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第六話

「ああ、すいません。少々学業面で考え事をしてて……」


「まぁ、いいや。でね……」


 そんな雨狩のことは知らずに、那内は楽しそうに話す。

 彼女は自分の同性の友達と同じ感覚で、雨狩の顔を見て、元気に話していく。


「噂って言うのは、雨狩君の評判なんだ。頭良いし、可愛い顔しているし、上品だしね。一年の時なんか皆勤賞で表彰されたもんね」


「ああ、そんなこともあったような」


 雨狩は表彰式の事を思い出す。


「あの別に可愛いとかそういう……」


「えへへ、実は雨狩君はうちの一部の女子の間で、ラインとかでたまに話題に出てくるんだよ。来年のバレンタインの時に本命チョコ出そうとする人多いんだよ~」


「えっ? そんなことに?」


 打ち解けたように笑みをこぼす那内に、雨狩は自分の評判と彼女の笑顔に胸がわずかだが、躍る。


「どうしたの? あ、ラインとかやらないのー?」


「あ、いえ、僕の両親の連絡用に使ってますよ」


「やっぱりみんなやるよねー」


「ええ、スマートフォンと自宅のデスクトップパソコンで、空いた時間にラインなどを使っています」


「私もスマホでライン家に帰った時とか暇な時に見るかなー」


「あ、あと、それと……」


「うん?」


「中学の入学祝いに買ってもらったPCがまだ起動しているのですが、この学校に入学してから新しいPCを貰いました」


「おー、いいなぁー」


「あはは、何故かエクセルとワードが入っていますし、それを勉強の後に学べと本を渡されて勉強したりしています」


「そうなんだー。凄いねー。私なんか家にデスクトップパソコン一つしかなくてねー。みんなで使っているんだよー。アマゾンで買い物する時とかテニスの動画見る時とかに使うこと多いんだよね」


「あ、そうなんですか? 流石はテニス部員さんですね。運動音痴の僕と違って動画を見て研究していますし、羨ましいです」


 雨狩がそう言った後に学校の門の前を既に通過していた。

 自分は那内に対して丁寧に対応できたのだろうか、と不安に思う。

 その一方で、過ぎてしまったものはしょうがない、という諦めが出ていた。


(社会に出たらこれは失敗になるのかな? 自信が無いな……おっと、いけない)


「あっ、すいません。もう門を過ぎてしまいましたね。それでは失礼しました」


「延長しようよ~」


「はぇ!? え、延長ですか?」


「雨狩君、面白い~……でも、いいよね?」


 那内の嬉しそうな表情から、困った表情への変化が妙に可愛い

 次第に心臓の心拍数が高くなっていく。


(な、なんだこの緊張? 自信が無い時とは違う。学校のテストや授業は自信が多少出るのに……那内さんを見ていると、ああ、違うことを考えよう~!)


 気を紛らわすために、お互いの家までの距離を考える。

 雨狩の家は徒歩二十三分ほどで着く。


(那内さんの家がどこにあるのかで、増える時間を可能な限り削減しよう)


 延長に答えながらも、質問する。


「わかりました。ですが那内さんの自宅と僕の自宅とでは、場所が違うと思いますし……」


「あたしの家まで来なよ~。お菓子もジュースも一杯あるよ~」


「え~……ですが、初対面ですし、料金は払いますが……」


「料金とかお店じゃないんだし、要らないよ~。薬局屋が隣にあるコンビニまでならいいかな?」


 薬局隣のコンビニ。

 覚えのある場所だった。

 雨狩はそのコンビニに帰り道で、通っては夕飯を買う。

 そこまでなら、お互いの通学路は同じ。


「そのコンビニなら、時々行きますね。では、行きましょう」


「決まりだね。じゃあ、行こうか」


 二人はそのままコンビニまで歩いていく。

 雨狩はコンビニまで十二分かかることを計算に入れた上で、無難な会話を入れるようにする。

 コンビニに辿り着くまでに、あらかじめ用意した言葉で別れようと思った。



「髪綺麗ですね。毎朝手入れとか、しているんでしょうか?」


「ううん、ケアとかしてないよ」


 那内のツヤツヤの髪を見て、とりあえず最初の話題を出す。

 あっさり答えてしまったので、会話が詰まるだろうと思い、雨狩は次の会話を膨らまそうとする。


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