表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/218

Ⅶ 積もりゆく真心─ⅹⅶ

「可能ですよ。『従騎士(ヴァルフレイア)』とは主君を守る誓いを定めた者の総称です。過去のセルシアの従騎士は、商人や医師や職人や……職業が騎士でない者も、たくさんおります」


 バララトの言葉に、サクラの心は決まった。

「なら、帰ったらそうします」

「ありがとうございます。良かった。ラツィアも喜びます」

「ラッツィーが? 思ってもないのに誓いを立てさせられるのは、嫌じゃないでしょうか」


 言えば、まさか、とバララトは笑った。


「ふたりとも、子供ながらサクラ様に深い感謝を覚えていますよ。ラツィアはあなたのためになる仕事に就きたいと願って、今からそれを模索しています。以前図書館に連れて行ったときに、職に関するものを一所懸命に読んでいました。お目に掛かる回数は少ないが、あの子はあなたから母のような慈愛も感じているし、だからこそ純粋にあなたを守りたいとも思っている。女官になることは『やりたいこと』かと訊かれたことは、彼女の視界を開いたようです。それだけでない多くの可能性が自分にあること、それを手にしていいことを、ラツィアは真剣に受け止めて、考えています。今は医師になりたいと……バトロネスに師事しているんですよ」


「お医者さん?」

 もう決めたのかと目を見開くサクラに、バララトは慈しみに満ちた表情でもって微笑んだ。


「サクラ様が力を使わなくても済むように、そのお手伝いがしたい、と。最終的には、サクラ様の健康を守りたいということのようです」


 ひとつ屋根の下で面倒を見ている分、バララトは子供たちのことを良く見ている。彼の言葉はサクラの心にすっと染み入り、ラツィアのそういった姿勢に、目頭が、胸が、熱くなった。


「アスティーもね、最終的には護衛騎士になりたいというのが目標です。今は団長のほうが気持ちの上では近いのかな」

「クレイセスと、仲いいんですか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ