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Ⅷ 新しき補佐官─ⅱ

 出立の朝、多くの騎士たちに見送られ、サクラ一行はニットリンデンをあとにした。来たときと同じく、護衛騎士十名のみを伴っての帰還だ。ガゼルはしばらくニットリンデンに残り、復興の指揮をしながらフィルセイン占領との領境において睨み合いを続けることとなった。ルースベルヌから調査を終えて合流したメトリオもまた、今はガゼルの副官としての任にあり、従って残るという。


 論功も滞りなく終わり、不満は出なかった。

 特にニットリンデンで長きにわたる潜伏を続けていた騎士たちについては、このまま残ってこの地を護りたいという者は残したし、ほかへの異動を願う者はそれを許した。復興のために軍は二千を残し、領民の手に復興を委ねられるまでになれば、それらも解散して所属の営所に戻るように指示を置いてきている。


 少なくともこれで、ニットリンデンはもう安心して良いだろうというのが、皆の判断だ。


 来たときは、白に塗りつぶされた雪深い冬だった。今は夏で、きらめく強い日射しに旺盛に繁茂(はんも)する緑や、時には野生の獣にも遭遇し(大抵はイリューザーの気配に逃げていくうしろ姿だが)、馬上から見える景色のすべてが色鮮やかだ。


 サクラはすでにひとりで騎乗出来るようになっていたが、この移動中はやっぱり誰かと一緒である。出征したときはあまり人目につかないようなルートを行っていたように思うが、今回はむしろ人の波に紛れるように、人通りの多い街道を通って行くことが多い。


 見ていると、五人から十人程度の集団で移動している者たちは結構いて、セルシア騎士団も地方の営所から営所へと、応援や伝令などで動いているのとすれ違ったりもした。商人の大所帯などは三十を越える人数での移動も見られ、サクラたち一行が特別視されることは皆無だ。

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