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Ⅱ アリアロスの秘密-ⅹⅹⅶ

「俺の秘密……いや、現アリアロス家の秘密です。それと引き換えに、あなたの秘密を教えてください」

「なんで……そんなに知りたいの」


 サクラの困惑した声に、クレイセスは笑って言った。

「ひょっとすると、利害の一致を見そうだと思ったからです。俺は、アリアロスを出る口実を探している」

「は……?」

 今度はサクラが迷宮入りしたのか、奇妙な顔でクレイセスを見上げている。


「どうでしょう?」

「どうでしょうって……保留……じゃ、ダメですか」

「なぜ保留?」

「最奥に帰らないと、クレイセスに納得してもらえるような説明を出来ない……ので」


 その答えに、クレイセスは少し考える。


「俺の話は今聞いていただく。あなたの話は最奥に戻ってからで結構です」

「どうして、ですか……?」

「やっぱりいいです、と言わせないために決まってるでしょう」

「そこまで退路断つんですか?!」


 ドン引きしている主に、クレイセスはニヤリと笑う。

「俺は自分のすべてを賭けてあなたを(あるじ)と定めました。あなたの条件も吞んだ上で従騎士(ヴァルフレイア)としているのです。それなのに得られるのは期間限定の上辺の信頼など、割に合わない」


「だったら」

「やめませんよ」

 クレイセスは視線を外さず、サクラの手を取り口付けた。それに、暗がりの中でもわかるほど顔を真っ赤にしたサクラが手を引っ込めようとするのを、クレイセスは逃さない。


「たとえこの先あなたが人を喰らうことがあろうと、何人その手で殺そうと、俺はサクラの傍にいる。そしてその反応は、この行動の意味をすでにご存知ですね? 教えたのは、クロシェですか。あいつにしては珍しいほど、あなたには積極的だ。すでにそのような関係に?」


「まさか!」

 紅潮した頬がぶんぶんと首を振る。その間も手を取り返そうと力が入っているのはわかるが、クレイセスは少しも緩めない。

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