18 鳳凰暦2020年4月14日 火曜日昼休み 小鬼ダンジョン
昼休み小鬼ダンタイムアタック。時間内に隠し部屋とボス部屋で2回のボス狩り。昼休みで1周できることはわかっているから、いかに時間を短くできるかに挑戦中だ。
「放課後に呼び出されたので、今日は……」
「やっぱりか」
戦いながら、走りながらの会話なので、かなり大きな声で僕と岡山さんは話している。でも、この学校、昼休みにダンジョンに入る生徒はいないらしい。特に問題はない。
「え?」
「僕も呼び出しがあった。お手紙だった?」
「お手紙というか、折り紙?」
「確かに」
「それで、放課後は無理に……」
「僕、断ったよ? 岡山さんはダンジョンより呼び出しを優先するの?」
「え? 断ったのですか? 先生の呼び出しですよ?」
「先生の呼び出しって、そんなに強制力がある?」
「あると思っていますが……」
「裁判所とか警察とかじゃないし、ないと思うな?」
「その比較対象が常識的ではないと思います……どうやって断ったのですか?」
これだけしゃべりながら走れるようになった岡山さんは成長している。うんうん。
僕は朝、やったことを説明した。
「……黒板に……いろいろと鈴木さんが規格外だということを再認識しました。ダンジョンだけではないのですね……」
「昼休みならまだしも、放課後だからな。ボス魔石だけで二千円×30個で6万円だけど、退学寸前の広島さんとしては、それに匹敵するの、この呼び出し?」
「それを言われると……あと、岡山です」
「僕と一緒のダンジョンより先生と一緒の相談室の方が岡山さんには重要だろうけど」
「そんなことはありません!」
「だよな。6万円と無駄な時間なら、どう考えても6万円だし」
「……」
「呼び出しに行くのなら、パーティーとしての活動時間が失われるから、その分の予測できる稼ぎの6万円を岡山さんの配分から埋め合わせてもらうってことでいい?」
「そんなっ⁉」
「だって、説明したよね? 岡山さんがいて、あの稼ぎなんだ。それを岡山さんの都合で取りやめるんだから当然だよな?」
「わたしではなく、先生の責任ではありませんか?」
「法的な根拠もない呼び出しに応じるのは岡山さんだよな? 僕は断った」
「ううう……わたしの常識が各方面から疑われますが、鈴木さんと同様の方法で回避しますので、この放課後もよろしくお願いします……」
「ありがとう! 岡山さんは正しい! 僕と一緒に体制側とは徹底的に戦おう!」
「わたしは戦いたくはありませんし、別に先生方は敵ではないと思いますが……」
いいや、敵だよ? ダンジョン時間を奪うのなら!