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Ⅶ 積もりゆく真心─ⅹ

*◇*◇*◇*


「おーい! サクラー!」


 駐留してひと月。

 セルシア領として回復したことを知った民が徐々に戻り、復興のために数多くの商人たちの出入りも始まっている。

 そんな中、手を振って大声で駆け寄って来るデュエルの姿に、護衛に付いていたアクセルが「懲りないヤツ……」と呟くのが聞こえ、サクラは笑った。


 復興の状況を見に行くことも多く、「セルシア」が現れたとなれば作業の手を止めてしまうため、最近はまた少年姿で動くことが多い。サクラ自身もそのほうが身軽で動きやすかった。そんな訳で、護衛を担当する騎士も商人に見えるような服装で付いている。今付いているバララトとアクセルも、騎士服ではない。


「よくわかりましたねー、わたしだって」

「うん? なんか変わったか?」

「……」

 一気に複雑な心境にさせられたが、次の言葉に驚かされる。


「なあ。サクラっておっさんが趣味なの?」

「趣味? なんでですか?」

「どうせフィルセインの流してる噂なんだろうけどさ。セルシアはフィルセインと結婚するためにここまで南下してきたとかで」

「はあ⁈」


 思わず大きな声で反応したサクラに、やっぱりかーとデュエルが笑う。

「まあ、単純に手に入れたいって話なんだろうけどさ。護衛もこのおっさん(はべ)らしてること多いし、おっさん趣味なのは信憑性ありそうだなーと思ってたんだけど」


 相変わらず本人を前に(はばか)るべきを憚らない物言いに、バララトは意味深な笑みをしてみせる。誤解が重なっていくことを感じつつ、スルーしてはいけない危機感を覚えてサクラは尋ねた。


「それ、どこで聞いた噂なんですか?」

「ドフォーって街」

「ドフォー……それって、フィルセインが」

 占領している土地の名前だ。エリオット子爵領……つまりサラシェリーアことアプリーゼの父親が、最前線で戦っているあたりに近い。

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