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Ⅰ 春希祭(キアラン)─ⅷ

 ガゼルは下手くそでしたけどね、と付け加えられたが、彼も練習すれば出来るようにはなりそうだと、サクラは紐の編み方ひとつにも、多くの種類があることに感動しつつそう思う。近衛騎士たちもそうだが、彼らは皆、手先が器用だ。


「わたし先に執務室行ってますから、サンドラさん着替え、ここ使ってください」

「ありがとうございます。お言葉に甘えます」


 セルシア騎士団の騎士服は、見習いが薄い水色で、階級が上がるごとに青い色が濃くなっていく。長官である彼らに至っては、黒と見紛(みまが)うほどの紺色を着用するのが本来だが、普段は正騎士であれば誰もが持っているという、青い騎士服を着ていた。濃紺を着用するのは、階級や指揮権をわかりやすく示す必要があるときだけにしているようだ。


 ちなみに即位式のような、厳密な式典や祭礼の際は、正騎士は白を着用することが義務づけられているのだとか。いろいろと細かな規定もあるようだが、サクラはそこまで細かく覚えてはおらず、自分の前で規律に反した格好をされていたところで、わかりそうにもなかった。


 アクセルとイリューザーとともに執務室に戻れば、クレイセスもクロシェも、すでに祭礼用に整えた紺の騎士服に着替えており、現れたサクラを見て微笑んだ。


「綺麗に仕上がりましたね」

「サンドラさん戻って来てくれて助かりました。こんな花の形なんか、自分じゃ絶対作れません」

「ああ……春を願う祭りなので、そういう結び方をするのですよ。豊穣(ほうじょう)を願う祭礼のときは、木の実をかたどるような結び方をします」

 クロシェの説明に、サクラの眉間には皺が寄る。


「そんな細かい規則があるんですか!」

「『実を結ぶ』ようにという意味だそうですけどね。サンドラが対処しますから、それほどお気になさらないでください。そもそも、遠くからでは見えない場所のことですから、そこまで厳密でなくとも差し支えはなさそうなことです」


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