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Ⅴ ニットリンデンの楔─ⅸ

 バララトの説明に、「十二人の従騎士なんて、アーサー王伝説みたい」と思ったが、考えてみれば初代は英国人だった可能性が高い。この世界では十二という数は重要視もされているし、それにかこつけて自国の伝説になぞらえたことをしても不思議はないかと、サクラはその数の多さに納得もした。


「サクラ。今はユリウス殿が鎮めてくれたかもしれないが、レア・ミネルウァの痛みを完全に癒すまでには時間もかかるでしょう。またいつ、このような事態になるとも限らない。十二人揃えろとは言わないが、今はバララトの手を取ってください」


 青ざめていたクレイセスは、幾分取り戻した顔色でそう進言する。


「あなたが事情を抱えているのはわかるが、今は非常事態です。バララトの言うとおり、我々が必ずしも付き添っていられるとは限らない」


 サクラとしてはためらいがないでもないが、クレイセスが言うこともわかる。


「本当に……いいんですか?」

「もちろんです」

 微笑んだバララトは「お手を」とサクラの手を額に掲げると、幾度となく聞いた騎士の誓いを口にする。


 しかし。


「サクラ?」

 クレイセスが怪訝な顔をするのに、サクラも混乱していた。


 その誓いを許します、と言ったものの、クレイセスたちのときのような反応がない。わずかに淡く光を見たが、力尽きたように萎んでしまった。


「そう、か……」

 サクラはユリウスの言葉を思い出す。


「サクラ様?」

「ひょっとすると、レア・ミネルウァも……危ない……?」

「どういうことです?」

 二人の疑問に、サクラは答える。


「わたし……ユリウスさんに『死線をさまよってる』って言われたんです。この世界ではああいう場所のことなんて言うんですか? 三途の川の手前とかって言っても伝わらないですよね?」

「サンズという川は、存じません」

「うん、川どころかなんにもないところでしたけど……真っ暗闇で、音も感覚もない世界」

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