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RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第4章 その1『RDW+RTA +KAG(M―SIM) ~鈴木の経営ゲー(マネジメントシミュレーション)~』

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4 鳳凰暦2020年5月8日 金曜日7校時 国立ヨモツ大学附属高等学校1年4組



 学級代表として、LHRの司会進行を進めるあたし――高千穂美舞は、出そうになったため息を必死で我慢した。


 今日は6月の学校祭に向けたLHRで、クラスの出し物と、武闘会の出場者を決めなければならない。まだ他にも学校祭に向けたLHRの時間はあるけど、こういうものは早く決めて、早く動いた方が楽だ。


 あたしは先に、クラスの出し物の話を進めた。


 男子の一人が「メイド喫茶」を提案して、それに女子が反発。誰がメイド服を着るのか、と教室が騒がしくなっていった。結局、女子からも「執事喫茶」が提案されて、多数決になった。


 4組は男子より女子の方が多いので、空気を読んだ女子たちが「執事喫茶」に票を入れて、クラスの出し物は「執事喫茶」になった。


「やだよオレ、そんな格好、したくねぇし」


「そもそもオレらの執事姿とか、誰が求めてんだよ?」


「はぁ? 何それ? アンタら、あたしらにメイド服着せるつもりだったんでしょーが? 多数決で負けたんだから文句言うな」


「人がやりたくないって言ってんのに、やらせようとしたからこうなったんでしょ。潔くあきらめて執事になれば? これに懲りてメイドとか言い出すな、二度と!」


 ……あたしには真似できないけど、こういう女子って強いなぁ。言ってることも女子の方がまだまともだし。とりあえず、クラスの出し物は決まった。それだけでも助かった。


 続いて、武闘会の出場者だ。各クラス3人、予選に出さなければならない。これがもう、1年4組だと、本当に困る……。


「いや、誰か希望者はいませんかって、高千穂。オレら4組じゃん? どうせ無理だろ? だったら、ここはもう勝てそうもない人が出た方がいいんじゃねぇーの?」


「それは一理あるねー。誰も出たくないなら推薦で。ほら、岡山さんとかいいんじゃない?」


「あ、酒田さんもアリじゃないかな? 推薦するよ、高千穂」


 ……さっきまで「メイド喫茶」と「執事喫茶」で反目してた人たちが、ここでは一致団結とか、もうこのクラスなんなの?


「推薦されたんだから、高千穂、多数決しろよ。おーい、岡山と酒田の出場に賛成のやつは立てー」


 勝手に多数決まで……って。あれ? 岡山さんと酒田さんをあれに出すのは……かなりマズい気がする。本人たちは自覚なしで先輩たちをあっさり潰しそうな気が……。


「ま、待って、そういう無理矢理は……」


 あたしがそう言った時には、もうクラスのほとんどの生徒が立ち上がってた。本当に残念な人たち。


「あー、もう決定だわ、これ。あ、あと一人は高千穂でどう?」


「……あたしが武闘会に出るってことは、予選と活動時間が重なる学級代表の学校祭担当に誰かが参加しなきゃダメなんだけど、それは言い出した人が……来間があたしの代わりにやってくれるってことでいいの?」


 今度はあたしまで武闘会に出そうとするなんて、本当に、もう……。


「あー、それは勘弁かな」


 ……しかも、学級代表の代理も嫌がるし。なんて自分勝手な。最低。


「おー、誰かもう一人、武闘会に出るやついねぇかー」


「…………女の子にばっかり押し付けるのはどうかと思う。僕が出るよ」


 そう言って、笹野が手を挙げた。附中ダン科出身の男子だ。来間もそうだけど。


 はっきり言って、何を今さら、という気分だった。そういうことを言うのなら、せめて最初から立候補してほしい。そうしたら、もっと違った流れだったかもしれない。


 ちらりと見たら、岡山さんも酒田さんも、こうなってしまったらもう仕方がないという顔で苦笑いだった。


 ……1組のモモだったら、きっと、こういうのもうまく捌けるんだろうな。


 ため息を我慢しながら、あたしは決まったことを確認して、担任の伊集院先生に後を任せると、自分の席に戻った。


 次のLHRでは、「執事喫茶」の内容について、決めていかないと。何を提供するのか、衣装をどうするのか。考えなきゃいけないことはたくさんあるのだろう。






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