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Ⅱ アリアロスの秘密-ⅹⅹⅳ

「それはそうですが。恐らく打てる手はすべて打ってくれます。ユリウスが仮に殺されていたならそのことも、彼がエリオット子爵に伝えるはずだった、サラシェリーアの件についても。我々が王都で対処するのと、変わらないことをしてくれる」

「そう……ですね」


 ここで出来ることが何もないことなど、わかっているのだろう。目の前の戦いに集中出来なくなり、軍に損傷を与える結果を生み出すことのほうが問題だ。しかしサクラにとって、ユリウスは近い人間だった。諍いもあったが、きちんと和解をもって送り出したことは、ガゼルから聞いている。


 クレイセスだってサクラの夢を軽視している訳ではないが、そこに拘泥して動けなくなってしまうくらいなら、リシュティーノの話も出たことだし意識を逸らすかと、クレイセスはずっと疑問に思っていることを口にした。


「リシュティーノ様と言えば、予言でも首を傾げておられましたね。サクラ、あなたはレア・ミネルウァと、何を約束したのですか」


 その問いに、サクラがわずかな緊張を呈して固まる。


「あなたはずっと、それを隠している。ハーシェルに問い詰めれば、事が為し得たときには譲位に賛同することを約束させたそうですね。俺たちが従騎士(ヴァルフレイア)となってからも、解消出来るかどうかを心配するそれは、なぜですか」


 核心を突けたのか、サクラは驚いたように目を見開き、クレイセスを見上げて固まっている。開いた口は、何かを言おうとするように動くが、やがて視線を外して前を向いたサクラの、小さな手に覆われてしまった。自分で自分を自制する動きに、クレイセスは追撃をかける。

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