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Ⅶ 積もりゆく真心─ⅹⅳ

「宮廷の花形が揃って袖にされるというのも、なかなか見られない光景ですのでね。ドゥミス長官もレフレヴィー長官も人気は高いが、やはりあの二人は群を抜いています。過去に護衛した貴族のご婦人方からは、現状の長官たちの誰かについて必ずと言っていいほど詳細を聞かれましたよ。一晩をともに出来るなら何もかも失ってもいいのだそうで。それだけに、そんな四人を相手にサクラ様が本気で困っておいでの様子が、またなんとも」


 バララトは現状の護衛騎士の中では最年長だ。それだけに、見てきたものも多いだろうと思えばこその説得力に、サクラは余計にげんなりしてしまう。


「ただそうですね……理性的とはいえあの二人も男ですからね。本当に困っているときは、私めを盾になさるのも良いですよ」

「バララトさんを盾にするって、どうやって?」

 問えば、敬称をつけてはなりませんよとたしなめられ、面白そうに言った。


「サクラ様がその気でないのなら、嘘をついてでも身の安全を確保ください。それこそおっさん趣味かと言われるでしょうが、一言バララトを選んだと言っておけばいい。私は直接彼らの教導官としてたずさわったことはありませんが、とっさの行動を牽制する程度の効果にはなれます。それに、そんな嘘をついてまで拒絶したいのかと思えば、彼らも馬鹿ではないのでね、きちんと考えるでしょう」


 あっさりと提案される内容に、サクラは不思議な気持ちで問う。

「バララトの体面は、気にならないんですか?」

「主君の御身の安全が第一と考えます。その次に主君の体面。己の体面など、その次ですよ。サクラ様は騎士の『誇り』を気位に取っておいでのようですが、それは違います。あらゆる意味で主君を守れぬ者に、むしろ誇りを語る資格などない」


 穏やかな表情で示される内容に、サクラは「ありがとうございます」と微笑んだ。

「もしそんな事態になるようなら、そうさせてもらいます」


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