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第二話「はじまり」

月曜日、朝5時過ぎ、いつものように目覚ましより先に笹夫は目覚めた。

と思ったが、いつもではなかった。

お腹が痛くて目覚めたのだ。

トイレに駆け込んだ。

冷や汗まで出てくる。

なんとか治まったので、カーテンを開けて、いつもの野菜を取りだそうと冷蔵庫を開けた途端、またお腹が痛くなりトイレに駆け込んだ。

(昨日、何か変なもの食べたっけ?)

昨日は休日出勤をしていた。

新作パンの開発で、なかなか納得いくものができず何度も分量を変えては試食を繰り返していた。

(あー食べ過ぎちゃったかな?)

笹夫はただの食べ過ぎだと思って、何も食べず通勤途中にコンビニで買った<多いお茶>を飲みながら出勤した。

11時からは定例ミーティングがある。それまでに資料を仕上げようとパソコンを開いたが、またしてもお腹が痛くなり、トイレに駆け込む。

(あー早くしないと間に合わない・・・)

トイレの水を流そうとしたその瞬間、まさかの光景が目に飛び込んできた。

(あ、赤い!?え?血??)

初めて見た便器が真っ赤になっている下血。

ふらふらしながら、自分の席に戻ったら隣に座っている野ネズミさんが声をかけてきた。

「パン田さん、大丈夫っすか?」

「ああ。いやちょっと、昨日試食でパン食べ過ぎちゃってさ。」

「あのー、パン田さん、昨日って日曜日っすよ。」

「チュー太は知らないと思うけど、1人で休日出勤してたんだよ。」

「え?そうなんすか!」

キーボードを打つカタカタという音が響く。

「あのー、パン田さん、今日のミーティングって11時でしたよね?」

また、野ネズミが声をかける。

「そうだよ!だから今必死に・・・」

その瞬間、またしてもお腹が痛くなりトイレに駆け込んだ。

(書類が間に合わない・・・。)

(もう便器は見たくない。)

怖くて何も見ずに水を流した。

なんとか痛みが治まり、席に戻った。

「パン田さん。」

「チュー太、いいかげんに・・・」

と振り向いた途端に自分が大変な間違いをしてしまったことに気づく。

それは、野ネズミ チュー太ではなかったのだ。

黒ネコ課長だった。

「パン田さん、体調が悪いのでしょう?病院に行ってください。ミーティングの資料は私が代わりに作っておきますから。」

「い、いやでも・・・」

横で聞いていたチュー太も、

「そうっすよ。課長の言うとおりっす。パン田さん、さっきから冷や汗でびっしょりだし、顔色悪いっすよ。」

そう言われて、

(た、たしかに、真っ赤だったし。やっぱり病院行かなきゃ。)

仕事が気がかりだったが、早退をして病院に向かうことにした。

時計を見ると10時45分だった。


つづく


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