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Ⅶ 積もりゆく真心─ⅷ

「補佐官たちにはエラル様と同じように、瞬間移動を可能とする者が複数おりました。寝返った者との接触が妻女に知られずあったとしても、おかしくはありません」


 メトリオの示す可能性に、サクラも頷いた。

「なんにせよ、エラルさんと話がしてみたいですね。細君が亡くなった一連の事情も、きちんと伝えたいですし。……長く引き留めてしまってごめんなさい。軍営の中だとゆっくりというのも難しいでしょうけど、体を休めてくださいね」


 ねぎらいの言葉に、メトリオは地面にこすりつけそうなほど頭を下げると幕舎をあとにする。



「サクラ?」

 彼を見送った視線のまま、ぼんやりとする主に声をかければ、はっとしたように(まばた)いた。


「ごめんなさい。その子、ひどい目に遭ってないといいと思って」

「見つけられればいいのですが、潜伏先もわからないのでは雲をつかむような話です」

「ですね……」


 サラシェリーアの心残りであろう子供。エラルと侍女がきちんと養育出来る環境にあるならいい。しかしリシュティーノが言うように、フィルセインの異能とも彼が対立しているのだとしたら、それはひどく危険な状態だろう。


 サクラはエラルとも和解を目指している。しかし彼の誤解はどのようにすれば解け、こちらに手を伸ばしてくれるようになるかは、クレイセスにもわからない。ただこの報告が、今後主の心でかなりの比重を占めるだろうことは、予測できた。


「メトリオさんは、エラルさんのことをよくご存知なんですか?」

 彼の話し方からそういった印象を得たのだろう。クレイセスは少し考えて言った。


「彼は、俺が長官だったときの副官です。エラルの身辺警護として過ごした時間はそれなりにあります。個人的に親しいかと言われれば、エラルはリシュティーノ様やユリウスほか何人かの補佐官と少し近かったくらいに見えましたが。騎士とは、それほど近くない人でした」


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