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Ⅳ 手掛かり─ⅹⅹⅳ

「感覚としては、クレイセスがサクラ様を売り渡すようなものです」

「え、それは……勝てる気も逃げられる気もしないです……」

「つまりそういうことです。行動の仕方も思考の在り方も知り尽くされているような相手です。それだけに、信頼の置ける人間を傍に置く。一生をその家に捧げてもらう代わりに、家は家令を大切にします。使用人の中でも、最も核に近い」


 そうか、と思うと同時に、チラリとフィルセイン家の家令を務めるというセレトの父を思った。ダールガット攻略に主人が動いたことを、セレトを助けた礼として教えてくれたが、あれはやはり相当に危険な橋を渡ってくれたのだ。

 そして逆に言えば、もしも彼を寝返らせることが出来れば、フィルセインに対して大きな痛手になるだろうことも。しかし今はそれを考えている場合ではないと、サクラは逸れた思考を戻す。


「ニットリンデンだけを考えるなら、現況の軍だけで落とせそうですね。コンヒサールから援軍が来たら難しそうですが」

 言えば、「やれますよ」とクレイセスはなんでもないことのように言った。


「サクラ、こちらに」

 促されて広げたままにしてある地図台の前に行けば、クレイセスはニットリンデン周辺の地図を引き寄せ、指で示しながら説明する。


「ここオクトランからまずニットリンデンにまっすぐ進軍します。同時にジェラルド侯爵領の営所からこちらの砦に、そしてセルシア直轄領のこの二ヶ所の営所から、ここにある砦に進軍します。攻撃を、同日にかける」

 言われ、サクラは納得した。


 クレイセスは面での攻撃を仕掛け、コンヒサールからの援軍も分散させようというのだ。各営所からこちらに集結させるほうが時間もかかる。何より、ジェラルド侯爵から援軍要請があった時点で、クレイセスは各営所に指令を送っている。報告によれば、各営所ごとの軍備は整い、待機していた。

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