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Ⅸ 陰謀の切っ先─ⅲ

「こちらです」

 小声で促され、サクラはクロシェとともに騎乗すると、単騎で近くの森まで走った。少し入ったところにバララトとシンが待機していて、十分ほどでサンドラとカイザルが、さらに五分後に、クレイセスとアクセルが現れる。ほかの騎士はイリューザーを連れ、先見(せんけん)も兼ねて先を行っていると言われ、サクラはひとまず安堵した。


 それからは「経路を変えます」とクレイセスが言った通り、道は整備されているが、あまり人通りのない街道をほとんど駆け足で抜ける。昼になって簡易な食事を川縁(かわべり)で用意し、少しの休憩を挟むと、また急いで山間(やまあい)の道を抜けて行った。


 そうして夕方にたどり着いたのは、民営の宿舎ではなく、騎士団の営所。

「今日は、ここに宿泊します。彼らが簡単に出入り出来ない場所がいい」


 街からは少しはずれた場所にあり、主たる任務として向けられているのがすぐ傍の森の警護であることは明白で、サクラは馬から降りると促されるままに中へと入った。


*◇*◇*◇*


 営所の騎士たちから一通りの歓迎を受け、サクラは夕食の席でようやく、エラルと接触した一連をみんなに話すことが出来た。


 エラルを従騎士(ヴァルフレイア)としたことには皆が驚嘆するところだったが、サクラにセルシア経験のある補佐官が出来たことが、何より喜ばれた。そして同時に、知らされた二人の異能の存在に、皆の空気が張り詰める。


「一人はフィルセイン、もう一人は……収集目的、でしょうか」

 アクセルの呟くような問いに、クレイセスが恐らくは、と頷いた、


「サクラ様。いつ何時(なんどき)も、お一人になってはいけません。どんな些細なご用事だろうと、必ず誰かを伴にしてください。遠慮をなさってはいけません」


 バララトの優しいながらも厳しさを含んだ声音に、「はい」と返事をする。


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