう!」
ライフルを上に投げた。投げたライフルに4人が視線を奪われる。
「アホかよ…」
アストマーチがボソッとそう言うとすぐさま太もものハンドガンを二丁抜き目の前の近接職を撃つ。
断末魔もなく近接職の男は倒された。
「は?なにがどうな…」
魔法使いがいち早く近接職が倒されたことに気が付くが遅かった。
魔法には狙う、詠唱、放つという3つの行程があるのに対して銃は狙う、撃つしかない。さらにアストマーチは感覚だけで狙うので実質やってることは撃つだけである。
魔法使いの女が倒される。
「ふっざけ…」
弓も狙う、放つという銃とおんなじ数の行程しかないがアストマーチが相手となるとその意味はなくなる。
弓使いの女が倒れる。
「さて… そこの支援職の!後はお前だけだな…」
ハンドガンを戻して上から落ちてくるライフルをキャッチして構える。
「あ、いや… そんな……」
怯えて会話も難しくなっていた。
「初心者狩りしてんだから君たちも狩られる覚悟があったんだろ?なら自業自得ってやつだな」
そう言って支援職の男を撃つ。
「じゃ~な」
戦闘が終わった。アストマーチはノーダメで1対4を制した。
「アストマーチさん… やっぱり強いですね」
あまりにも一方的だったので舞は少し引いていた。
「舞ちゃん大丈夫だった?いきなりでビックリしたよね… 今日は一旦帰ろうか」
舞は上の人の強さを理解した。そして憧れと恐怖の感情がごっちゃになる。自分も強くなりたい、でも強くなった先でこんな人と戦うのでは?と考え込む。
「舞ちゃん?どうかしたの?」
「…あ!いえ、大丈夫です それじゃ帰りましょうか」
帰宅するとアンコと†失羽の騎士†がインしていた。先ほどの出来事を二人に話すと…
「え!?初心者狩り!?舞は大丈夫だったの…?」
「うん アストマーチさんが助けてくれたから大丈夫」
アストマーチがドヤ顔しながらふんぞり返っていた。
「さすがアストマーチだな… 腕は衰えてないか」
「当然だろ?俺はお前に勝てるように日々頑張って特訓してたんだからな」
舞と†失羽の騎士†はそんなアストマーチよりアンコのほうが強いことにビックリした。
戦闘描写がうまく書けないこんな世の中じゃ…
小説の書き方を勉強してないとなかなか大変ですね
これから頑張って書けるようになっていくことを願っています