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Ⅷ 新しき補佐官─ⅹⅹⅴ

 問われたことに、カイザルは「承知しております」と歯切れの良い返答をする。

「ニットリンデンから先、つけてきている気配は感じております。いずれの手の者かまでは、把握しておりませんが」

 その答えに、エラルがふむ、と嘆息する。


「異能が二人、お前たち一行を追っている」

「二人?」

 カイザルも眉根を寄せ、エラルの言葉に聞き入る。


「一人はフィルセインの手の者と見て間違いない。もう一人も同じように姿を消しているが、あれはセルシアそのものの隙を(うかが)っているようだ。セルシアから片時も目を離すな。サンドラはどうした」

「それが……外に通信員がおりまして。長官たちは恐らく、近くで戻れる隙を見ていると思いますが」


 カイザルの答えに、エラルの表情があきれたものになる。

「あいつらはこんなところまで追って来るのだな。しかしあの二人も、仕掛けて来るとしたら王都に入る前だろう。私はオフィーリアとレミアスとともに、お前たちを追う形で王都に向かう」


 サクラはその言葉に危険はないのかと問えば、エラルは笑った。

「先程そなたが術を焼き切ったおかげで、あいつらは私の気配を追えなくなったはずだ。髪も染めれば、多少の変装で誤魔化せるだろう。そなたは自分の身を案じることだ」


 エラルは言い、カイザルに視線をやる。

「サンドラが戻るまではそなたも部屋から出ぬことだ。あれらの力はよくつかめない。見えぬだけならまだいいが、透過するなら面倒だ」

「透過?」

「物質を通り抜ける力だ。寝ている間にそこの壁でも抜けて侵入されれば最後だな」


 エラルの忠告に、サクラもカイザルも内心が冷える。そんなの、もう幽霊とかと変わらなくない?! とサクラは異能の面倒さを思った。例えば捕まったとき、逃げるためには便利だと思う。しかし暗殺を(たくら)む場合においても便利な力だ。使う人間の良心によって力は善にも悪にもなることを、こんなところでも実感する。


「承知しました。お側を離れぬように致します」

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