私輪廻の果てに行きたいの
僕は彼女と街中を歩いていた。
すると彼女が突然、「私輪廻の果て見てみたくなったの」と言ってきた。
僕が、「なんで?」「自殺願望でもあるの?」と聞き返すと、「いや人間やめたいの」と言ってきた。
僕はとっさに彼女をレンタカー屋に連れていき青い軽自動を借りた。
海岸線をひたすら走り続けた。走り続けて十五時間くらいたった頃だろうか強い眠気にさいなまれた僕はハンドルを握ったまま眠りについてしまった。
目が覚めると何故か車は停車していた。窓ガラスの曇りを取ると外はなぜか一面視力検査で見る花畑だった。その中に一人ぽつんと老婆が立っている。
「すいません」と話しかけると、「あなたたち向こうの世界から来たのね」と言ってきた。
「どういうことですか?」と僕が聞き返すと、「ここはね死んだ人間の魂が集まってまた別の魂として向こうに帰っていくの。でもね向こうの世界に行かずにここで消滅してしまう魂もあるんだけどね」と言ってきた。
「あなたたちどうしてこんなところへ?」と聞き返してきたので、彼女が望んだらたどり着いたと答えると、「あら残念帰れないわね」と小声で老婆が呟いた。
彼女が望んだことだ今更文句は言えない。僕は車まで走り寝ていた彼女の首筋に噛みついた。
まぎれもなくそれは永遠に続く朝だった。