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Ⅲ ジェラルド卿の謀─ⅸ

 サクラも夜風に当たろうと、イリューザーを連れて幕舎の外に出る。昼間の雨ですっかり雲は去ったのか、空にはたくさんの星が見えた。


「なあ。ニットリンデン、見てきてやろうか」

「うわあっ」


 ぼうっと星明かりを見ていたサクラは、突如頭の上から聞こえた声にびっくりする。


 少し離れた位置にある木の上からしゅたっと身軽に飛び降りて来たのは、デュエルだった。


 黄緑色にも見える明るい瞳がわかるほど、一気にずいっと距離を詰められ、サクラはのけぞって距離を取る。


「そんなに逃げるなよ。あそこはさ、小さい頃何度も仕入れに行ってるから詳しいよ、俺。さすがにフィルセインが落としてからは行ってないけど、ニアベル伯爵領だったときには染料とか香辛料とかの仕入れに行ってたんだ。騎士団が使うのとは別に、道を知ってる」


「訓練されてる騎士団の人間ですら捕まってるのに、そんな危険なこと、させられません」

「年同じなんだから普通に話せよ。俺に敬語なんか使うだけ無駄だって」


 そう言ってにかっと笑うデュエルに、サクラは眉根を寄せる。

「大体さ、みんな訓練されてますっていう玄人(くろうと)感ばりばりなんだよ。姿勢だってちゃんとしてるしさ。俺みたいにふにゃふにゃ出来ねえだろ?」

「うーん……」


 確かに、騎士団ではシャキッとした姿勢の持ち主ばかりしか見たことはないが。

 それは、サクラが一応「主君」であるからであり、そんな姿勢は見せられないからだろう。実際救護舎で働いていたときには、退舎間近の人間が暇だ暇だとごろごろしていたのは目にしている。


「そういう訓練された感がさ、相手の警戒心煽るんだと思うんだよな。体格だって服着てても筋肉スゲーわかるし。俺みたいにちょっとへなちょこに見えると警戒だってされない」

「ああ、なるほど」

「あれ、そこはちょっと否定して」

「え、ごめん……」

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