二章 39話《ボス戦 竜騎士の底力》
ボス部屋への扉が開く…。
中は広く円形に広がっていた。
「ボス…見当たらないですね」
舞が周辺を見渡していると。
「まさか…上か!?」
タイホーがそう言い上を見るが何もいない。
警戒しつつ部屋の中心へ進むとどこからか騒音がする。
「なになになに!?なんなのよ!」
「なにかくる…壁のほう?」
ラングドシャが音に怯えていると†失羽の騎士†が音の方向に気が付き壁のほうを見ると突然壁に亀裂が走る。
「そこ!そこの壁のとこ!」
†失羽の騎士†が壁からなにかが来ることを伝え警戒する。
次の瞬間、壁が砕けその先からコウモリの翼が背中から生えた大きなモグラのようなボスが現れた。
「うわぁ…コイツは見た目変わってないな」
「コイツはこの愛くるしさで人気あったからね 変えたら変えたで叩かれたと思うよ」
アンコ達は入り口で待機しつつ雑談をしていた。
登場シーンが終わりボスの名前が表示された。
「翼土竜… こいつの名前か」
「翼の意味あるのか…?」
タイホーとワーロスが翼を気になり出す。
地下でのボス戦…この部屋も広いがそんな飛び回るほどの広さはない。
あの翼になにか意味があるのか考える。
「なにかしら翼で攻撃…モーションもわからん……」
「もう考えたって仕方ないしとりあえずヘイト奪っといてくれる?」
悩んでいるタイホーにラングドシャが指示をする。
タイホーがボスの近くまで走りヘイトを奪って盾を構える。
「よし…!ヘイトは奪ったぞ!」
「なら次は」
「我らの出番!」
†失羽の騎士†とЯ漆黒なる深淵Rがボスへと走り攻撃をする。
攻撃は弾かれもせずしっかりと通ったがダメージはほぼないようだった。
「硬い訳ではない…HPが多いのか!」
通常のボスは難しくても平均的に適正レベル5人でのパーティーで攻略出来るようになっているがレイドでは適正レベルが10人での攻略が基本である。
なのでボスのHPもとてつもなく多くなっている。
だが指導している3人がスパルタ気質なところがあったようで誰もそのことを伝えていないのである。
「これ削るの大変じゃない?」
「うむ…だがやるしかないだろう!」
前衛が頑張って攻撃を続けていると後衛の殻駆流と狼が駆けつけてきた。
「動きはこっちで警戒するから攻撃に専念を!」
「頼むからね!」
後衛からはボスの全体が見れるので怪しい動きをした場合は随時報告できる。
「えっと…それなら攻撃だけで……【グラスプ・ヘイスト】!」
舞が攻撃力上昇のバフを前衛に付与する。
「ありがたいね!」
「ついでに…えい!」
「へ?」
前衛のバフをしたらオマケで火球が飛んできた。
「ちょちょちょ!…うぎゃー!」
一番ボスに近かったタイホーの目の前が爆発する。
「あ…ごめんなさい!」
「いや…大丈夫だよ……」
ダメージはないが突然目の前が爆発して驚くがすぐに立て直した。
しばらく無抵抗で攻撃を受けていたボスが動き出した。
鉤爪になっている右の前足を大きく上へ振りかぶる。
「右の前足!上から振り下ろしがくる!」
動きは遅く避けるのも受けるのも間に合う。
「ダメージチェックだ!」
タイホーが盾を構えて攻撃を受ける。
ボスの初の攻撃なのでタンクであるタイホーはその身でダメージを確認するつもりのようだ。
「舞ちゃんは蘇生の準備しといて」
「わかりました!」
耐えられなかった場合はすぐに蘇生をしなくてはならないので舞に蘇生魔法の準備を促す。
「こいよ…!」
高く振り上げた鉤爪が重力に従い落ちる。
上に振り上げた時よりも早く、事前に盾を構えていなかったら間に合わない程の速度で振り下ろされた。
「うぎっ!?」
その攻撃の重みが上からのしかかる。
盾で受け止めたタイホーは片膝をつき耐えた。
だがそのHPは残り約3割まで減っていた。
「やっばい… これはまともに受けたら全員即死だな」
舞が準備していた蘇生をやめ回復魔法を使ってHPを最大に戻す。
「タイホーが倒れて蘇生が遅れたら負けだね…」
「蘇生係のプレッシャーが…ヤバいですね」
後衛組はタイホーの受けたダメージを見て試行錯誤する。
まずワーロスの狼を回避優先に動かして戦う。
いざというときは回避タンクとして動けるようにするためである。
ラングドシャの殻駆流は2体とも中距離からの攻撃にして支援する。
こちらは敵のデバフをメインにして前衛をサポートするためである。
舞は回復とバフを継続させる。
前衛組は変わらずタイホーをタンクとして隙を突いて†失羽の騎士†とЯ漆黒なる深淵Rが攻撃する。
そしてしばらく戦闘を続けているがボスのHPが多く長期戦になっていた。
約30分攻撃を続けたがHPはやっと1割減った程度だった。
「精神的に疲れるね…」
前衛は常にピリピリと張り詰めた精神状態で戦っていた。
「しまっ…!」
だが事故が起こった。
タイホーの反応が遅れて攻撃をもろに受けてしまった。
横からなぎ払うように殴られ壁まで吹き飛ばされてしまった。
「あわわ…!蘇生!蘇生します!」
案の定タイホーは即死だった。
蘇生をするためにタイホーの近くまで走る。
蘇生用の魔法は発動させられる範囲が狭いのですぐそばまで近付かないといけない。
だが部屋が広くタイホーの近くまで行くのに少し時間が掛かってしまった。
「はやく…急がないと……」
さらに蘇生魔法は発動に15秒掛かるので他の人はこの間バフや回復なしで戦わなくてはならない。
「まずいか…?」
ワーロスが狼で回避タンクをしようとするがヘイトを維持できないでいた。
そしてボスの攻撃がЯ漆黒なる深淵Rに向けて放たれる瞬間、大きな盾を持った竜騎士2体がその攻撃を受け止めた。
「これは…†失羽の騎士†の!?」
そして†失羽の騎士†のほうを見ると不思議なことになっていた。
†失羽の騎士†の周りに15体のさまざまな竜騎士が現れて戦闘をしていた。
だが不思議なのはそれではない。
その竜騎士1体1体がまるでプレイヤーのように動いていたのだ。
少しぎこちない時もあるが到底AIなどの動きとは思えない動きで戦っていた。
「キツい… とりあえずタイホーが戻るまで私がどうにかします!」
大盾を持った竜騎士がその盾を叩きスキルを発動する。
スキルを発動した竜騎士はヘイトを奪って攻撃を受け止めていた。
さらに剣を持った竜騎士は攻撃に当たらないよう回避しながら敵を切る。
「アンコ…あれはお前が教えたのか?」
マナノが驚愕しながらアンコに聞くがそのアンコも驚いた顔をしていた。
「いや…俺は専門外だから教えられない… ハルカも多分あれは教えないからきっと独学だ…」
なぜ上級者が驚くのか…それは常人ではできないミニオンの使い方をしていたからである。
ミニオン系のスキルはレベルを上げることで召喚したミニオンを細かく操作できるようになる。
これはミニオンに憑依してるようなもので本来の自分の動きは止まる。
だがこの操作の切り替えにはCTが存在していない。
なので高速で切り替えて自分とミニオンをほぼ同時に操るという荒技が存在する。
しかし切り替えた瞬間に視界が変わるので脳がバグる。
これは頭の処理が追いつかず思考が間に合わなくなるのでほぼ誰もしなかった。
今まででも二人しか使っている者はいない。
そんな荒技を初心者である†失羽の騎士†が使っている。
さらには15体と自分の高速切り替えである。
「ひー…!おかしくなりそう!」
などと言っているがその程度でやれる技術ではなかった。
そんなことをしばらく続けていると後ろからタイホーが走ってきた。
「ごめーーーん!すぐ代わるから! 【ターゲットサイト】!!」
ヘイトがタイホーに切り替わる。
竜騎士を3体だけ残し他は戻した。
「よかった…少し…止まるから…ね」
そう言って†失羽の騎士†は少し後ろに下がり倒れた。
「ちょちょ!大丈夫か?」
そんな†失羽の騎士†を心配してアンコが駆けつけてきた。
「ははっ…ありがとねお兄…」
「まったくもぅ…無茶しすぎだ」
アンコは†失羽の騎士†をおんぶして後ろに戻った。
「…やれるか?」
マナノがアストマーチにそう言うとライフルを手に取りボスへ走った。
†失羽の騎士†の代わりに前衛として戦うのである。
とうとうレイドのボス戦が始まりました
3つくらいに話を分けて書く予定です
そんでユニークがあと少しで5000人になりそう…
ありがたいですわ~




