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Ⅵ 従騎士ーⅹⅳ

「あれは……ちょっと傷の治りが早いとかいう程度の、『セルシア』の護りの印とでも言えばいいんでしょうか。ガゼルさんたちが個人的に忠誠をくださったのと、組織的な意味合いでされたものとで、分かれてるというか……。フィデルの色もちょっと違うんですよ」


 そう言うと、もともとサクラが座っていた場所に寝そべっているイリューザーを呼び、その額に触れた。すると額に、濃い金色のフィデルが浮かび上がる。連鎖するように、クレイセスたちの額にも同じフィデルが浮かび上がった。


 そうしてちょっとためらいながらも、一番前にいるバララトの額に手を伸ばして指先で触れれば、正礼を取った四人の額に、うっすらとほのかに金を帯びたフィデルが浮かび上がる。こちらはどちらかといえば、白く発光した感が強い。


「それって、サクラ様のお気持ちの有りようということですか」

 サンドラの問いに、「そうなんですかねえ」と心許ない返事をする。

「最近なんとなく、気配の質の違いとかはわかるようになってきたんですけど……あのときも今も、わたしにとってはレア・ミネルウァが勝手に反応してくれてるとしか説明出来ないことって、たくさんあるんです」


 困惑した表情を見せるサクラは、本当に明確な答えを持っていないようだ。


 補佐官であったユリウスも、その力の有りようや全貌を把握していた訳ではなかったようだし、ならば異世界から来た彼女にその説明を求めるのも、酷なものに思える。


「サクラ」

 四人の申し出にただひとり驚かなかったクレイセスが、困った表情のまま言葉を探す少女に言った。


「彼らの手を取ってください。あなたが最終的にセルシアを譲位する意志があろうと、その先について行くか行かないかは、そのときの我々自身に決めさせて欲しい。少なくとも、今はあなたをレア・ミネルウァそのものから護る手が要ります」


 クレイセスの言葉に、クロシェ以外が目を見開く。

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