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零の魔法使い  作者: 枯木 落葉
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プロローグ

葉山 ヒロトのこれまでの人生は実に平凡だった。


小学時代、人より足が速かった。だけどウサイン・ボルトを超えるほど速いというわけではない。まず小学生時代からウサイン・ボルトを超える速度ってもはや人間ではない。どんな筋肉の付き方をしているのだ。クラスの中で3番目くらいに速いといったところだ。


中学時代、人より勉強ができた。勉強が出来たと言っても科学だけで、それ以外の教科は赤点と平均点をさまよう粗末なものだった。この頃アニメにハマってた。彼女はもちろん出来なかった。


高校時代、人よりユーモアがあった。お笑い芸人を目指せる程の手応えはないが、仲のいい友達同士で話してる時に笑いを生み出せるくらいのユーモアは持ち合わせていた。この頃完全に萌え豚と化した。2次元こそが最高だと思ってた。もちろんモテなかったし彼女も出来なかったし周りのリア充は爆発して欲しかった。


大学時代、人よりオシャレだった。大学デビューである。髪をセットしたり流行りの服を調べて着たりして女の子にモテようと必死だった。その甲斐あってか、19歳にして初めて彼女ができた。3ヶ月で別れた。理由は彼女の浮気だった。苦い思い出だった。少し女性不信になった。


社会人時代、人より仕事が出来た。順当にこのまま真面目に働いていけばそこそこの地位に付けるだろうというくらいの仕事ぶりだった。周りとも上手くやってるしそこそこ楽しい人生なのではないだろうか。


これが今の俺、葉山 ヒロトの平凡な人生だ。


ものすごく不幸という訳でもないが、ものすごく幸福という訳でもない。そこそこ、並、平凡。そんな言葉がしっくりくるありきたりな、量産型の人生だ。


ものすごく不満がある、という程ではない。


ただ、少し。華がないというか、つまらないというか、もし俺の人生を1冊の小説にしたならば、それはさぞかしつまらない、見ていて歯ごたえのない物語になるだろう。税込390円も取れればラッキーなくらいだ。


ドラマティックな不運も幸運もない平坦な、凹凸のない人生。


中学時代に見たファンタジーアニメみたいに、魔法とか使えるようになればきっとすっげー面白いんだろうな、そんな風に漠然と考えて日々を生きていた。



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