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Ⅷ 新しき補佐官─ⅰ

 サンドラがいないところで精霊が大きく変化したことは、また彼女を悔しがらせたが、変化そのものは喜んでくれた。


「あともう一息ってところでしょうか。助けてからおよそひと月でここまで回復出来るなど、とても早いのでは」


 ずぶ濡れで帰って来たサクラは今、サンドラによって急ぎ用意された湯船に沈められている。

「またあの小僧が来たそうですね。光響を起こしたのが雨で良かったかもしれません」

「どうしてですか?」

「植物を光響させると、やはりサクラ様の近くにあるものが一番輝くのですよ。なので、サクラ様がおられる場所を特定しやすい。ですが雨だと、降水範囲が満遍なく輝くので、どちらにおられるかは特定がしにくいのです」


 そうなんだ、とサクラは爪を手入れされながら、サンドラの言うことを聞いていた。


 論功についてもあらかた終わり、ここに残す人材も決めた。

 結局、今は誰かにこの土地を与えることはせず、ほかの直轄領と同じくすることにした。残していく方針に従って再建を進めていくこと、その定期報告を各営所長に託すことで、個々の事案に対処していく。


「明後日にはここを出立いたします」

 帰りは別の道を通って参りますよ、と言われ、サクラはそれにはわくわくするものの、王宮に戻ることには、いささかの不安もあった。


 ここのところ周辺から出入りする商人たちと話をするようになって、聞かされることは「セルシア賞賛」の声がほとんどだ。そして事実から派生した話が、華やかに彩られた美談になっていることも知り。


 「セルシア」の容姿が期待をともなって美化されていることに、「いろいろごめんなさいね?」と思うことも増えた。こうなると、人前に出るのがいよいよ億劫になってくる。魔法使いいないかな、と思いはしたが、元の世界のお姫様たちは多分、元が良かったから見てくれを整えるだけでなんとかなったのだ。整形から請け負ってくれる便利な魔法使いはいないことに気がついて、サクラは大きく肩を落とした。


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