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Ⅳ 手掛かり─ⅹⅹⅲ

 それを可能にしているのは多くの手下もだろうが、人々に植え付けた恐怖心だろう。


「むしろこの短期間で、よくそれだけの情報を集められましたね。ありがとうございます」

「だーからあ、俺に丁寧語使うだけ無駄だって。同じ年なんだし普通に話してよ、フツーにさあ」


 人懐こい笑みを浮かべて言ったデュエルに、ツイードが冷たい声で言った。

「嘘をつくな。お前は二十一だろう。何が目的か知らないが、主君に不用意に近付くな」

「あれ……もうバレたの? さすが、近衛騎士って仕事早いねえ」

 悪びれもせずにそう言い、さらにふてぶてしくも付け加える。


「下心はあるけどあんたたちが思ってるような目的はないよ? 俺は可愛い女の子好きだし。命とか救われたら運命感じてメロメロなだけ」

「もいっぺん死ぬ目に遭っとくか?」

 ガゼルが小馬鹿にしたように言ったそれに、

「そしたらサクラがも一回俺を助けてくれるとか、もう結婚するしかなくない?」

 とずれた答えを返し、一斉に冷たい視線を喰らう。しかし彼はまったく動じない。


 彼のメンタル強度をすごいとは思ったが、羨ましいと微塵も思えないのはなぜだろうと、サクラはピリピリした空気感の中で溜息をつく。


「クレイセス、将の名前に心当たりは」

「将として名前を聞いたことはありません。ただ、もともとニットリンデンを含めた一帯を治めていたニアベル伯爵家の家令が、そのような名だったかと」


「家令……家令って、家政とかを取り仕切る、あの家令?」

「ええ。私の考える人物と同一なら、ニアベル伯爵は裏切られたのではないでしょうか。家令はともすれば爵位を持つ者よりも『家』のことをよく知っています。そして当主は自身のことも把握されている。そんな至近距離で寝返られれば、抵抗は難しいでしょう」


 貴族がどれくらいの距離感で接しているものか今ひとつ掴めずにいると、察したようにサンドラが言った。

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