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Ⅴ ニットリンデンの楔─ⅹⅱ

*◇*◇*◇*


 翌早朝。

 セルシア軍はニットリンデンおよび周辺砦への一斉攻撃を開始した。


 サクラは高熱はいまだ引かないものの、少しも動けないほどの痛みからは解放され、クレイセスとともにみんなの前に立ち、進軍を号令することだけはやれた。サクラの状態を知るのは、近衛も護衛騎士だけに限られている。指揮に影響のないことを、サクラは何より安堵した。


 外砦は半時も経たずに陥落。

 ニットリンデンの内砦を崩すのには一時間ほどかかったが、順調に軍を街の中に進める。


 先日の雨に、街の中にはまだ泥濘(ぬかるみ)もあった。泥だらけになりながら進んでいくのを、サクラは落とした内砦の上から見つめる。傍にはピタリとイリューザーが寄り添い、クレイセスも適宜指揮を執りながら隣にいた。



「報告します! フィルセイン軍の援軍が到着、数五千!」


 走って来た伝令に、「来ましたね」とクレイセスが呟く。コンヒサールに温存されている兵の数は二万と聞いていた。こちらに振り向けられたのが五千なら、当初の目論み通り、一斉攻撃を仕掛けたほかの砦に数が分散されたのだろう。


「地方院はどうなっている」

「は。バララト様、カイザル様が先鋒として切り込まれました。いまだ抵抗激しく、掌握までにあと数刻はかかるかと」

「そうか。ツイードとフレバンに援軍側に対処するように言ってくれ。アクセル隊を後方からの援護に」

「御意!」


 市街戦となれば街を大きく損傷することは懸念されたが、どうやら民間人が残っている気配はないという。ならばそれだけでも救いだ。

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