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第九話「まだまだ続く衝撃」

金曜日の朝6時。

「おはようございます。」

とキツ月さんが入ってきたが、いつも通り5時から笹夫は起きていた。

「この点滴のおかげで少し痛みがマシになりました。」

「そうですか。でもこれ、ただのブドウと・・・あ、いやなんでもないです。良かったですね。」

「え?痛み止めじゃないんですか?」

「痛み止めじゃないことはないんですよ。私、早く詰め所戻らなきゃ。すみません。では。」

小走りでキツ月さんは出て行った。

(えー!痛み止めじゃないことはないって、どっちなんだ?逃げるように行ったよね?)


「おはようございます。」

次に入ってきたのは洗先生だった。

「あ、おはようございます。先生、あの・・・」

「何ですか?」

「この点滴って痛み止めじゃないんですか?」

「あーこれは今パン田さんは絶食してもらってますので、点滴で栄養を入れてます。それに入院した時点では脱水になってましたのでね。」

「え?そうなんですか。」

「痛みがマシになってきてるのなら良かったですね。明日には生検の結果が出ますから、それから治療方針を決めましょう。また伺います。」

先生は、かすかにお腹を押さえながら、病室を出て行ったように見えた。


しばらくすると、ササがやってきた。

「笹夫~!」

「母さん、なんだよ。嬉しそうな顔して。」

「笹夫。すごいのよ。昨日、潰瘍性大腸炎のことお父さんに調べてもらったの。そしたらね、野球選手もサッカー選手も水泳選手もゴルファーも女優さんも演歌歌手も、この病気の人がいるって。」

「へぇー。すごいね!」

「お薬で症状を抑えたらスポーツでも何でもできるってことだよ。最近は新しいお薬も出てきてるんだって。」

「それなら笹香もまたパンケーキ屋で働けるかもしれないね。良かった。」

「え?何言ってるの?今日も笹香は仕事に行ったわよ。それより笹夫のことよ。」

「笹香は仕事できるの?おなか痛くないの?何回もトイレ行ったりしないの?」

「お腹は痛くないらしいのよ。下痢じゃないから、トイレもいつもと一緒。1日1~2回よ。先生に聞いたら軽症だから無理しなかったら仕事していいって言われたらしいのよ。」

「え!そうなんだ。」

「笹夫のほうが入院してて、仕事もできなくて、大変じゃないの。それなのに妹のこと心配して、やっぱり優しいお兄ちゃんね。」またしても涙ぐむササ。

「あ、そういえばさっき先生が来て、明日検査の結果が出るって。」

「そうなの?明日だったらお父さんも仕事休みだから来れるわ。」


「おはようございます。点滴替えに来ました。」と今度はキツツ木さんがやってきた。

と、そこへ小走りで若い看護師さんがやってきた。

ひそひそと話し始める。

「707号室のアヒ留さんが内視鏡後からずっと排便なく、お腹が張って苦しいって、吐き気もあります。どうしましょう?」

(え!便秘なんだ・・・)

「先生のピッチに電話して。」

「えっと、何番でしたっけ?」

「そろそろ覚えてよー。」


若い看護師さんとキツツ木さんは、ひそひそ小声でやりとりしていたが、笹夫には全部聞こえてしまっていた。


いよいよ次回、2人目の診断か?


つづく


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