一章 30話《運営会社に突撃》
「久しぶりに来たな…」
アンコこと安達奏はアルカナオンラインを運営する会社である『フリーストリート』の本社に来ていた。
「あ、安達はやめてから来てないもんね」
安達奏の後ろにはアストマーチこと天井ヤトがいた。
「付いてきてもらって悪いな…」
「だ、大丈夫だよ…? 私も久しぶりに来たかったし」
二人は中に入り受付に向かう。
「どうなさいましたか?」
「佐原っている?アンコが来たって言えばわかると思うからさ」
「少々お待ちください」
受付の女性が電話を手に取り連絡する。
「はい…佐原様にお客様が…… アンコって言えばわかると…」
次の瞬間、電話がいきなり切れたので女性は驚く。
「えっと…いきなり切れましたけど……」
「それならすぐ来るかな?」
安達奏は天井ヤトと一緒にエントランスにある椅子に座って佐原が来るのを待つ。
しばらくすると少し先にあったエレベーターが開き凄い速度で男性が出てきた。
アンコと男性の目が合った瞬間、その男性が目を光らせて走ってくる。
「安達!来てくれたか!!」
「あ、あぁ…久しぶりだな佐原」
「佐原は変わらないよね… ある意味安心…?」
話をするために佐原が自分の事務室へと案内する。
天井ヤトは知り合いのとこに行くと言って別行動になった。
「この前のイベントではすまなかったね… 本来なら我々で対処する問題だったのに」
「いいよそんなの 俺らも今回は仕方ないと思ってるし」
佐原はイベントでのチーター問題についての謝罪と今後のチーター対策について話をした。
「とりあえずチーターには今後も気を付けようとは思っているが…」
「こればっかりはチーターというよりはチートそのものへの対策をしないとどうにもならんしなぁ…」
考えてもこれ以上意味はなさそうだと判断した二人は別の話に切り替える。
「それで…お礼なんだけど安達はなにかあるかな?」
「それなんだけどな… イベントでの問題を解決したのは俺だけじゃないからあの時いたメンバー全員にお礼してもらうってのはできるかな?」
「それはもちろん大丈夫ですよ それで皆さんは?」
安達奏は佐原に皆の要望が書かれたメモを渡す。
「ふむ…特に問題はないかと……」
「そりゃよかった そんじゃそれで頼むわ」
「それで安達はどうするんだ?これには書いてないみたいだけど…」
「俺は…“ ”ってできるか?」
その答えに佐原は驚く。
「それは可能だが…いいのか?」
「俺もそろそろ…前に進むことにしたんだよ」
安達奏のその返答に佐原は嬉しそうに頷く。
「それなら…こっちからもサービスを付けとこう」
「そのサービスとやらを楽しみにしとくよ」
話し合いも終わり安達奏は天井ヤトを迎えに行く。
「どうせアイツのところだろ…」
安達奏と佐原と別れて天井ヤトは知り合いのとこに向かう
「久しぶりに会うなぁ…」
厳重そうな扉の前で深呼吸をしてその扉を開ける。
「まーちゃん…いる?」
「むむ!その声はヤトか!?」
広い部屋の奥には1台だけパソコンがあり椅子に座りそれを操作している女性がいた。
「あ、安達の用事ついでに同行して遊びに来ちゃった」
「なるほど…少し待っててくれ!」
天井ヤトは適当に床に座り込む。
「安達はどうしたんだ?」
「ん、佐原のとこ」
「そうかそうか…」
カチャカチャとパソコンを操作していた手が止まった。
「これにて一段落… ここからはヤトとのお楽しみタイムだ!」
そう言ってまーちゃんと呼ばれてた女性は天井ヤトの椅子を用意してコーヒーを準備する。
「ブラックだったよね?」
「う、うん ありがと」
コーヒーとケーキがテーブルに置かれた。
「後で食べようと思ってたんだ 余分に買って正解だったな」
「い、いただき…ます」
二人は雑談しながらケーキを食べる。
「なに…?安達のやつ女を連れて復帰だと?」
「うん… でも義妹とその友達だって」
「なるほど… その友達とやら気を付けないと安達が取られそうだが…?」
天井ヤトがコーヒーを吹き出す。
「ななな!にゃに言ってるの!」
テンパってる天井ヤトを見てまーちゃんは爆笑していた。
「ってな感じなんだが…安達はどう思う?」
そう言って扉のほうを見るとそこには佐原との話し合いが終わって迎えに来た安達奏がいた。
「あ…安達!いまのは!その…!」
「はいはい… 黛も天井をからかうのはやめろよな」
「むー…つまらん男だ」
安達奏は天井ヤトの座る後ろに移動して雑談に加わる。
しばらく雑談しているとまーちゃんこと黛が思い出したと話を始める。
「アルカナオンラインのワールドストーリーのことなんだがな?」
ワールドストーリーとはプレイヤーが個別に進めるメインのストーリーとは別にアルカナオンラインの世界そのものに存在しているストーリーのことでそれを進めていくとアルカナオンライン本来のストーリーが進行する。
「そろそろ進めてくれないか…?ストーリー考えて作った私からしたらその…誰も進めてくれなくて泣きそうなんだが」
「え!?もしかして俺がハイスト入ってた頃に攻略組とやってから進んでないのか!?」
「うん… 進んでないの……」
黛がそう答えると安達奏は「マジか…」と驚く。
「ご、ごめんね…私達も安達がいなくなってから忙しいのと新しい指示役を誰にするかでいろいろあって…」
「なるほどね… 攻略組はどうした?」
「あそこは… 攻略組単品だとワールドストーリーやれるレベルの人が少ないから…」
攻略組とはゲーム攻略をメインに活動しているギルド『桜ノ息吹』の通称である。ゲーム攻略をメインにしているのでワールドストーリーも頑張っていたが初心者育成もしていたのでギルドの7割が初心者で構成されていた。
「仕方ない… 攻略組に声かけて誰かしら戦えるやつ預かってワールドストーリー進めるか」
「なに!?本当か?やっとワールドストーリー進むのか?」
「そ、そうだね… まーちゃんもかわいそうだし…」
泣きそうな黛の頭を天井ヤトが撫でてあげる。
「ヤトは優しいなぁ… 安達のことも幸せにしてくれるだろうなぁ…」
「なっ!んな!?まーちゃん!?」
さっきまで泣きそうな顔をしていた黛がニヤニヤと安達のほうを見る。
「幸せにはしてくれるかもだが…俺じゃ釣り合いそうにないから遠慮しとくよ」
安達奏は丁寧にお断りする。
「そんなこと…ないのに……」
天井ヤトが小声でそう言う。
近くにいた黛はそれが聞こえてさらにニヤニヤする。
「そろそろ帰るか…」
「そ、そうだね またねまーちゃん」
「二人とも気を付けてな~」
黛との雑談も終わり本社から外に出ると既に空も暗くなっていた。
「天井は寄りたいとこあるか?」
「おなかすいた…」
「ケーキ食べてたとはいえずっと話してたからな… どっかで食べて帰るか」
安達の車に乗り二人はなにが食べたいかを議論した。
これにて1章は終わりになります
次回からはワールドストーリー攻略編ですね
今年には1章を終わらせたかったので間に合って安心ですわ…
次の話は現状のキャラ達のステータス一覧みたいになります




