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RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第1章 『RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~』
19/420

19 鳳凰暦2020年4月14日 火曜日放課後 国立ヨモツ大学附属高等学校1年職員室


「あの、佐原先生……いないんですね……冴羽先生、ちょっといいですか?」


 1年担当の養護教諭である烏丸先生がやってきた。声がしたので顔を上げたおれ――冴羽竜と目が合った烏丸先生が近づいてくる。烏丸先生の机もここには用意されているが、基本は保健室が居場所だ。ここへ来るのは珍しい。とはいえ、今日は女性が聞くべき内容だろうということで烏丸先生が岡山の聞き取りをする予定だったはず……。


「烏丸先生、彼女との教育相談中なのでは?」

「それが……」


 それは、朝の鈴木の一件とよく似た出来事だった。


 呼び出した岡山が来ないので、烏丸先生は仕方なく教室へ足を運んだ。そうすると、ある机を囲んで生徒が集まって、何かを読んでいた。

 その紙に見覚えがあった烏丸先生は生徒たちからそれを回収した。その場にいた生徒に状況を確認すると、岡山の机の上に折りたたまれた状態で、烏丸先生へ、と書かれている部分が見えるようにして、風で飛ばないように重しとして筆箱が置かれていたらしい。気になったので見てしまった、申し訳ありませんという謝罪は生徒から受けたそうだ。手遅れだがな……名前は全員確認しているので、個別に指導を入れる手間が増えたか……。だが、もう噂になるのは避けられん。ある意味では状況は悪化した。


 それでも岡山にはまだ、鈴木とは違って、隠そうという気はあったのが救いか。


 岡山はこう書いていた。

『武器ロストによって4月末での退学の可能性があるわたしにとって、放課後はダンジョンで稼ぐ貴重な時間です。大変申し訳ありませんが、烏丸先生の呼び出しに応じることはできません。呼び出されるようなことをした記憶もございません。ですから、呼び出しをやめて下さると大変ありがたく思います。それと蛇足かとは思いますが、もう一人、呼び出された方がいたと聞き及んでおります。その方と朝、昼も共にダンジョンへ入っておりますので、朝の呼び出しも、昼の呼び出しもやめて頂けたら嬉しいです。夜の、夕食、入浴後、寮でのお話はできると思います』


 呼び出し拒否でも、岡山の方がよっぽど穏やかだ。対案もある。ありがたい。あと、退学回避のために必死で努力してるとこが泣けるわぁ……。


「寮の担当は……春川先生か。そっちにお願いしてみますかね?」

「すみません、お役に立てず。仕事も増やしてしまい……」

「それは生徒が悪いので」

「春川先生だけでは申し訳ないので、私も一緒に寮で話を聞こうと思います」

「ほんっと、すみません」

「いいえ、当然のことです」


 もはや面倒事が拡大しているようにしか思えん……。






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