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Ⅸ 陰謀の切っ先─ⅶ

「ここまで来ると、街道も賑やかですね」

 顔がわからないよう、すっぽりフードをかぶった状態でサクラが言えば、ええ、と一緒に騎乗しているサンドラが頷いた。


「東西南の主立った街道がここで一同に合流します。ただ我々は、ここから小さな道に入って王都を目指します。少し回り道にはなりますが、ここまで来るとイリューザーは目立ちすぎますので。森から王宮に戻ります。回り込まなくてはなりませんが、今はそのほうが安全かと」


 サンドラの説明に頷き、右手には森、左手は店が立ち並ぶ道を進んでゆく。

 今、クロシェとバララト、カイザルが食糧の調達に向かった。王都が目の前とはいえ、多分微妙に足りないだろうとの判断からだ。少し買い足す程度のことなので、いつもより出る人数は少ない。


 少し離れた場所で、子どもが激しく泣く声が上がった。耳を澄ませば、母親を探す声だ。どうやら迷子になってしまったらしい。


 立ち止まる者もいないのか、サクラはクレイセスに保護を頼む。クレイセスも気にはしているのだろう。サクラの言葉に、アクセルに指示を出した。


 アクセルが離れると、今度は反対側から(いさか)う声。店にケチをつけているようで、柄の悪い怒鳴り声が往来にこだます。

「クレイセス……あれは」

 なんとかしてあげられないものでしょうか、と言おうとして、サクラは口を(つぐ)んだ。


 何かを考えるようにして、クレイセスは鋭い視線を周囲に向けている。


「気を付けろ。仕組まれているかもしれない」

 クレイセスの言葉に、騎士たちに一斉に緊張が走った。


「ツイード、お前はここに残ってクロシェたちに先に向かったと伝えてくれ」

「わかりました。どうかお気をつけて」


 言うが早いか、クレイセスはサンドラに目配せると、駆け足で森へと入る小道を目指す。


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