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Ⅲ ジェラルド卿の謀 ─ⅹⅹⅰ

「恋しかしなかった父上に、とやかく言われたくありません」

 だ~よね~と笑う父は、どこまで本気で言っているのか。ただただ、試されている気もする。何せ父は「面白いほうについていく」を身上に生きている。フィルセインが父にとっての面白さを示せたならば、「取り込める」貴族と認識されてもおかしくはないほどの危うさで。


「彼女がクレイセスを選んでも、お前は騎士団にいるの?」

「そのつもりです」

 そ、と軽く笑っただけで、父は何も言わない。

 問いの真意がどこにあるのか、クロシェには図りかねた。


「フィルセインの噂がさ、これからもっと拡大することになったら、どうなると思う?」

「……三院は、サクラ様を界王と結婚させようとするでしょうね」

「でも、王妃(レジエントア)宣下(せんげ)を、知らないフリして蹴ったんだろ?」

「フリではなく、本当にご存知ないんです」

 どっちでもいいよ結果は一緒だし、という父に、クロシェは溜息をつく。


「セルシアがハーシェル王の後宮廃止宣言を支持する意志が固い場合さ、どうなると思う?」

「父上が(はな)ってる間諜はよほど優秀みたいですね。なぜそこまでのことをご存知なのか」

「面白いからに決まってるだろう。私はフィルセインにはつかないよ。危険な賭はしない主義だから。だったら、王室か、セルシアか、ジェラルド家として肩を持つならどっちが美味しいか、ちゃんと悩みたいじゃないか」


 クロシェに酒を取り上げられ、諦めた父は口寂しいのか果物をつまみ出す。

「とにかく。そうした場合さ、王室と遜色ないところと縁を結ばせておこうという流れになるんじゃない?」

 それは、言われなくとも可能性として真っ先に思いつくことだ。

 「既婚」の事実だけを作ることが必要なら、サクラの気持ちがどうであろうと、クレイセスは筆頭に上がる。


「そうなる前に、求婚しておいたら?」

「は?」

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