0話(8歳)
「嫌よ!!嫌!!!絶対に嫌!!!!
あなたとなんて踊るわけがないじゃない!!!」
「あなた、目障りさっさと視界からきえてくださる?」
などとパーティー中にギャアギャア騒いでいる女の子がいた。
その女の子は、自分が気にいらない物には何にでも我儘や文句を言ったり、意地悪をしたりしている。
我儘放題。
当然誰からも嫌われているが
公爵家の娘であるため、誰もがその女の子に従うしかない。口答えなどできる訳がない。使用人はもちろんのこと、周りの令嬢や令息も。
女の子はその事を理解している。だから、我儘も意地悪やめることがない。
とんでもない性悪の我儘令嬢。
私イレイナ(8歳)は、それを遠くから見ながら(ああいう人にはなりたくない)と思った。自分も公爵家の娘だからである。
そして、ふと
(あれ?私に似てない?)と思った
同じブロンドの髪色であり、同じロングの髪型
服も私の好きな青色で似たデザインのドレス
少し私より歳上に見えるが、外見がとても似ている
後ろに付いているメイドは私専属の人で
このパーティーは私の家で行われている
私は、不思議で仕方なくなり
その女の子に近づき顔を見ることにした。
顔を見てみると...
「いやぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!!」
とても大きな声で叫んでしまった
その女の子は私だった
そして目が覚めた、自室のベッドの上だった
「はぁ...はぁ...何...今の...夢?...」
「私?...あれが?...めっちゃ性悪じゃん!!」
「私あんな性格じゃないし!!!」
「周りの皆からも明らかに嫌われてるじゃん!!!!」
思わず夢にツッコミを入れてしまった。
嫌な夢を見たなと思いながら心を落ち着かせていると
次は
「どうなさいました!イレイナ様!!」
ガチャンと大きな音を立てドアが開き
私の専属メイドのエリーことエリザベスが飛び込んできた。
ちょっとビックリした。
私はエリーに
「ねぇ..私って我儘で性格悪くて意地悪?」
と思わず聞いてしまった。
エリーは不思議そうに
「はい?」と答え
「お嬢様はそんなことありませんよ」
「遅いですし、お休みになってください」
と優しい笑顔で言い、私を寝かしつけてくれた。
私は眠りながら
(エリーからはああ言われたけど、ほんとに大丈夫なのかな?)
(実は私って周りから見たらあんな感じなの?)
(もしかしたらエリーからも気を使われてああ言われた?)
などと思い
「いい子になろう」そう誓ったのであった。
この時イレイナは、先読みの力に目覚めたのであった。
あの夢は、あったかも知れない未来のイレイナの姿。
ただイレイナ自身がこの力に気づくのはもう少し先のこと。
読んでくださり本当にありがとうございました。