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第十二話「アヒ留さん」

潰瘍性大腸炎と診断され、ステロイド点滴を始めることになった笹夫。

「おはようございます。本来は男女で分かれてるんですけど、部屋が空いてなくて、今日の夕方までだけ女性のお部屋になっちゃってすみません。点滴取ってきます。」とキツ月さん。

小走りで出て行った。

そして隣のベットを見ると、なんとあのコンビニ店員のアヒ留さんだった。

「あ、どうも。」

「パン田さんっていうんですね。」

「はい。あれから体調のほうはどうですか?」

「実は私、難病で・・・。」

「え?そうなんですか!一緒ですね。僕、昨日潰瘍性大腸炎って言われて、今日からステロイドを点滴で入れるって。」

「ステロイドはよく効くっていう人が多いですよ。」

「やっぱりそうですか?効いたらいいな。早く仕事行きたいので。」

ガラガラガラ

「はーい。点滴入れますよ。」ワゴンを押してキツ月さんが部屋に入ってきた。

(あー痛いんだろうな。)

チクッ

とはしなかった。

もう栄養の点滴が入っていたので、どうやら同じところから入れられるらしい。

(あ、針ささなくていいんだ。)

「夕方には隣の部屋に移動しますから。」と言い残してまた出て行った。

ガラガラガラ

「キツ月さんとキツツ木さんが似ててややこしいですよね。」とアヒ留さん

「それずっと思ってたんですよ。名前だけじゃなくて声まで似てるし。」

「そうそう。アハハ。」


「えっと、ステロイドがよく効くって人が多いというのを知ってるってことは・・・」

「はい。もう10年なので、何度も入院してますよ。」

「そんなに!」

そこへ

「笹夫、おはよう。」と笹郎、ササ、笹香の3人がやってきた。

「部屋が変わったの知らなくて、前の部屋行ったら、違う人の名前貼ってて、どうしようかと思ったわよ。」とササ。

「違うでしょ。私が気づいて止めたんだから。お母さん、もう入ってて。恥ずかしかったー。」と笹香。

みんな、笑った。

「それって病院あるあるですよ。」とアヒ留さん。

「あー!店員さんと同じ部屋で、良かった。あ、朝からうるさくてすみません。」とササ。

「いえいえ。お話しできるほうが嬉しいです。入院してるとヒマですから。」

「それなら良かったです。」

「私、トイレ行ってきます。」

ガラガラと点滴台を押してアヒ留さんは出て行った。

「同じ病気らしくてさ。もう10年なんだって。」と隣のベットを指さしながら笹夫は説明した。

「え?」とササと笹香は同時に言った。

「ってことは、かなりの先輩だね。」と笹香。

「うん。ステロイドの点滴よく効くみたい。」と笹夫。

「でも、そんなにこの病気多いの?今まで聞いたこともなかったのに。」とササ。

ガラガラガラとアヒ留さんは戻ってきた。

「アヒ留さん、先輩なんですね。いろいろ教えてください。」と笹香。

「あ、いや、私は潰瘍性大腸炎ではないんです。」

「え?そうなんですか?」

(あ、そうだ。難病って言ってただけだ。)

「クローン病って聞いたことあります?」

「はい!調べました!!」とすかさず答えたのはササでもなく、笹香でもなく、まさかの笹郎だった。

「あ!パン田さんの点滴、逆流してる!ナースコール押そう。」とアヒ留さん。

そのとき、

「パン田さん、おはようございまーす。」と洗先生が入ってきた。

そして、後ろから掃除のおばさんがモップを持って入ってきた。

さらに、両隣の部屋のナースコールが同時に鳴った。


どうなる?707号室!


つづく


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