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RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第2章 『RDW+RTA+FUCHU+FUTSU act H3 ~3人のヒドインたちによる、附中とフツーの物語~』
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34 鳳凰暦2020年4月16日 木曜日朝 通学路


 今日は6時45分に家を出ました……最近の私――平坂桃花の朝の時間がばらばらなことに、お手伝いの千代さんが心配を通り越して泣きそうな顔になっていましたけれど、これは私ではなく冴羽先生の責任です。


 昨日、学校でいじめ事件が発生しました。根も葉もない噂による中傷です。それも、彼に対して。絶対に許すことなどできません。

 それなのに、対応が遅い冴羽先生のところへ行き、もっときっちり対応するべきだと訴えただけだというのに、どういう訳か冴羽先生から罰として花壇の水やりを命じられました。今日と明日の二日間も、です。

 一緒に行った設楽は無罪放免だというのに、です。「ここへ来るのに巻き込んでおいて、罰まで巻き込もうとするな」とは、どういう意味でしょうか? 「それと、怒鳴り込んできたから悪いんじゃなくて、教師に対する態度があまりにもひどいからだ。設楽はまともだった」とも言われました。

 丁寧な言葉遣いでお話ししたというのに、そのようなことを言われては、いったいどうすればよいのでしょうか?


 今朝はついに、彼の朝の行動が観察できる機会が巡ってくるはずでしたのに。来週までその機会が訪れません。冴羽先生め。いつか御髪が乏しくなるように神宮に向かって祈ってやります。少々下品ではありますけれど、これでもくらえ、です。


 附属高ダン科の花壇はとても広いのです。ダンジョンで殺伐とした戦闘行為を繰り返すからでしょうか。花で心を和ませたいのかもしれません。今はその気持ちがありがた迷惑というものになっています。こんな時間に登校しなければ、間に合わないのですから。


 噂による中傷といういじめ事件については、私と設楽が1年職員室にいる間に、さっくりと外村が犯人となる噂の元を見つけて、自首させてくれました。犯人は4組の外部生の3人でしたが、流れている噂の一部は知らないということで、帰りのHRでアンケートを実施し、それをもとに今日、学年全員に聞き取りを行い、さらには聞き取りの結果を受けて放課後に個別指導も実施、そして学年集会も開くそうです。やればできるのですから、冴羽先生ももっと早く動くべきでしょう。私がこのような罰を与えられないように!


 ため息を吐きながら、最後の坂を上ります。すると、校門が見えてくると同時に、一人の男の子が視界に入ってきました。


 ……そんな、まさか? 嘘でしょう?


 私は思わず足を止めてしまいます。


 彼が、校門前にいます。今はまだ、頭と肩くらいまでしか見えませんけれど、彼の最高の観察者である私が頭と肩まで見て彼を見間違うはずがありません。


 彼は遠回りなどではなく、正門を利用しているようです。そして、驚くほど早い時間に登校しています。なんという発見でしょう! 神宮と八百万の神々に祈りを捧げます!


 腕時計がピピピっと時報を鳴らすと同時に、彼が門の中に消えていきました。7時ジャストです。ひょっとすると、ここから西門へと移動して、あちらの急坂でトレーニングをしているのではないでしょうか? なるほど、そうかもしれません。


 ……冴羽先生、なかなか気の利いた罰をありがとうございます。神宮へは御髪に優しくして下さるようにお祈りしましょう。花壇の水やりも、しっかりと頑張ります! むしろ、毎日でもいいのかもしれません! さすがは1組の担任です!







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