第十三話「707号室」
笹夫の点滴が逆流し、ナースコールを押したら両隣の部屋からも同時に鳴り、洗先生と掃除のおばさんが同時に入ってくるという、慌ただしい707号室。
「うわっ。点滴の管に血が。」笹夫がビックリしていると、
「点滴終わったのに取り替えないとそうなるんですよ。」とアヒ留さん。
「看護師、何してるんだ?」と洗先生。
<ピーピー ピーピー>
しばらくしても鳴り止まないナースコール。
「ちょっと見てこよう。」と先生がしびれを切らして出て行った。
が、すぐにキツツ木さんと戻ってきた。
「すみませんっ。」とキツツ木さんが入ってきた瞬間、すってーん。
「あ、いたたた。」
「あー、すみませんねー。」と掃除のおばさん。
モップにつまずき、またしても転んだキツツ木さんだった。
(タイミング悪すぎる笑)
「すぐに、点滴取り替えますからね。他の患者さんのところに行ってて遅くなって本当にすみません。」
「はい。やっと終わったか。えっと、私のことを気にしていたと父から聞いたんで、今日はお話したいと思って来ました。」と先生。
キツツ木さんはまたしても足をさすりながら出て行った。
(なんかドジなところが可愛いかも)
「いつもはする側の大腸カメラを昨日は受けたんですが・・・」
「は、はい。」
(そうだ、先生のこと気になってたんだった。)
「最初は鎮静剤なしで進めたんですが、炎症が思った以上にひどくて、急遽鎮静剤を入れることになり、それで、昨日はパン田さんに説明できず、すみませんでした。」
「いえいえ。院長先生にも会えて、良かったですよ。」とササ。
「結果としては、笹夫さんと妹さんと同じ病気ということがわかりました。」
「え!先生も?」と笹夫。パン田家全員驚いた表情をしている。
「自分も病気になって、患者さんの気持ちがよくわかりますね。これからの不安や迷いがないと言ったら嘘になりますから。」
「そ、そうなんですね。」と笹夫。
「でも、これを機にIBDをもっと専門的に勉強しようと思いました。一緒に勉強していきませんか?」
「はい。IBDって?」と笹夫。
<IBDとは?>
炎症性腸疾患のこと。基本的に潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指す。
<クローン病とは?>
小腸と大腸を中心に炎症や潰瘍が起こる原因不明の疾患。口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こりえる。症状は、腹痛や下痢、血便、体重減少など。潰瘍性大腸炎と同じく国の指定難病。(クローン人間のクローンとは無関係で報告したクローン先生の名前から来ている。)
<潰瘍性大腸炎(UC)とは?>(復習)
大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の疾患。特徴的な症状は、下痢、(粘)血便、腹痛。重症になると、発熱、体重減少、貧血、倦怠感などの全身症状が起きる。症状が強く出る「活動期」と症状が治まっている「寛解期」を繰り返す「再燃寛解型」が多い。国の指定難病の1つ。
「今、こうして潰瘍性大腸炎3人とクローン病1人の合計4人も同じ部屋に集まってるんですから、プチ患者会しましょうよ。」とアヒ留さん。
みんな笑顔になった。
その時、
「大事な話してるときに悪かったねー」とそうじのおばさんが出て行った。
(まだ居てたんかい!)
次回、診断されたらどうしたらいい?
薬、食事、生活上の工夫、就労・・・。
つづく




