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Ⅷ 新しき補佐官─ⅵ

 基本的には旅の間で日持ちする食料を補充しているため、生鮮食品はそれほど買わない。今回の旅は宿も使うが、季候が良いこともあり、野宿もすでに四回経験している。サクラにはそれこそ初めての体験で、結果、「野宿大好き」である。もっともこれは、皆が旅慣れていて手際がよく、安全も確保されているからこそというのは、重々承知しているが。


「────そうなのか?」

 緊張を含んだ声音に顔を上げれば、ツイードが店主の訴える内容に眉をひそめている。肉を売っている店において、値段もさることながら動物の種類がまったくわからない、と文字を追っていたのをやめて、二人の会話に耳を澄ませた。


「ああ。ただ、流れてきたちっこい女の子が、ありゃ異能なんだろうな。浄化してくれたらしい。今のご時世、ああいう力は助かるにー」

 先程から聞いていると、このあたりは語尾がときどき「にー」となるのが方言としてあるようだ。騎士たちは話し方も矯正されるらしく、護衛騎士たちは均一化されているが、やはり方言はあるんだなあと、それも新鮮な気持ちで聞いていた。


「流れてきた?」

「ああ。ダールガットやらオクトランやらニットリンデンやら……遠くはドゥファからってのもいたなあ。戦地になりそうなところから逃げ出してきて、このあたりに腰を落ち着けるやつらが最近多いんだ。悪いヤツばかりじゃないんだが、治安も少し悪くなりがちなんだにー」

「そうか。騎士団の営所、このあたりならフュレードか」

「ああ。取り締まりはしてくれてるよ。ただ突発的な事態にはなかなか。小さい駐在所でもあればいいんだがにー」


 そう言うと、イリューザー用に頼んだ肉塊を渡され、注文した量の干し肉を詰めて行く。店主の体格はみるからに筋肉の厚みがすごいもので、動くのには場所が狭くて窮屈そうだ。

 サクラはどうしても気になって、「あの」と声をかけた。

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