表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第4章 その1『RDW+RTA +KAG(M―SIM) ~鈴木の経営ゲー(マネジメントシミュレーション)~』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

239/420

35 鳳凰暦2020年5月15日 金曜日夕刻 国立ヨモツ大学附属高等学校・中学校内ダンジョンアタッカーズギルド出張所


『名前、名前は、っと……高千穂美舞、みまいって読むのね。それと酒田あぶみ。この二人が今日、犬ダンのボス魔石を納品してランクアップしたのよね。ただ、前の二人とは違って、1層から6層までの魔石もたくさん納品してたけど。たくさん過ぎるくらいたくさんだった。あと、名前が分かれば、もうそっちでも確認できるでしょ? 学校への報告、お願いね』

「……わかった。わかったけど、もうクリアしたの?」

『初ダンで初クリアって遊びでもあるのかもね。それじゃ、そっちはたぶん残業だろうから、ま、頑張って』

「はいはい」


 本所の阿部さんとの電話を切って、私――宝蔵院麗子は、ギルドのメインサーバにアクセスする。


「3年にまだクリアしてる子がいないのに、1年でもう4人、か。ひょっとしたら、明日、さらに増えるのかも……」


 ……アレはもう豚ダンをクリアした。現在の到達階層は9層だ。ボスだけなら10層格。


 7人で組んでるから、今日は全員で犬ダンにアタックして、ボス部屋だけ、2つに分けた。だから、犬ダンクリアは2人だけ。たぶん、これは正解だろう。


 高千穂美舞と入力して、アタックデータと取引データを並べる。


「……1層37個、2層53個、3層49個、4層46個、5層30個、6層17個、ボス魔石がひとつ、か。確かに、多過ぎるくらいの魔石の数。1日で50万円超えは……待って、あれ? 年間300日、犬ダンにアタックしたら、1億5千万? この子、もう億超えのトップランカーなの? 高校生のうちは、平日の放課後だと3時間に届かないから、犬ダンなら往復の移動を抜いて2時間ちょっとか……今日は8時半に入って、17時の少し前に出た、と。9時間? それなら平日の放課後では絶対に無理、ね。それにしても滞在時間が9時間なんて……だから魔石数が多くなった? スタミナ切れはポーションでカバーして、か」


 ぶつぶつと口から漏れ出る独り言が抑えられない。残業の寂しさのせいだろうか。


 以前の小鬼ダンのデータも確認してみると、GWなんかは、午前中いっぱいダンジョンにいて、休憩を挟んで、午後からもずっとダンジョンだ。昼は学食にでも行ったのだろうと、ダンジョンカードの取引データを見れば、チキン南蛮定食を食べた記録が残っている。


「チキン南蛮をGWに食べてる1年生って、私の感覚だとかなり珍しいと思うけど……」


 1年生は、できるだけ学食でも安いメニューを選ぶ傾向にある。稼げるようになるまでは素うどんが一番多い。


「……試験休みだから、先生は今、採点中、かしらね」


 私は電話ではなく、佐原先生にメールを送ることにした。記録が残るが、この程度ならそう問題にはならないだろう。一応、読んだら消してほしいとは書き加えておく。

 もちろん、自分の送信済みフォルダからも、ゴミ箱からも消去する。これが完璧な処理ではないが、深く追及されるようなものでもない。

 先生からは、情報開示のための文書が届いていた。どのみち、先生ご自身ですぐに手にする情報を先取りしてもらうだけだ。


 ……アレはこの子たちの育成について、大学に売ろうとしてるのかもしれない。


 私はそう考え、すぐにそれが正解だろうと思った。ただ、入学して2か月以内での犬ダンクリアが可能な育成方法に、いったいどれくらいの値を付けるつもりなのか。そこは気が遠くなりそうだったので、考えないようにした。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ