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男と女

「それじゃあ、失礼 」 


 そう言うと嵯峨はエレベータを降りた。代わって入ってきたのはキーラだった。


「どうしたんですか、ジャコビンさん 」 


 クリスの言葉に少しキーラの顔が曇った。


「あーあ、これなら東和に移住するんだったわ 」 


「ああ、遼北の人造兵士移住計画ですか。応募したんですか? 」 


 そう考えも無く発せられたクリスの言葉に、キーラは少し悲しそうな顔をした。戦う為に作られた存在の彼女達は決して歓迎される存在では無かった。地球の感情的なまでに彼女達の存在を抹消しようとしている態度に比べればかなりマシとは言え、遼北政府も『魔女機甲隊 』の亡命を機に彼女達を軍の人材不足で悩んでいる東和に押し付ける算段を続けていることは知っていた。


「まあ、いいか。書類取りに来て会えたんだもんね 」 


 誰に話すでもなくキーラがつぶやく。ちらちらとクリスの顔を見るキーラ。だが、クリスには先ほどの会合の余韻が残っていて、彼女の頬が赤らんでいることに気付くことが出来なかった。


 それ以来二人の間に何も言葉が交わされることが無かった。一階でエレベータの扉が開くと、キーラはそのままクリスを無視して歩き出そうとした。


「ジャコビンさん! 」 


「キーラって呼んでくれないんですね 」 


 振り返ってそれだけ言うとキーラはそのまま本部に入ってきた北兼軍の兵士達の中に消えた。

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